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なぜ救急車に「道譲らない」クルマ急増? 「どうすれば良い?」対応わからない人もいる? 正しい対処とは

くるまのニュース / 2023年8月23日 7時40分

後方から救急車などの緊急車両が近づいているにもかかわらず、道を譲らないドライバーが増えているといいます。どのような理由があるのでしょうか。

■救急車に道を譲るのは「マナー」ではなく「義務」です

 近年、救急車に道を譲らない人が増えているそうです。総務省が公表した「令和4年版 救急・救助の現況」によると、2021年中の救急車の現場到着所要時間や病院収容所要時間(入電から医師引継ぎまでに要した時間)はどちらも延伸傾向だといいます。
 
 これには、ドライバーの意識不足というだけではない、さまざまな理由があるようです。

 救急車を含む、緊急車両に道を譲るのは「マナーの範囲」だと思っている人もいるといいます。

 しかしこれは道路交通法で決められているドライバーの義務であり、救急車(を含む緊急車両)に道を譲らなければ(=走行を妨害すれば)、交通違反となる行為です。

 緊急走行中の緊急車両の走行を妨げる行為に関して、道路交通法では、「緊急車等妨害違反」と「本線車道緊急車妨害違反」という2つが定義されています。

 緊急車等妨害違反は、緊急走行中の緊急車両が自車に近づいているのにもかかわらず、そのまま走行を続ける違反行為で、反則金は、普通車の場合だと6000円、交通違反点数は1点です。

 本線車道緊急車妨害違反は、緊急走行中の緊急車両が、一般道や高速道路などで、本線車道に車線変更するときや、本線車道に合流するときに進行を妨害する違反行為で、こちらも同じく、反則金は普通車で6000円、交通違反点数は1点と定められています。

 この場合の“緊急車両”に該当するものを具体的に挙げると、救急車やパトカー、消防車のほか、JAFやハイウェイパトロール、電気やガスといったインフラ系の緊急作業車、そして自衛隊、日本赤十字社の血液運搬車、国土交通省の災害本部車や地方公共団体が所有する車両、などがあります。

 いずれも緊急走行中、つまり、「赤色の警光灯が点灯しているとき」には、道を譲らなければなりません。

 これら緊急走行中の緊急車両が接近していることを知るために重要なのが「サイレン音」です。

 サイレン音に関しては近年「聴こえづらい」という声も多いといいます。

 救急車のサイレン音には、「前方20メートルの位置において90デシベル以上120デシベル以下」という基準がありますが、この音量基準は1951年から見直しがされていません。

 基準設定当時と比べて窓を開けて走行するクルマが少なくなったことや、近年のクルマは遮音性が高くなっていることなどによって、ドライバーにサイレン音が認知されづらくなっていることで、救急車に道を譲らないクルマが増えてしまっている可能性があります。

 サイレン音は高齢者には聴きづらい周波数であるため、ドライバーが高齢化していることも、関係しているかもしれません。

 また、サイレン音が工夫されていることも、ドライバーがサイレン音を聴き取りづらくなっている理由だと考えられます。

 近年は、救急車のサイレン音が「うるさい」との苦情も多いようで、サイレンを製造するメーカーは、決められた基準のなかで、音量を下げたり音質を柔らかくしたりという工夫をしているとのことです。

 サイレン音にはいろいろなモードがあり、救急車が走行する場所によって音を使い分けているようですが、総じて耳当たりが良くなっているとすれば、それは、気付きにくいことにもつながっているのではないでしょうか。

 救急車のサイレン音に関しては、「サイレン音が聴こえてもどこから救急車が来るのか分からない」ということがあるかと思います。

 これも、音が広がらないようスピーカーの位置を工夫していることに原因があるとメーカーでは説明しています。

 もちろん聴こえさえすれば、どこから来るのか、周囲を見渡して道を譲ることはできますが、道を譲る操作が遅れることにつながっている可能性は考えられます。

 海外では、高齢者にも聴き取りやすいよう、複数の周波数をもつサイレン音を採用しているそうです。

 日本も、サイレン音の音量や音質、またスピーカーの位置など、見直しが必要だと考えられます。

 また、カーナビに緊急車両の位置情報を表示させる、という技術開発も進んでいるようで、位置が分かることで早い段階から対応ができることから、期待できる技術です。

 こうした技術の進歩によるフォローも重要ですが同時に、緊急走行中の救急車には、人命がかかっていることを想像する、我々ドライバーの想像力と助け合いの力も必要だと考えます。

※ ※ ※

 渋滞中の道で、緊急車両が通行するための道があけられていく様子は、ドライバーの義務とはいえ、助け合いの結果ともいえます。

 そんな“助け合い”の様子も、救急車に乗っている当事者やその家族にとっては、皆が神様のようにも見えるそう。

 いつ自分や家族が、緊急車両に乗る側に回るかもしれません。

 緊急走行中の緊急車両には、しっかり道を譲りましょう。

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