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150台が火災の被害に! クルマが燃えたら補償は? 法律では「責任問えない」なぜ? 自動車保険の対応はどうなるのか

くるまのニュース / 2023年9月4日 9時10分

神奈川県厚木市内のパチンコ店で発生した車両火災ですが、駐車されていた150台以上の乗用車が被害にあったと報じられています。では自分のクルマが被害を受けた場合、何らかの補償を受けることはできるのでしょうか。

■火災でクルマが燃えた…車両保険は使えるの?損害保険会社に聞いてみた

 2023年8月20日、神奈川県厚木市内のパチンコ店の立体駐車場で火災が発生し、駐車場に駐車されていた150台以上の乗用車が燃える事案が発生しました。
 
 仮にこのようなケースで自分のクルマが被害を受けた場合、何らかの補償を受けることはできるのでしょうか。

 SNS上ではこのニュースに対し「この火災の損害賠償って誰が払うの?」、「火元のディーゼル車の保険でどうにかなるの?」といった疑問の声。

 さらには「被害に遭った人は、警察からパチンコ屋や火元になったクルマの所有者に損害賠償請求はできないと言われたらしい」などの声が寄せられています。

 では、このような事例での損害賠償はどうなるのでしょうか。

 不法行為による損害賠償について規定された民法第709条は、次のように定めています。

「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」

 つまり、『わざと』または『不注意』によって人に怪我をさせる、他人の物を壊すなどしてしまった場合には弁償する必要があります。

 しかし火災に関して明治32年に制定された「失火ノ責任ニ関スル法律」(失火責任法)においては以下のように規定されています。

「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」

 この条文によると、原則として失火(過失による火事)の場合は民法第709条が適用されず、火元側に重大な過失がなければ責任は問えない可能性が高いといえるでしょう。

 今回の火災は放火などの事件性が低く故意によるものではないため、火元となったクルマの所有者に損害賠償請求はできないとみられています。

 そうはいっても、火災の被害に遭った自動車ユーザーはクルマが使えなくなってしまう上、補償が全く無いとすれば非常に耐え難いことです。

 もし何らかの補償が受けられるとすれば個人で加入している車両保険が考えられますが、実際に補償はしてもらえるのでしょうか。

 今回のような事案によって被害を受けた場合における車両保険の補償について、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の広報担当者は以下のように説明しています。

「今回のような事例の場合、クルマの修理費用を車両保険で補償できますが、保険を使用すると等級が1等級下がります。

 また、クルマが走行できない状態においては『ロードサービス費用特約』による補償が可能で、搬送費用に関してのみ保険を使用しても等級に変更はありません」(※契約者が2023年1月1日始期、個人向け自動車保険『タフ・クルマの保険』に加入していた場合)

※ ※ ※

 保険金は基本的に車両の保険金額を限度に支払われますが、特約の有無や実際にかかる修理費用など、その時々の状況によって変わります。

 なお、車両の保険金額は契約者が設定する最大補償金のことをいい、通常はクルマの市場流通価格と同程度か、それ以下で設定することができます。

 一般的にクルマは年数が経過すれば価格が下がる傾向にあり、車両保険で支払われる保険金も年数とともに下がる可能性があります。

 そのため、金額が気になる人は契約している保険会社や保険代理店に確認してみると良いでしょう。

■車両保険に入っていても使えないケースがある? どんな場合?

 さらに、車両保険を契約していても利用できないケースについて前出の担当者は次のように話しています。

「法令等により禁止されている改造(自動車へ装着する部分品・付属品)は、車両保険金額算定の対象に含めることができず、損害を被った場合も保険金お支払いの対象外です。

 ただし、法令等に触れない範囲で装着している部分品・付属品は、補償の対象となります」

車両火災はクルマの整備不備や、車内に放置したモバイルバッテリー、電子機器からの発火が原因で起こることもある(画像はイメージ)車両火災はクルマの整備不備や、車内に放置したモバイルバッテリー、電子機器からの発火が原因で起こることもある(画像はイメージ)

 自動車ユーザーの中にはクルマを自分好みにカスタマイズしている人も散見されますが、万が一の際に車両保険で十分に補償されない可能性があるため、その点に注意する必要があるといえるでしょう。

 また担当者によると、事故に直接起因しない故障損害や経年劣化による消耗、競技などで使用した場合に発生した損害についても車両保険の支払い対象外になります。

 車両保険の手続きについては「コールセンターや保険代理店を通じて事故の報告」、「損害調査によるクルマの損害額(修理費)の決定」、「保険金の支払い」というのが大まかな流れです。

 いざというときにすぐ連絡できるよう、日頃から契約する保険会社名や電話番号などを控えておくようにしましょう。

※ ※ ※

 今回の火災のように失火でクルマが被害を受けた場合、火元側から損害賠償をしてもらえない可能性が高く、現状では、それぞれが加入している車両保険でカバーするしかありません。

 また、車両保険に加入していても場合によっては利用できないケースがあるため、契約内容を今一度確認することが重要です。

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