「軽自動車」と「小型車」買うならどっちが良い? ホンダの人気車「N-BOX」と「フィット」で徹底検証!
くるまのニュース / 2023年8月17日 21時10分
ホンダの屋台骨を支えるモデルが「フィット」と「N-BOX」です。売れ筋の2車種ですが、実際のところどちらが優秀なのでしょうか。それぞれの特徴をさまざまな面から比較してみました。
■ガソリン車だったらほぼ同じ価格帯のライバル同士!?
コンパクトカー(普通車)と軽自動車のどちらを選ぶべきかという悩みは、小さめのクルマの購入を考えているときの「あるある」ではないでしょうか。
それが日本で最も売れているホンダの軽自動車「N-BOX」と、同じくホンダのコンパクトカー「フィット」との比較ともなれば、どちらかに決めるのは困難を極めます。きっとこれまでに多くの人が悩んだことでしょう。
そこで、両車をスペックやオーナーの声などから多角的に比較。なお、N-BOXは2023年秋に3代目となる新型モデルが登場予定です。今回は現行モデルの2代目N-BOXと、4代目フィットで比べてみます。
まずは、車両価格です。2020年に登場した現行フィットの価格(消費税込、以下同様)は162万4700円(BASIC・FF)から271万8100円(e:HEV LUXE・4WD)です。
一方の現行N-BOXは2017年に登場した2代目モデルで、146万8500円(G・FF)から228万8000円(カスタム・Lターボコーディネートスタイル・4WD)です。
両車の最安値は約15万円差なのに対し、最高値では約43万円もの差がついています。これは主にフィットのハイブリッドシステムが高額なためでしょう。なお、フィットのガソリン車の最高値は236万1700円(LUXE・4WD)なので、N-BOXとの差は8万円以下にまで縮まります。
では、税金はどうなのでしょうか。N-BOX(L・自然吸気・FF)とフィット(e:HEV HOME・FF)の新車購入時に支払う税金を見てみると、「自動車税環境性能割」はどちらも0円です。
「自動車重量税」はN-BOXが3300円でフィットは0円、自動車税は8月登録の場合フィットは月割で1万7700円ですが、軽自動車税は月割という制度がなく翌年からの課税(1万800円)となるためN-BOXは0円。ここまでの両車の差額は1万4400円です。
ちなみにフィットのガソリン車(HOME・ガソリン・FF)は自動車税環境性能割が4万6500円、自動車重量税が3万6900円となり合計金額は10万1100円のため、N-BOXとの差は広がり9万7800円になります。
保険はどうでしょうか。「自賠責保険(37か月)」はガソリン車、ハイブリッド車を問わずフィットは2万4190円で、N-BOXは2万4010円とほとんど差はありません。任意保険は加入条件や保険会社により値段が変わるので細かい数字は出せませんが、だいたい軽自動車のほうが2割ほど安いのが相場です。
動力性能および燃費では、フィットのパワーユニットは1.3リッター直列4気筒エンジン(118馬力)と、1.5リッター直列4気筒エンジン(106馬力)+モーター(123馬力)のハイブリッド(e:HEV)。燃費性能はそれぞれ18.5km/Lと29.0km/L(WLTCモード・HOME・FF)とやはりハイブリッドに軍配が上がります。
フィットのガソリン車オーナーからは「過不足ない性能。実燃費は15km/Lぐらい」、ハイブリッド車オーナーからは「発進から力強くスムーズ。丁寧に走れば30km/Lも」といった趣旨の声が多いようです。
一方のN-BOXは658cc直列3気筒ガソリンエンジンで、58馬力の自然吸気と64馬力のターボ付きをラインナップ。それぞれの燃費は21.2km/Lと20.2km/L(WLTCモード・L・FF)で、カタログ値では大きな差はありません。
N-BOXの自然吸気とターボは、スペック上ではわずか6馬力しか違いはありませんが、ターボ車オーナーによると「乗り比べると全然違う」のだとか。その一方で、「エンジンやCVTの制御が洗練されているからか、自然吸気でもふた昔前の軽のターボに近いぐらいのパワー感」という声もあるようです。
■フィットのほうが全長が長いのに、室内長はN-BOXが長い不思議
両車ともにコンパクトなボディが特徴ですが、取り回し性能も気になるところでしょう。
フィットのボディサイズは全長3995mm×全幅1695mm×全高1540mmで最小回転半径は4.9m(e:HEV HOME・FF)。対するN-BOXは全長3395mm×全幅1475mm×全高1790mmで最小回転半径は4.5m(L・自然吸気・FF)と、ボディの小ささを活かして取り回しはN-BOXが有利です。
ホンダ「N-BOX カスタム コーディネートスタイル」
運転席からの視界はフィットの美点のひとつ。オーナーに話を聞くと、「低いダッシュボードのおかげで視界が広くて気持ちが良いです。ただ、Aピラーの死角のなさが話題になっていましたが、ちょっと期待が大きすぎました」とのことでした。
一方のN-BOXは、初代から乗り継いだオーナーいわく、「視点が高いから快適ですが、現行モデルになってダッシュボードの厚みが増したというか、メーターがハンドルより上に配置されるタイプになったので、旧型よりちょっと視界が悪くなった気がします」と印象を話してくれました。
また、両車(FF車)ともサスペンション形式は、前が「ストラット式」、後が「車軸式」と同じ形式を採用しますが、ハンドリングあるいはコーナリング性能についてはトレッドが広くホイールベースが長いことからフィットが有利。
乗り心地はどちらも快適に仕上げられていますが、フィットには「フラットで良いのですがたまに突き上げを感じることが……」という不満の声も。N-BOXは「ソフトな乗り心地は最高ですが、そのぶんロールが大きくなってコーナーで不安を感じることも」との厳しい意見もあったりします。
室内寸法(長さ×幅×高さ)はフィットが1955mm×1445mm×1260mmで、N-BOXが2240mm×1350mm×1400mm。室内幅はフィット、室内高はN-BOXが勝るのは見た目通りかもしれませんが、室内長は全長が短いにもかかわらずN-BOXのほうが長く取られています。
「顔の周りや頭上に余裕があると実際以上に広々と感じます」とはN-BOXオーナーのコメント。先代フィットから現行へと乗り継いだフィット好きからは「寸法的には3代目とほぼ同じなのですが、ダッシュボードやドアトリムの形状がよく考えられて広くなった感じがします」という声が上がっています。ちなみに、収納箇所が多いのはN-BOXです。
なお、どちらもセンタータンクレイアウトを活かしシートアレンジは多彩でほぼ互角。ただし、N-BOXの上級グレードには助手席が大きくスライドする「スーパースライドシート」が備わり、前後シート間のアクセスが容易にできるというプラスαがあります。
安全装備として、両車とも「Honda SENSING」が搭載されていますが、フィットには「近距離衝突軽減ブレーキ」と「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」が標準です。トラフィックジャムアシストは高速道路を低速走行時にステアリング操作を支援してくれる機能で、2022年秋のマイナーチェンジを機に採用されました。そのため「自分のクルマにも欲しかった」という前期型オーナーも多いようです。
N-BOXは、2021年12月の一部改良で、ユーザーからニーズが高かった「オートブレーキホールド付電子制御パーキングブレーキ」を全車に標準装備としました。また、ACCは0km/hから対応する渋滞追従機能付ACCへと進化し、高速道路における渋滞時などの負荷軽減を図りました。
※ ※ ※
初代の登場から販売台数ランキングTOP3の常連だったフィットですが、現行モデルは少々苦戦が続いています。その理由のひとつが、フィットを買いに来たのに同じ販売店で売っているN-BOXを買ってしまう人が多いからとか。
フィットは間違いなく優れたコンパクトカーですが、それに匹敵するほどN-BOXの完成度が高いということでしょう。
2023年秋に新型N-BOXが登場しますが、ホンダの軽・コンパクトカーの動向に変化が見られるのか注目されます。
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