まさかの「グミみたいな車」あった!? 衝撃の「プヨプヨボディ」採用! ナゾすぎたホンダ「PUYO」とは何だったのか
くるまのニュース / 2023年9月7日 22時10分
ホンダが2007年の東京モーターショーで世界初公開した斬新モデル「PUYO」はどのような特徴があるのでしょうか。
■プヨプヨボディを採用 ペットのような可愛さを表現
国内最大の自動車展示会「東京モーターショー」ではさまざまな新型車やコンセプトカーが発表されてきました。次回の開催は2023年10月ですが、名称が変更されて新たに「ジャパンモビリティショー」として開催されます。
そんな東京モーターショーのなかでも、ホンダは2007年に、ボディに柔らかいジェル素材を用いるという極めて斬新な発想を用いたモデルを初公開していました。
2007年10月26日から17日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で第40回東京モーターショー2007が開催されました。
2007年は、アメリカを発端とする低所得者向け住宅ローンのサブプライム問題が起こったほか、原油価格の高騰、新潟県中越沖を震源とする大きな地震が発生するなど、日本だけでなく世界的にもいいニュースは少なく、好景気とはいえない状態が続いていました。
しかし、東京モーターショー2007ではショーテーマ「世界に、未来に、ニュースです。」のもと、10年ぶりに開催形態を変更し、乗用車・商用車・二輪車だけでなく車体や部品などの関連製品を含む展示を行ったほか、参加・体験型のイベントを充実させるなど、新たな取り組みを実施。過去最高の来場者数を記録しました。
ホンダでは、世界初公開のコンセプトカー2台を含む18台を出展。そのなかの1台が「PUYO(プヨ)」でした。
プヨは燃料電池(FCEV)コンセプトカーで、当時ホンダは「自由な発想でデザインした、使う人だけでなく周りの人も楽しくさせる」モデルだとしています。
プヨの車名はボディを触ったときのプヨプヨした感覚に由来していますが、これはボディ自体に柔らかい素材を用い、実質的な安全性の向上をはかる「ジェルボディ」を採用したことで実現しました。
エクステリアは角を持たない箱型フォルム「SEAMLESS SOFT BOX」をコンセプトに、大きなガラスエリアや真一文字のシグネチャーランプ、ジェルボディの内部に埋め込まれたヘッドライトを装備するなど、ペットのように愛らしく、親近感のあるデザインが特徴です。
ドアは上方に向かって開くシザーズドアを採用したほか、楕円を描くテールランプや、ルーフ後部にちょこんと座り、しっぽをイメージさせるアンテナを装備しています。
インテリアは人に優しい透明感あふれる爽快空間「SILK FEEL」をコンセプトに開発。
エクステリア同様に、角が落とされたシートやドアトリムを備えたほか、布の伸縮性を活かし、起動と共に盛り上がるインストルメントパネルモニターとコンソールスイッチ、光る液体を使ったメーター表示など、人の感覚や気持ちに優しく応えるインテリアを目指したといいます。
当時のホンダの発表では、「CLEAN、SAFE、FUNの要素を融合し、燃料電池技術を活用した超高効率なスモール骨格と、人と環境に優しく親近感のあるデザインにより、使う人だけでなく、周りの人も楽しくさせる新しいモビリティの提案」と説明された斬新なプヨでしたが、市販化は難しかったようで、直接的な後継モデル・量産モデルは登場していません。
一方で、ホンダは2008年に「FCXクラリティ」を、2016年には「クラリティ Fuel Cell」を発売。さらに、2023年2月に次世代燃料電池システムを搭載するFCEVを2024年に発売すると明かしています。
プヨの燃料電池技術は、もしかするとこれらのモデルに活かされているのかもしれません。
※ ※ ※
このプヨのように市販化が叶わなかったものの、後に登場する市販車に一部の機能やデザインが活かされているケースも数多く存在するほか、最新技術の一部は現代と同じ発想でブラッシュアップされ続けています。
59年ぶりに名称が変更されて新たに生まれ変わるジャパンモビリティショーでは、新時代のクルマへ大きな変化をもたらすコンセプトカーの登場に、ますます期待が膨らむばかりです。
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