もはや懐かしい? ド派手な「水中花シフトノブ」の現在は? 「消滅」と思いきや実は“復活”の兆しも
くるまのニュース / 2023年8月23日 11時10分
かつてクルマの定番アクセサリーとして流行した「水中花シフトノブ」は、現在どうなっているのでしょうか。
■もはや懐かしい? 「水中花シフトノブ」の現在は
現在に至るまで多様なカーアクセサリーが登場し、一部は流行ともいえるほど、街ゆく多くのクルマに装着されている製品もあります。
そんなアクセサリーのひとつに、「水中花シフトノブ」があったのを覚えている人がいるかもしれません。かつて一世を風靡(ふうび)したこの水中花シフトノブは、現在どうなっているのでしょうか。
1980年代は、車内を彩る個性的なアクセサリーが数多く登場していました。芳香剤や灰皿、人形や小物といったダッシュボードに置く装飾品など、流行したものも多くあります。
その中でも人気だったのが水中花シフトノブです。造花をアクリル製のシフトノブに埋め込んでおり、まるで水中花のように見えることから、水中花シフトノブと呼ばれました。
アクリルの透明度ともあいまって水の中に花が浮かんでいるような見た目が美しく、ドレスアップパーツとして高い人気を誇りました。
特に人気だったのは1980年代で、愛車のシフトレバーを水中花シフトノブに交換する人が続出したほどです。
それから40年ほどが経過しましたが、実は現在、水中花シフトノブの新品がネットショップなどで販売されています。
しかし、そのほとんどは日本製ではなく、当時の物を再現した海外製なのです。以前は国産ばかりでしたが、現在も国内生産の水中花シフトノブは存在するのでしょうか。
水中花シフトノブを生み出した星光産業(同社では「アクリルフラワーノブ」として販売)に聞いたところ、2011年頃を最後に取り扱いを終了したとのこと。担当者は以下のように話します。
「当時と比べて、現在はMT車の販売比率が大幅に減ったことで需要が下がったことと、水中花シフトノブを製造できる工場がなくなってしまったからです」
AT車とMT車の新車販売比率を見ると、1985年ではAT車はむしろ少なく、全体の半数以下、48.5%しかありませんでした。
1990年代以降はAT車が急速に普及し、近年ではおよそ99%がAT車(CVTを含む)となり、現在のMT車比率はわずか1%程度へと減少しています。
このように装着できるMT車が大幅に少なくなってしまったことから、水中花シフトノブも徐々に消滅していったのです。
また、星光産業によると国内製造品については、大手メーカーによる製造・販売はほとんど見られないといい、かつて多くのドライバーが愛車に装備していた水中花シフトノブですが、現在では「懐かしのカーアクセサリー」になってしまっているようです。
■実は人気カスタムパーツメーカーが「復活」させていた
とはいえ、近年では1980年代のファッションや音楽などがトレンドとなり、旧車もひとつのブームを迎えています。
旧車ユーザーの間では、カセットデッキなどのパーツやキーホルダー、芳香剤といった当時のグッズのカスタムが流行しているようです。
水中花シフトノブも例外ではなく、当時国内メーカーが製造した中古品はフリマアプリや個人売買サイトなどで多数販売されており、奇跡的に新品状態で残っているものは数万円程度の高値で取り引きされています。
GReddyの水中花シフトノブ(画像提供:昭和トラスト)
さらに、「GReddy」ブランドのカスタムパーツを手掛ける昭和トラストは、2023年7月下旬に数量限定で水中花シフトノブを販売。
職人による手作業により製作され、特徴はGReddyロゴをメインにしコーポレートカラーの三色をイメージした花を入れたデザインです。
昭和トラストの担当者は限定で復活させた経緯について、以下のように話します。
「以前から販売しているアルミメッキの シフトノブが順調に売れていてその流れから、古株の社員(昭和入社世代)と若い社員(20代)の雑談の中でアイデアが生まれ、SNSの反響を見て販売に至りました」
実際に、先行販売を行っていた「GReddy 水中花シフトノブ Sサイズ(約75mm)」はすぐに完売。海外も含め、購入した幅広いユーザーからは好評価だといいます。
「若いユーザーは『珍しい』『おしゃれな感じ!』とのコメントが、年配のユーザーは『懐かしい!』との評価を得ています」(昭和トラスト担当者)
今後は多くの車種に対応できるよう、Mサイズ(115mm)とLサイズ(170mm)サイズの製品も展開するとしています。
旧車ブームの今、おじさん世代では懐かしいと思われていたカスタムも、若い世代にとっては新鮮に映るようで、今後さらに水中花シフトノブへの注目が高まることがあるのかもしれません。
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