なぜ「後席リクライニング」標準化しない? 「絶対必要でしょ!」声多数! 軽から高級車に設定も定番じゃない理由とは
くるまのニュース / 2023年7月19日 9時10分
クルマの快適装備として「後席リクライニング」が存在します。軽自動車から高級車まで採用されますが採用例はクルマによって異なります。なぜ定番化されないのでしょうか。
■「あれば快適なのに…」 後席リクライニングが標準装備にならない理由とは
クルマの装備有無において優先されるのは前席ですが、最近では後席でもそれなりな快適装備を備えているモデルも増えてきました。
そうした中で昔から一定の議論がなされる「後席リクライニング」の有無ですが、ユーザー、そしてメーカーはどのように考えているのでしょうか。
車内における快適装備は、低価格帯から高価格帯まで基本的には前席(運転席、助手席)が重視されます。
例えば、エアコン機能は前席には必ず送風口はありますが、後席ではある程度の価格帯モデルにならないと設定されません。
同様に最近では「シートヒーター」や「シートベンチレーション(シートクーラー)」も普及しており、「シートヒーター」に関しては軽自動車でも前席に採用するケースが見られます。
しかしながら、ある程度の高価格帯モデルでも後席にシートヒーターが備わるのは稀となり、最上級グレードに備わるくらいです。
またシートベンチレーションに関しては基本的に高価格帯モデルの前席のみというのが現在の定番となっています。
これらの快適装備は、装備採用のコスト面に左右されることがあり、ある程度の価格帯モデルでなければ採用が難しいのは理解出来ます。
一方でエアコンやシートヒーターなどよりも、機能(機構)として採用しやすい快適装備が「後席リクライニング」です。
後席リクライニングは、価格帯に関係なく昔から採用・非採用が分かれる装備となります。
例えば、軽自動車で人気の軽スーパハイトワゴンのホンダ「N-BOX」ダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」などでは後席リクライニングが備わっています。
これは、軽自動車という限られた空間を最大限に活用するために様々なシートアレンジが出来るという機能のひとつです。
同様に各社のミニバンでも多彩なシートアレンジの中に後席リクライニングが含まれています。
一方でセダンやSUVなどでは、後席リクライニングが採用されていないこともあり、中にはモデルチェンジ(一部改良)のタイミングで追加または廃止されるモデルも存在します。
例えば、マツダ「CX-5」は一部改良で後席リクライニングが追加された他、ホンダ「ヴェゼル」はフルモデルチェンジで廃止されました。
■後席リクライニングが有れば良いワケではなに? ヴェゼルが意識したコトは?
後席リクライニングについて、とある国産メーカーの担当者は次のように話していました。
「後席リクライニングの有無に関して、最初にシート構造の違いが挙げられます。
軽ワゴンやミニバンの場合、2列目シートは色々な使用を想定しているためシートが独立した作りとなっており、そのために前後にシートを倒せる他、スライド機構などが備わっています。
一方でセダンやSUV(2列シート)の場合は、シート自体がクルマにくっついています。
そのため、限られた車内空間においてベストな位置が決まっている上、そこでリクライニングをするとリアウィンドウなどに干渉する可能性があることから、後席リクライニングの採用はクルマによって難しい場合があります」
ホンダ「ヴェゼル」は後席リクライニングしないものの、チルトアップ機構は備わっている!
なお前述のヴェゼルに後席リクライニングが採用されない理由について、過去にホンダの担当者は次のように話していました。
「2代目ヴェゼルの後席はリクライニングしない仕様です。
この理由としては、後席リクライニングでは角度調整のギミックが必要ですが、これにより余分に空間を確保しなければいけません。
また同時にシート自体も固定式より厚みが薄く簡易なものになっていまいます。
そのため2代目ヴェゼルでは、しっかりとした厚みのあるシートと適正な角度にすることで、後席の快適性を実現させました」
※ ※ ※
また他の国産メーカー担当者は「セダンなどで後席リクライニングが採用されないのは、そもそも後席自体が人間工学に基づいて『長距離移動』でも疲労を感じさせない設計となっていることからが理由として挙げられます」と話していました。
一見、後席リクライニングがあったほうがユーザビリティが高いように思えますが、そのクルマ毎にユーザーが快適に過ごせる提案方法は異なるようです。
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