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日産の「4ドア小型セダン」がスゴかった! “欧州車超え”評価もあった名車「プリメーラ」とは何だったのか

くるまのニュース / 2023年8月25日 19時10分

日本がバブル景気の真っ只中にあった1990年に日産が発売した4ドアセダンが、初代「プリメーラ」(P10型)でした。デビューから30年以上が経過した今もなお、日産ファンから「名車」と呼ばれるプリメーラとは、どんなクルマだったのでしょうか。

■「セダン」が輝いていた1990年代に高評価を得た初代「プリメーラ」

 今ではすっかり人気が下火となってしまった「セダン」(4ドアセダン)ですが、1990年代には日本のクルマ好きが熱狂するセダンが多く存在していました。
 
 その中でも群を抜いて高い評価を集めていたのが、1990年2月に登場した日産「プリメーラ」の初代モデル(通称「P10型」)でしょう。

 この初代プリメーラは、日産自動車が「1990年代までに技術の世界一を目指す」車作りを目標とした「901運動(P901)」によって生まれた車両のひとつで、欧州市場をメインターゲットとしたモデルです。

 クリーンかつスタイリッシュなボディのデザインは、どことなくヨーロッパのセダンを想起させるものとなっていました。

 ボディサイズは、全長4400mm×全幅1695mm×全高1385mm。5ナンバー枠に収まる小型車で、今みると非常にコンパクトに感じられます。

 もちろん欧州車テイストだったのは見た目だけではなく、走りの面や実用性、優れたパッケージングに至るまで多くの面で欧州車を強く意識したものとなっており、とりわけ走り味は欧州車を超えたという評価が与えられるほどだったのです。

 その足回りは、フロントがマルチリンク式、リアがパラレルリンク式の4輪独立サスペンションとなっていました。

 高いボディ剛性と、硬めながらも芯のあるハンドリングは輸入車オーナーをも唸らせる仕上がりで、当時は輸入車からプリメーラに乗り換えたユーザーも少なくなかったと言われるほどでした。

 セダンボディも、80年代後半から流行した全高の低い4ドアクーペスタイルではなく、しっかりとキャビンスペースを確保ながらも、フロントウインドウを寝かせ気味として空気抵抗を減らすなど、走りと室内空間を両立。

 インテリアでは横方向の空間を稼ぐためか、パワーウインドウスイッチをセンターコンソールに設け(マイナーチェンジでドア側に移動)、シートの背もたれの調整はレバー式ではなく細かな調節が可能なダイヤル式にするなど、細かな部分も欧州車を強く意識していることが感じ取れたのでした。

 搭載エンジンは、1.8リッターと2リッターの直列4気筒をラインナップしていましたが、なかでも2リッターモデルは欧州車に負けないスポーティな走りを実現するために、プレミアムガソリン(ハイオク)仕様にするなど、細かな部分でも輸入車的なテイストが散りばめられていたのです。

 ただ、あまりに欧州車的過ぎたことから、国産車に慣れたユーザーからは足回りが硬すぎるという声もあったようで、マイナーチェンジで足回りの設定が見直されるという事態も起きたほどでした。

■英国仕様の5ドア仕様も設定 また国内外のレースでも大活躍!

 そんなプリメーラは、メインターゲットとなる欧州・英国日産のサンダーランド工場(イギリス)でも生産が行われていました。

 1991年10月からは、その英国で生産された5ドアハッチバックボディを持つモデル「2.0e GT」(のちに「2.0SLX」も追加設定)を輸入して、国内のラインナップに追加しています。

写真は英国日産で生産された「プリメーラ」欧州仕様の5ドアハッチバックモデル写真は英国日産で生産された「プリメーラ」欧州仕様の5ドアハッチバックモデル

 またモデル末期となる1994年11月には、オーテックジャパン(現:日産モータースポーツ&カスタマイズ)が手掛ける「オーテックバージョン」を発売。

 このモデルは当時プリメーラがJTCC(全日本ツーリングカー選手権)に参戦していたことを記念したモデルとなっており、2リッターエンジンは専用チューニングを施して+30PSの180PSとし、クロスレシオの5速MTやフロントビスカスLSD、専用の足回りにエアロパーツまでまとった本気のチューンドモデルとなっていました。

 このように欧州市場をターゲットに日産が本気で開発をした初代プリメーラは、しっかり欧州でも評価された1台となっており、ドイツでは40年以上の歴史を持つ「ゴールデン・ステアリング・ホイール賞」を、イタリアでは「カー・オブ・ヨーロッパ1991」を受賞するなど大小さまざまな賞を受賞しました。

 また欧州だけでなく、実は北米地域でも日産の高級車ブランドであるインフィニティのエントリーモデル「G20」として投入されており、買いやすい価格と充実した装備、そして欧州車並みの走行性能を持ち合わせる1台として一定の評価を集めていたのでした。

※ ※ ※

 2023年8月には、プリメーラのクルマづくりの基礎となったP901と同じ手法を用いて開発された「スカイラインNISMO」が登場。日産のセダン車で今もなお、愚直な開発思想が生かされているのは非常に興味深いところです。

 すでに登場から30年以上が経過している初代プリメーラではありますが、未だに歴代トップクラスのハンドリング性能を持ち合わせたFF4ドアセダンと評価する声も根強く、状態のよい中古車は100万円を超えるプライスタグが付けられているほど。

 近年では国産セダンの人気もすっかり低迷してしまっている状況ですが、初代プリメーラのような小型4ドアセダン車の再登場を期待している往年の日産ファンは、今も決して少なくないといえるでしょう。

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