パトカーなのに「5本出しマフラー&ガルウィング」!? ド派手ゴールドの日産「スーパーZ」! 渡哲也さんが駆った「フェアレディZ」の正体とは
くるまのニュース / 2023年8月9日 18時10分
1979年から1984年にかけ放映された伝説の刑事ドラマ「西部警察」では、スーパーマシンの活躍も見どころのひとつでした。そんななかで、2020年8月10日に亡くなった渡哲也さんが乗っていた華やかなスーパーマシン、その名も「スーパーZ」について紹介します。
■壊した車両約4800台! スーパーマシンの活躍も華を添えた「西部警察」
昭和の名優、渡 哲也さんが2020年8月10日に亡くなってから、早くも3年が経とうとしています。
今回は、そんな渡さんの代表作のひとつである伝説の刑事ドラマ「西部警察」より、渡さんが熱演した大門刑事部長の愛用する劇中車「スーパーZ」にフォーカスします。
1979年から1984年にかけて、パートIからパートIIIの3シリーズ・全236話が放送された伝説の刑事ドラマ「西部警察」。
派手な銃撃戦や爆破シーン、激しいカーアクションを毎週のように繰り広げた同作は、今でも伝説の作品として多くのファンに支持され続けています。
西部警察がどれほど型破りな作品だったかを示すデータがあります。
日曜日の午後8時に放映された全236話の平均視聴率は14.5%(関東地区)。出演俳優は約1万2000人、ロケ地は4500箇所、飛ばしたヘリコプターは600機、壊した車両の台数はなんと約4680台も。
壊した家屋や建物は320軒、使用された火薬の量は4.8トン、使用されたガソリンの量は1万2000リットル、そして始末書の枚数が45枚というから驚きます。
なお破壊された車両は1話平均で約20台にも達しており、カーアクションの凄さを物語っています。
石原裕次郎さん、舘ひろしさん、寺尾聰さんなど、名立たるスター俳優たちが、画面狭しと大活躍しました。
そして西部署捜査課の刑事たち「大門軍団」をまとめるリーダーが、渡哲也さんの演じる大門 圭介 部長刑事です。
大門部長刑事は、部下から「団長」と呼ばれて親しまれていました。
短髪・サングラス、渡氏のすらっとした長身痩躯の体格にブルー系のスリーピース・スーツ(初期作品のみ異なる)で決めたスタイルはダンディそのもの。
今なお多くのファンが「大門のコスプレ」をするほどで、大門部長刑事のキャラクターが愛され続けていることを示しています。
そんな西部警察の人気を支える重要な役割を果たしたもうひとつのスターといえるのが、登場する車両たちでした。
日産が全面協力した同作では、刑事たちが所属する「西部署」(警視庁 西部警察署)に、黒い覆面車や白黒のパトロールカーとして「セドリック」などが使用されるほか、「マシンX」「マシンRS」「スーパーZ」などの様々なスーパーマシン(特別機動車両)が配属され、巨悪と闘ったのです。
車両によってはチューンアップされたエンジンを搭載し、武装やコンピュータ、追跡装置などの特殊装置を満載、という設定だったため、車内がメカメカしい機器でいっぱいのマシンも。
アルミホイールやエアロパーツを組み込むなど、外装がドレスアップされていたことも特徴です。
劇中に登場する“ターボ”や“コンピュータ”などが最先端の技術だった当時では、その「速さ」と「ハイテク感」がいっぱい詰まったスーパーマシンはまさに夢の塊といえ、当時の子供たち(や大人)を熱狂させ、今なお高い人気を誇っているのです。
■華やかな特別機動車両の代表格「スーパーZ」とは
主役の大門部長刑事が劇中で愛用していたのが、前述のスーパーZです。
大門部長刑事は、パートIの45話「大激走! スーパーマシン」(1980年8月24日放送)以降は、特別機動車両のマシンXに乗っていましたが、パートII 第15話「ニューフェイス!! 西部機動軍団」(1982年9月26日放送)から、スーパーZに乗り換えています。
なおこの回では、マシンRS(のちに改造されてRS-3へ)もデビューしています。
スーパーZのガルウィングは見た目の派手さだけでなく、アクションシーンにも有効だった[(C)石原音楽出版社/ポニーキャニオン]
2代目フェアレディZの後期型「280 Tバールーフ 2by2」(3速AT)をベースとしたスーパーZ最大の特徴は、油圧で大きく上方に開くガルウィングドアです。
しかし上に開くのはボディカラーで見ると金色の部分のみで、黒い部分は通常のドアのようにヒンジ式で開閉します。
見た目のインパクトが大きなガルウィングドアですが、元来2代目フェアレディZにはTバールーフが設定されていたため、構造的にも改造は容易だったために採用された、とのこと。
ガルウィングドアでは開口部が高くなって乗降性が悪くなる場合がありますが、スーパーZでは下半分が通常モデルよりも低い開口部のヒンジドアに改造されたため、乗り降りのみならず、走りながらのガンアクションもしやすくすることができたといいます。
スーパーZを個性づける派手な金と黒のツートンカラーは、西部警察のオリジナル色です。
ルーフセンターの赤色回転灯、ルーバータイプのクォーターウィンドウ、当時市販車では未認可だったドアミラー(実際にはボディ側に装着)も外観上のポイントです。
エンジンはノーマルと同じ2.8リッター直列6気筒「L28E」型で、最高速度は250km/hと設定されていました。
リアバンパー下からは5本の管が出ていますが、このうち排気管はセンターの1本のみで、残りは「スカンク」と呼ばれる煙幕発生装置でした。
このほか特殊武装としては、ボンネット左右に2連式の催涙弾発射装置、フロントバンパー下部には左右可動式のサーチライトを装着。
車内はほかのスーパーマシンに比べれば装備が少なく、上記特殊装備の操作パネル、警察無線装置、自動車電話が見られるのみです。
スーパーZは基本的に「大門専用車」だったので、ほぼ大門部長刑事が乗り込んでいましたが、劇中では鳩村英次刑事(演:舘ひろし氏)や大将こと山県新之助刑事(演:柴俊夫氏)、平尾一兵刑事(演:峰竜太氏)などもステアリングを握っています。
金と黒のスーパーZを華麗なテクニックで走らせ、時には車上から犯人を撃ち、そして降りてくるときの大門部長刑事のカッコよさ!
これを改めて感じるには、実際に西部警察を見るより他にありませんが、現在もポニーキャニオンから「コンプリートDVD BOX」が発売されているほか、アマゾンプライム、Huluなどの配信サービスでも視聴が可能となっています。
※ ※ ※
なおスーパーZを語る上で欠かせないエピソードとして挙げておきたいのが、パートII 第14話「マシンZ・白昼の対決」が挙げられます。
スーパーZのニセモノが現れるという衝撃の回で、ゴールドのスーパーZ同士が富士スピードウェイでバトルを繰り広げる名シーンは、今もなお語り草となっています。
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