なぜ「28年落ち軽トラ」が“新車価格”超えた? 傷&サビもある「ホンダ軽トラ」が驚きの高値で米に出現
くるまのニュース / 2023年9月3日 10時10分
アメリカのオークションサイト「Bring a Trailer」で新車価格を超える値段で取引された軽トラックとはどのような個体なのでしょうか。
■まさかの新車価格超え! 北米で人気高まる「軽トラ」
2023年8月11日、アメリカのカーオークションサイト「Bring a Trailer」において、ホンダの軽トラック「アクティ」が7800ドル(当日レートで約104万円)で落札されました。
どのような個体なのでしょうか。
Bring a Trailerはアメリカのオークショニアで、2007年に開設。日本をはじめ、ヨーロッパや米国などのクルマを取り扱っており、戦前から現行のクルマまで幅広くオークションが開催されています。
今回落札されたのは1995年式アクティで、走行距離は5万3000キロを走行しているとされる個体です。
アクティは1977年に登場した軽商用車・トラックで、MR(ミッドシップ)レイアウトやモノコックボディの採用など、他メーカーの軽トラックとは異なる特徴を持っています。
落札された個体のモデルはそのうち2代目で、1990年に実施されたマイナーチェンジで排気量が550ccから660ccへとアップされた改良型。グレードはスタンダードな「SDX」で4WDのモデルとなっています。
2021年に米国に輸入されたようで、東部ペンシルベニア州で登録されているといいます。
エクステリアは28年経過している点を考慮するとキレイな状態を維持しており、ボンネット(MRのためエンジンは荷台の下に存在)の凹みやワイパー下部のサビ、荷台左のいわゆるアオリ部に付着した黒い塗装を除けば、大きな傷などは見当たりません。
荷物の出し入れなどでキズがつく荷台も丁寧に扱われていたようで、アオリ部に装備されるフックに若干のサビはあるようですが、軽トラックとして見ればかなりキレイな状態です。
無塗装樹脂のフロントバンパーは経年車にありがちな白化が進んでおらず艶があり、ボンネットには「ACTY SDX 4WD」のステッカーが、後部アオリには新車時のものとみられる「ホンダプリモ日南」のステッカーがそれぞれ残っています。
ホイールは14インチを装備していますが、標準装備のものとは異なるサイズ・デザインであることから、別のホンダ車のものが流用装着されているようです。
インテリアはビニールとファブリックのコンビシートを装備し、大きな破れはありませんが、経年による汚れとドアパネルの変色が見られます。
オーディオは交換され、北米仕様のシビックから流用されたCDプレイヤーと2つのスピーカーを装備。エアコンは装備されずヒーターのみを備えています。
インパネ周りはシンプルで、130km/hのメーターと2本スポークのシンプルなステアリングを装備。
荷台下部のエンジンルーム内は年式なりの汚れ方といえますが、米国内の前所有者によってタイミングベルトやヘッドカバーガスケット、キャブレターのオーバーホールなどがなされ、かなり整備されているようです。
しかし、下回りにはサビが広がっており、各所で赤サビが発生していることから、今後は腐食に備えて塗装やパネル交換が必要になる可能性があります。
なお、出品写真には日本で使われていたと見られる赤い車検証ケースが写っており、こちらも付属するようです。
入札は8月6日に2500ドルでスタートし、23件もの激しい入札合戦を繰り広げた後、7800ドルで落札。
日本固有の希少な軽トラックであることや、比較的キレイな状態で残っていること、極低走行である点や5速MT車であること、さらには事故報告もない純正状態であることなどが評価されたのか、83万円の新車当時の価格を超えるプライスで取り引きされ、次のオーナーへと引き継がれていきます。
※ ※ ※
北米では「25年ルール」という決まりがあり、通常走行ができない右ハンドル車であっても製造から25年が経過すればクラシックカーとして登録でき、公道が走行可能になります。
近年は映画やマンガ、アニメなどの影響から日本車の人気が高まっており、その影響を受けて1980年代から90年代のスポーツカーが輸出され、高値で取り引きされています。
一方で、北米では軽トラの人気が近年著しく高まっており、現地では全長5mを超える大型乗用車が少なくないなかで、4mを切るコンパクトなことや、愛らしい見た目で壊れない点、しかも燃費もよく、荷物もたくさん積むことができるなどが評価され、「JDM kei truck」として親しまれています。
北米では軽トラ専門店も存在しているようで、25年経過した中古の軽トラは今後ますます需要が高まるかもしれません。
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