えっ! ヘッドライトで「車検落ちる」クルマ続出!? 原因は何? 検査基準“厳格化”で車検をクリアする方法は?
くるまのニュース / 2023年7月28日 22時10分
2015年9月1日より、車検でのヘッドライトの検査基準が厳格化されました。これによって明るさはもちろん、光軸(光が照らす方向)などの基準も厳しくなり、車検不合格となるケースが意外に増えているようです。
■ヘッドライトの検査はロービームのみ!
2015年9月1日より車検でのヘッドライトの検査基準が厳格化されていますが、これにより、車検で不合格となるクルマが増えているといいます。
その理由はヘッドライトの光量(明るさ)不足もありますが、光軸(光が照らす方向)などの基準も厳しくなったことから、これまでボーダーラインで適合していたケースでも通らなくなってくるようなのです。
車検の検査における基準の厳格化において、大きく変わったのがヘッドライトの「ハイビーム(走行用前照灯)」と「ロービーム(すれ違い用前照灯)」の扱いです。
従来はハイビームで検査されていましたが、使用の実状を踏まえて、ロービームに測定対象が変更されたのです。
これは1998年におこなわれた保安基準の見直しにより、それまでのハイビームではなくロービームを基準にヘッドライトが設計されるようになったことに起因しています。
また1998年当初は、新基準で設計された車両が少なかったこと、さらにロービーム対応の検査機器の普及が進んでいなかったため、ロービームでは不合格でもハイビームで合格すれば車検を通せる「経過措置(暫定措置)」がありました。
しかし、さすがに保安基準の見直しから17年以上が経過しており、2023年1月からは「ロービームでの検査で不適合=車検不合格」となる厳格化が図られています。
これについて、神奈川県のH整備士に聞いてみました。
「確かに、これまでの経過措置が減った印象はあります。つまり車検時には確実に基準に通過できる状態にしておく必要があるということです」
ヘッドライトの光量不足では、黄ばんだりくすんだりしている「ヘッドライトカバー」が原因となっていることがあります。
カバーに使われているポリカーボネイト樹脂が紫外線などによって表面に細かい傷ができ、その傷に汚れが溜まって黄ばみやくすみが発生。
その対処法として、表面のハードコート被膜や細かい傷が消えるまで研磨し、再度コーティングすればキレイに復活させることができ、光量の問題もクリアできるといいます。
ただし、研磨には時間と根気が必要となるほか、最近はヘッドライトのくすみ取りをおこなう業者も増えていることから、プロに頼むほうが良いかもしれません。
車検におけるヘッドライトの検査基準において、さらに厳格になったといわれるのが「光軸」です。
「最近の『ネオクラシカルブーム』もあって、2000年前後のクルマが現役で走っていることが増えており、新基準を満たすためにヘッドライトの光量アップを目的にLED化する人もいます。
ただ、ヘッドライトのLED化は単純なバルブ交換だけで済まないところが難しく、車検不合格になることが多い原因でもあります」(H整備士)
今までも検査対象ではありましたが、「光軸」つまり光の照射方向についての検査が厳格化されたということです。
「ロービーム基準では、対向車や前走車を眩惑させないように上方向の光をカットする『カットオフライン』というものがあり、この検査が厳しくなっているのです。
単純に古いクルマが経年劣化でカットラインがボケやすくなるというだけでなく、ハロゲンからLEDへのバルブ交換によってリフレクター(反射板)の照射角度が合わないため、基準をクリアできないケースが増えています。
カットオフラインの開始点・中心となる『エルボー点』が規定の位置にないとダメで、ずれていると正確なカットオフラインが出ないため車検不合格となるようです」(H整備士)
今では手軽なカスタムとして人気となっているLEDバルブへの交換ですが、古いクルマはそもそもハロゲン用のリフレクターのため、LEDでは光軸が異なるといいます。
実際にこのリフレクター不備で車検不合格になったケースもあるのだそう。LEDバルブの換装はDIYでもできる手軽なものですが、調整はやはりプロに任せるのが望ましいでしょう。
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