直線距離約20キロでもぜんぜん違った!? どっちが速い? 「スマホ地図アプリ」vs「カーナビ」の意外な結果とは
くるまのニュース / 2023年8月12日 12時10分
ドライブの際に、カーナビやスマートフォンの地図アプリを活用するのはすっかり当たり前となりましたが、それぞれの違いはあるのでしょうか。2チームに分かれ検証した結果について紹介します。
■似てるようで異なる「カーナビ」と「地図アプリ」の違いとは
知らない道を走るとき「カーナビ」を活用するのはすっかり当たり前になりましたが、一方で近年はスマホの「地図アプリ」で代用する人も増えています。
同じ目的地に向かおうとした場合、カーナビと地図アプリはそれぞれどういったコースを選ぶのでしょうか。実際に検証してみました。
ドライブの際に欠かせない存在となったカーナビや地図アプリ。
共に通信機能を活用することでリアルタイムの渋滞距離などを取り入れ、常に最新の道路情報を更新しながら、バランス良くコースを選定してくれる心強い味方です。
例えば普段よく使うルートで検索しても、ナビやアプリによって選定するルートが異なる場合もあり「そういうコースを選ぶのか」と感心することもたびたびあります。
そこで今回は2台のクルマを使い、直線距離20キロ弱のコースをカーナビチームと地図アプリチームに分かれて比較してみることにしました。
ほんのわずかな距離でも、コース選定に違いは出るのでしょうか。
カーナビチームのクルマはホンダのコンパクトミニバン「フリード」。車両にはホンダ純正の「プレミアム インターナビ」が備わっていました。
全国の道の交通情報をFM多重放送などで伝えるVICS情報に加え、全国を走るインターナビ装着車からリアルタイムで収集した独自の交通情報を組み合わせることで、より高精度なルート案内ができるといいます。
対するスマホ地図アプリチームは、Google(グーグル)マップのナビ機能を使います。
さまざまな検索方法で目的地を探すことが出来るほか、音声による案内も年々進化を続けています。
リアルタイムの混雑状況などを常にルート選定に反映し続けている点は最新のカーナビとも共通しているようです。
今回のスタート地点は、神奈川県大磯町の漁港「大磯港」。ゴール地点は秦野市の「神奈川県立秦野戸川公園」としました。直線距離にして20キロに満たない距離です。
2台は同時にスタートし、湘南エリアの沿岸部から丹沢山系のふもとまで向かいます。
カーナビが示したのは、主に一般道を使うおよそ21kmのルートで、ゴールまでの所要時間はおよそ42分だといいます。
一方でスマホの地図アプリは、意外なルートを提案してきました。
予想走行距離はおよそ37kmで、到着予想時間は36分です。
果たしてどちらが早くゴールに到着するのでしょうか。
■「最速」を目指す地図アプリは遠回りの高速道経由で「3分」早着!
カーナビチームは、有料道路の西湘バイパスを無料区間だけ使い、国道1号線に。
そして二宮町で右に曲がり、東名道の秦野中井インターチェンジ方面に進むよう案内します。取材は日曜日の昼間に行いましたが大きな渋滞もなく、進路は順調です。
スマホの地図アプリチームも無事にゴールの秦野市「神奈川県立秦野戸川公園」に到着
カーナビはそのまま秦野中井インターチェンジを過ぎ、秦野市街地で左折。秦野駅前を過ぎ、水無川沿いのルートを進んでいきます。
道はほぼ直線ですが常に緩やかな登り坂で、山間部に向かっていることを教えてくれます。
そしてカーナビの予想とほぼ同じ、41分ほどでゴールの神奈川県立秦野戸川公園に到着しました。
有料区間はなかったので、通行料金は無料。走行区間はおよそ21キロでした。
対するスマホの地図アプリチームは、大磯港のスタート地点からカーナビチームとは真逆の東京方面へと進路を取りました。
少しでも土地勘がある人なら「ルートを間違ったのでは」と不安を覚えるかもしれません。
ただ予定の経路をたどってみれば、高速道路を優先した最速ルート設定となっていることがわかります。
そのコースは新湘南バイパスから圏央道、新東名道を経由してゴールへ向かうことをすすめています。
こちらも国道134号の流れが少し滞ったくらいで、あとは順調そのものでした。
ゴールの神奈川県立秦野戸川公園は新東名道の秦野丹沢スマートインターチェンジに隣接しており、最後までスムーズに進むことが出来ました。
約36キロの道のりをおよそ38分で到着。ルートこそカーナビチームより15キロも余計に走っていますが、3分ほど速くつくことが出来ました。
■比べて分かった「カーナビ」と「地図アプリ」設計思想の違い
2チームでは、ルート選択の考え方が大きく違っていました。
カーナビでは一般的に複数のルートを選択する機能があり、距離優先や一般道優先などの選択肢のなかで「最速ルート」もあります。
そんななかで今回のテスト車両には、推奨ルートが真っ先に表示される仕様となっていました。
あらためて地図上で比べてみると、2チームのルート選択が大きく違っていたことが確認できます[国土地理院の地図を編集部で加工して使用]
これに対し今回使用した地図アプリでは、何より「最速」でゴールに到着することを優先したルートを瞬時に選んだのです。
このスピード感は、スマホならではの感覚といえます。
反面、有料区間を駆使して最速ルートを選んだ結果、730円の通行料金がかかっています。
今回のルートでは、わずか3分の早着のためにこのエクストラコストをかけたことになります。
カーナビではこうしたコストとのバランスを最適化したうえで、推奨ルートを選択していることも同時に理解できます。
この設計思想の違いをどう判断するかは悩ましいところですが、ルートの距離が長くなればなるほど、その差は広がっていくのも確かです。
また、おそらくカーナビでも、今回のルートよりも長い区間の場合には高速道路を使ったルートを最適と判断し、推奨することでしょう。
なおスマホの地図アプリでも、カーナビ同様に「高速道路を使わない」「有料道路を使わない」といった経路オプションを選択できます。
※ ※ ※
地図アプリのほかに、スマホにはカーナビ機能に特化した専用のアプリも用意されています。
その場合は、車載カーナビ同様の多機能なルート選択も可能となっているので、頻繁にクルマの移動を行う人は使ってみると良いでしょう。
車載カーナビやスマホアプリ、いずれの場合でも、ルート設定をしたらすぐにスタートせずに、一般道ルートなど他の選択肢も比較してから走り出すことを強くオススメします。
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