うわっ…汚い! 車のカオが「虫」まみれ! 塗装に影響ある? 効果的な除去方法と対策は?
くるまのニュース / 2023年7月16日 8時10分
クルマで出かけると、フロントバンパーやヘッドライトに虫の死骸が多く付着することがあります。効果的に除去する方法や、付着しても容易に取り除きやすくする方法はあるのでしょうか。
■「虫の死骸」が多数付着! クルマへの影響は?
気温の上昇とともに虫も増えてきます。ドライブ後、特に夜間走行後はクルマのフロントバンパーやヘッドライト、フロントガラスなどに走行中に飛んできた虫の死骸が多数こびりついていることもよくあります。
通常の洗車ではなかなか落としにくい虫の死骸ですが、効果的に落とす方法や、付着してもすぐに除去できる予防方法はあるのでしょうか。
そもそも、虫(特に羽虫など)が光に集まってくることにはさまざま説があるようです。
たとえば紫外線に引き寄せられるというものがあり、虫たちは人間の肉眼では見えない紫外線を捉えることができ、それに向かって引き寄せられるというものです。
また虫たちは餌の捕食や繁殖に重要な場所を常に探しているため、鮮やかで濃い色を捉えやすく、黄色や赤、もしくは見えやすい白のボディカラーのクルマに集まってきやすいという説もあります。
ほかにも、虫が月光より明るい光に引き寄せられる説、というのも有力です。真っ暗な洞窟や深海などに生息する虫はともかく、たいていの虫たちは視覚を持っており、夜間でも月明かりなどを増幅させて行動しているのだとか。
そこで光度の高い照明機材に吸い寄せられるように、直線的に飛んでくるという説です。
さらに、光を感知し上下を認識する性質のある虫が、光に対して自動的に背中を向ける反射行動の1つ「背光反射」によるものだとする研究結果もあります。
さまざまな“説”があるのですが、強い光に引き寄せられる原因は意外にも解明されていなかったようです。
いずれにせよ、共通することは光に向かって飛んでくるということで、夜間にライトを点灯させて走行している時には、クルマ目がけて飛んでくることで衝突してしまい、死骸となって付着してしまいます。
では、虫の死骸は見た目を損ないますが、塗装面などクルマに影響をもたらすのでしょうか。神奈川県の自動車整備士H氏に詳しく聞いてみました。
「まず虫の死骸はシュウ酸カルシウムやタンパク質が含まれています。さらに体液なども多糖酸や蟻酸など、腐食性が強い酸性の性質を持っており、塗装面に侵食しやすいのです。
放置したままだと数日でシミになったり、クレーター状に塗装面を傷つけてしまうこともあります。
これはボディの塗装面だけでなく、シートや内装もシミになりやすいので、できるだけ早く除去する必要があります」
また虫の死骸は放置しておくとさらに乾燥し、より塗装面にこびりついてしまうことも。H整備士いわく、できる限り早めに洗車で落としたほうがいいそうです。
ただし虫の死骸は想像以上にこびりつきが強く、ざっと水洗いしただけでは落ちにくいものです。やはり虫取り専用の洗剤を使用したほうがいいのでしょうか。
「私たちが使用している業務用の虫取りクリーナーには、このタンパク質を分解する特殊な成分が含まれています。また市販の虫取りクリーナーも同じ成分が(濃度が違うとはいえ)入っていると思われます。
当然、こういった商品を使用したほうがすっきり落とせると思いますが、通常のカーシャンプーでもそれなりに落ちると思います」(H整備士)
虫取り専用のクリーナーの使い方は、一旦シャンプーで洗車したあとに濡れたボディに吹き付け、マイクロファイバークロスなどで軽く擦って汚れになじませます。
その後少し時間を置き、水で流しながらきれいなマイクロファイバークロスで拭き取ります。この時、クリーナーの成分がボディに残らないよう、しっかり洗い流すことが大切です。
■洗車したのにまた汚れた! 虫が付いても「簡単に」落とせる方法はある?
虫の死骸は市販の虫取りクリーナーや通常のカーシャンプーでも落とせるといいますが、家庭にある身近なものでも虫を効果的に落とすものがあるようです。
そのひとつ、オレンジオイル配合の家庭用洗剤は虫の死骸のような有機タンパク質の除去には最適なのだとか。
水の分子が汚れの分子より大きいため、それだけでは落ちないのですが、汚れより分子の小さい洗剤であれば、汚れの分子を浮かせることができ、落としやすくなるそうです。
虫の死骸は塗装を傷めるので早めの洗車を
一方で、ていねいに洗車をしたとしても、夏の間では少し走っただけでまた汚れてしまいます。乗るたびに洗車をするという人もいるでしょうが、暑い時期に隅々まで洗車をするのはなかなかつらく、熱中症の危険もあります。
虫が付着しにくくする方法や、汚れを簡単に除去できる方法はあるのでしょうか。前出のH整備士は以下のように話します。
「洗車で虫の死骸を洗い流したら、新たな保護膜としてコーティングすることを忘れずにしてほしいです。
このコーティング層によって塗装面へのダメージを軽減し、新しい汚れもつきにくくなります。
この場合、汚れが付着しやすい油性のワックスよりもガラス系やフッ素系のコーティング剤のほうが、防汚性は期待できると思います」
車体に施工するコーティングにはさまざまな種類がありますが、一般的にワックスは名称の通り油分を含んでいるため、虫の死骸に含まれる油分とは親和性が高く、むしろ汚れを取り込んでしまいやすいそうです。
一方で、ガラスコーティングやフッ素コーティングと呼ばれるものは油分が少なく、施工後にしっかり硬化していれば、虫だけでなくさまざまな汚れが付着しにくい上に、付着しても比較的容易に除去することができます。
※ ※ ※
虫の死骸のこびりつきは夏では避けては通れない問題だけに、いかに手際良く洗車して、こびりついた虫の死骸を取り除くかがキモになりそうです。
もし虫が付着したら、塗装面に悪影響を及ぼさないようにできるだけ早く洗車をするとともに、コーティングなども活用して汚れても簡単に除去できる対策を取っておくとよさそうです。
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