1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

トヨタとスバルの「燃料」が変わった? 既存車でもエコなクルマになれる方法! 「カーボンニュートラル燃料」の現在地はいかに

くるまのニュース / 2023年7月10日 12時30分

昨今「カーボンニュートラル燃料」というワードが聞かれますが、実際にはどのようなものなのでしょうか。

■トヨタとスバルが取り組む「カーボンニュートラル燃料」とは

 昨今、地球の環境を考えた取り組みとひとつとして「カーボンニュートラル」というワードが聞かれるようになりました。
 
 そうした中で、トヨタとスバルは2022年から「カーボンニュートラル燃料」という新たな燃料に取り組んでいますが、現在どのような状況なのでしょうか。

トヨタとスバルはP1レーシング・フューエルズ製のカーボンニュートラル燃料を使っているトヨタとスバルはP1レーシング・フューエルズ製のカーボンニュートラル燃料を使っている

 日本では、2020年10月に政府が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」(カーボンニュートラル)を目指すことを宣言しました。

 カーボンニュートラルの定義について、環境省は、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味していると説明しています。

 自動車業界においてのカーボンニュートラルでは、開発・生産という部分でも様々な取り組みをしていますが、ユーザーが関心を持つのはパワートレインです。

 現在、世界ではガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車などが展開されています。

 その中で昨今聞かれるのが「BEVシフト」という電気自動車だけに切り替えていく戦略です。

 しかし電気自動車にもメリット・デメリットが存在する他、地域によってはインフラなどによりこれまでの内燃機関(ガソリン車やディーゼル車)のほうが活かせる場所も多く残ります。

 そうしたこともあり、電気インフラが難しい場所でも手段として水素技術(水素エンジンや燃料電池車)の市販化に向けた開発も進められています。

 一方で今後買い換えるクルマは電気自動車などに替えるということは可能ですが、既存の保有車についての課題は残ります。

 それに対する提案として、トヨタはAE86のエンジンを水素仕様にした「AE86 H2 Concept」とエンジンからモーターに載せ替えた「AE86 BEV Concept」を発表していますが、コストなどの課題は残ります。

 そうした中で、既存の内燃機関車でもカーボンニュートラルに取り組める手段として、近年注目を集めているのがカーボンニュートラル燃料です。

 このカーボンニュートラル燃料については、様々なモータースポーツのカテゴリーなどでもテスト的に使われはじめました。

 その中でもトヨタとスバルは、スーパー耐久の開発車両が参戦可能なST-Qクラスに、バイオマス由来の合成燃料(カーボンニュートラル燃料)を使用した車両(GR86とSUBARU BRZ)を投入すると2021年11月に発表し、2022年シリーズから参戦しています。

 このカーボンニュートラル燃料は、あくまでも走行中に排出するCO2がゼロなのではなく、燃料を作る際に大気中のCO2から分離した炭素を使うため、結果的に「CO2の排出量を実質ゼロ(=カーボンニュートラル)」になるというものです。

 なおカーボンニュートラル燃料にはいくつかの種類が存在します。

 まずバイオ燃料と言われるものには、食料系などを元にする「第1世代バイオ燃料」、非食用の原料(セルロース系原料)を元にする「第2世代バイオ燃料」、様々な原料を元に酸素を含まない炭化水素系の「次世代バイオ燃料」と分かれてます。

 もうひとつの合成燃料は、CO2(二酸化炭素)とH2(水素)を合成して製造されるものでカーボンニュートラル燃料とも呼ばれます。

 ガソリンの主成分は炭素(C)と水素(H)の化合物である炭化水素(CH)の集合体なので、それを化学的に作り出すという物になるため「人工的な原油」ともいわれています。

 最近では、「e-Fuel」と呼ばれるものも存在しますが、この「e」は「Electro」の頭文字となり、欧州や日本で定義が若干異なりますが、具体的には「再生可能エネルギー(再エネ)などでつくった電力エネルギーを使って作った水素」と「産業の排出源もしくは空気から直接回収された二酸化炭素」を原料として合成・製造した燃料です。

■話はトヨタ&スバルに戻り…2社が取り組むカーボンニュートラル燃料とは

 スーパー耐久シリーズにてトヨタとスバルは、28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」と61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」を用いて参戦しています。

 元々のGR86とSUBARU BRZは共に2.4リッター水平対向4気筒自然吸気エンジンに搭載していますが、スーパー耐久では28号車が1.4リッター直列3気筒ターボエンジン、61号車は純正と同じものと異なってます。

 これはカーボンニュートラル燃料を用いたときにターボ車と自然吸気車での違いを見るという側面もあるようです。

 そして、2022年シリーズの開幕戦から戦い、現在では2023年シリーズの第3戦菅生が7月8日・9日に終わったという状況ですが、この菅生戦でこれまで使っていたカーボンニュートラル燃料に変化があったといいます。

 元々2台が使っているのはP1レーシング・フューエルズ製のカーボンニュートラル燃料でJIS規格に適合するように調整されたものです。

 2022年シリーズの前半ではオイル希釈が問題となっていましたが、現在ではほぼ対応出来ているようでした。

カーボンニュートラル実現に向けたひとつの手段としてバイオマス由来の合成燃料(カーボンニュートラル燃料)に関心を寄せ開発を進めるトヨタとスバルカーボンニュートラル実現に向けたひとつの手段としてバイオマス由来の合成燃料(カーボンニュートラル燃料)に関心を寄せ開発を進めるトヨタとスバル

 そうした中で今回の改良版と言えるカーボンニュートラル燃料は何が変わったのでしょうか。

 GRパワートレイン開発部の小川輝氏は「トヨタとスバルでS耐を実験室として、カーボンニュートラル燃料に必要な成分などを燃料メーカー(P1など)と話しながら、改良を続けています。今回のP1改良版はこうした経緯を踏まえて出せるというタイミングで菅生に出しました」と語っています。

 大まかな進化ポイントとしてはこれまで使用していた燃料から改良版では希釈に関して約50%良化した他、燃費に関しても約2.5%良化しているなどが挙げられると言います。

 また改良版の使用に伴い、改良ショックトルク低減制御、ABV常時閉じ制御を新たに行っているようで、今回の菅生戦での結果を踏まえて改良版がどのようなポテンシャルを持っているのかを確認していくとしています。

※ ※ ※

 なおトヨタとスバルが使用しているP1レーシング・フューエルズ製のカーボンニュートラル燃料に関しては、今後マツダもロードスター(自然吸気直列4気筒エンジン)で採用して同じスーパー耐久シリーズに参戦することを明らかにしています。

 今後、3社の取り組みによりカーボンニュートラル燃料がユーザーにとって身近な存在となり、内燃機関車が生き残れる選択肢となることが期待されます。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください