トヨタ新型「ランドクルーザー250」は「プラド後継」ではない!? 再編される「ランクル」3シリーズの立ち位置とは
くるまのニュース / 2023年9月1日 14時50分
2023年8月2日、トヨタは「ランドクルーザー“250”シリーズ」を世界初公開しました。従来の「ランドクルーザープラド」から大きく路線を変更したことで、直接の「後継車」ではないと説明します。
■3つあるシリーズの「中核」に位置する新型「ランクル250」
トヨタは2023年8月2日、新型「ランドクルーザー“250”シリーズ」を世界初公開しました。従来の「ランドクルーザープラド」に代わるニューモデルだといい、車名も変更されています。
新旧で路線が変更された背景について、ランドクルーザーシリーズ全体の立ち位置と共に紹介します。
1951年に登場した四輪駆動車「トヨタ BJ型」から始まった72年の長い歴史を持つブランド、ランドクルーザー。
世界約170の国と地域で、現在までに累計1130万台のランドクルーザーシリーズが販売されているといいます。
その進化の過程で、シリーズは3つの系譜に分化しています。
フラッグシップの「ステーションワゴン」タイプが「ランドクルーザー」に、悪路走破性と耐久性を重視した「ヘビーデューティ」タイプが「ランドクルーザー70」に、そしてその中間に位置する「ライトデューティ」タイプが、ミッドサイズの「ランドクルーザープラド」(以下、ランクルプラド)です。
そして今回8月2日に、このランクルプラドに代わる後継モデルとして世界初公開されたのが、新型「ランドクルーザー“250”シリーズ」(以下、新型ランクル250)です。
日本では2024年前半の発売を予定しています。
トヨタでは、新型ランクル250の開発コンセプトに「原点回帰」を掲げました。
具体的には「質実剛健を追求し、お客様の生活と実用を支え、お客様に信頼されるクルマ」だと説明します。
その背景には、代を重ねるごとに高級、豪華に進化してきたランクルプラド(ライトデューティ系)の路線を修正する狙いがあるといいます。
トヨタの開発者は、新型ランクル250について「ランクルシリーズの中核モデル」だと説明します。
すでに、フラッグシップのステーションワゴン(現行型はランドクルーザー300)、ヘビーデューティタイプのランドクルーザー70はそれぞれ明確なポジションを確立しています。
そんななかで開発者は「ランクルを作り直す精神で開発が進められた」と語っており、新型ランクル250が単なるランクルプラドのフルモデルチェンジ版として企画されたわけではないことがうかがえます。
ここで改めて、現行型のランクルプラドと新型ランクル250を比較してみましょう。
まず外観デザインですが、現行型ランクルプラドの発表時にトヨタは、デザインコンセプトとして「モダンでたくましいフォルム」を掲げ、4WD車らしい躍動感を与えたとしています。
対する新型ランクル250では、原点回帰のテーマのもと、ランドクルーザーの伝統とモダンを融合させたデザインにまとめ、外観では水平基調のデザインとしたことで「ランクルらしさ」を再現したと説明します。
内装では、現行型ランクルプラドは上質で快適な空間を追求し、高級車を思わせるレイアウトとしています。
一方新型ランクル250の内装は、悪路でも安心して見張らせる水平基調のインパネレイアウトを採用しました。
ディスプレイやパネルなども、運転の邪魔をせず操作できるよう工夫がされています。
現行型ランクルプラドが豪華さや華やかさが感じられるのに比べ、新型ランクル250ではより機能性を重視したことがわかります。
■ホイールベースに「黄金比」を新採用!?
2009年に登場した現行ランクルプラドは、ライトデューティタイプに“プラド”のサブネームを冠してから4代目となるモデルで、ボディサイズは全長4825mm×全幅1885mm×全高1850mm、ホイールベース2790mmです。
フレームの改良やボディ剛性の強化、前後スタビライザーの作動を制御するキネティックダイナミックサスペンションシステム(KDSS)やクロールコントロールを採用し、舗装路での走行安定性と悪路走破性を両立させています。
立ち位置をより明確にしたトヨタ「ランドクルーザー」の3シリーズ[左から「ランドクルーザー300」/「ランドクルーザー70」/新型「ランドクルーザー250」]
新型ランクル250は、全長4925mm×全幅1980mm×全高1870mm、ホイールベース2850mmで、全長100mm、全幅95mm、全高20mm、ホイールベース60mmがそれぞれ拡大しています。
ただしミラーの全幅をランクルプラド以下に収めることで、取り回しにも配慮したといいます。
2021年に発売されたフラッグシップモデルの「ランドクルーザー300」(ランクル300)で採用された最新のフルフレーム式「GA-Fプラットフォーム」を使用し、高剛性化を図るとともに、悪路走破性を大幅に向上させ、オンロード上での操縦性や快適性も向上させたといいます。
この2850mmのホイールベース長は、共通の新プラットフォームを用いるランクル300と同等の寸法です。
トヨタではこのホイールベースサイズを「黄金比」と呼び、ステーションワゴンタイプではすでに4世代にわたって継承されている伝統の寸法です。
以前の取材でトヨタの担当者は、世界の悪路においてクルマの前後などを傷つけることなく走破するためには、このホイールベース値が最も適した寸法であるという主旨のコメントを述べています。
新型ランクル250に搭載されるパワートレインは、販売される地域の特性に応じた多彩なラインアップを用意していますが、日本向けには、最高出力204ps、最大トルク500Nmを発生させる2.8リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンと8速AT、そして最高出力163ps、最大トルク246Nmの2.7リッター直列4気筒ガソリンエンジンと6速ATが設定される予定です。
ディーゼルの8速ATは初採用ですが、構成自体は現行型ランクルプラドと変わっていません。
海外向けにはハイブリッド仕様なども設定されていますが、こうした新パワートレインが今後追加されるかどうかについては、現在のところ不明です。
※ ※ ※
正式発売時期が2024年前半だということもあってか、今回の発表では新型ランクル250の価格帯やグレード体系といった具体的な販売情報はまだ明らかにされていません。
現行型ランクルプラドの消費税込み価格は、367万6000円から554万3000円ですが、原点回帰を図ったとされる新型ランクル250でどう変化するのか、こちらの正式発表も待たれるところです。
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