トラックの「謎の小部屋」何に使う? 窓付きで内部が気になる! いすゞに正体を聞いてみた!
くるまのニュース / 2023年9月1日 11時10分
街中で走行しているトラックの運転席上部に斜めになった板のようなものが設置されていることがあります。なかには箱状になっており小窓が設置されていることがありますが、どのような目的でついているのでしょうか。
■トラックの頭上にある小部屋とは
トラックのキャビン上部には曲線形状の板や箱状のものが付いていることがあります。
とくに箱状のものには小窓が設置されていることがありますが、この箱状のものにはどのような目的があるのでしょうか。
いすゞ「ギガ」ではオプションとして「マキシルーフ」が設定されるが、内部はどうなっているのか?(いすゞ自動車株式会社提供/編集部で加工)
日本国内の物流はトラック中心の運送がメインということもあり、日々多くのトラックを目にします。
普段は意識することのないトラックをよく見てみると、運転席上部にはエアロパーツのようなさまざまな形状の板が設置されていることがあります。
あれは「エアデフレクター」といい、トラックの見た目が精悍になるのはもちろんですが、空気抵抗を少しでも減らす目的で設置されています。
トラックは多くの荷物を積むことを目的に開発されているので、空気抵抗を無視した箱型の形状がほとんどです。
エアデフレクターを設置することで空気抵抗を下げることで、直進安定性や燃費の向上、風切り音の軽減が図れる(いすゞ自動車株式会社の広報写真)
そのトラックにエアデフレクターを設置することで、さまざまな恩恵が得られます。
まず、空気抵抗を下げることで、直進安定性や燃費の向上、風切り音の軽減が目的です。
ほかにもエアデフレクターにあたった雨が直接フロントガラスに流れないように雨どいのようなものか取り付けられるなどの工夫がされています。
エアデフレクターには、固定式と角度の変更ができる可変式とコストを優先した前面の板状になっているボードタイプの3つです。
それ以外にもエアデフレクターにはルーフボックスのような箱状のタイプも存在します。
箱状のエアデフレクターには、謎の小窓まで設置されていることもありますが、どのような用途で使用するのでしょうか。
■小部屋の内部ってどうなってるの? まさに秘密基地だった?
実は、ルーフ部分の小部屋は専用のベッドスペースになっていて、トラックドライバーが仮眠をとるように設けられています。
トラックドライバーは、最大16時間の拘束時間のあとに必ず8時間の休息時間を取得しなければなりません。
とくに長距離ドライバーは移動先での宿泊施設に駐車することが困難なこともあり、トラック内で仮眠をとることは理にかなっています。
トラックによっては、キャビン (室内) 後部に仮眠室を設けてあるクルマもありますが、スペース的に閉鎖感が強くて、エンジンの振動や熱を受けやすいのが難点でした。
仮眠スペースをルーフ上部に設置することで、スペースを有効に活用できるので十分な広さを確保できます。
エアデフレクター内をベッドスペースとして利用できる代表的なクルマに、いすゞ車体「ギガ」のマキシルーフがあります。
マキシルーフはキャビン内から昇降台を使うことでかんたんに行き来ができ、寸法も最大で横幅1985mm×奥行1025mm×高さ865mmもあるので仮眠するには十分なスペースです。
いすゞ「ギガ」に採用される「マキシルーフ」の内部はどうなっているのか?(いすゞ自動車株式会社の広報写真)
マキシルーフの効果や利便性ついて、いすゞ自動車の担当者は次のように話します。
「マキシルーフはエアディフレクターによる空力低減効果があります。
また、中では運転手の仮眠スペースとなっています。
ルーフ内には『i-cool』というエアコンをオプションで設定することもでき、室内を快適な温度に保つことができます。
また、ルーフ内で読書やスマホ操作などができるように室内灯や電子プラグもあります」
スペースが十分なだけなく個室感覚で利用できるので、仕事とプライベートの区別がしやすく休息の質が高まります。
また側面にある窓は開閉可能で、換気や温度の調整にも対応していますが、そもそも気象状況を確認するために設置しているようです。
カップホルダーや車内灯、24Vコンセントのほか、エンジンをかけなくても蓄電式で稼働するクーラーまで採用しているので第2の我が家のような感覚で休息できるかもしれません。
トラックの最大寸法は、全長12000mm以下と法律で定められているので、キャビンの寸法をできるだけ短くして、ハイルーフ化することでより多くの荷物が積載可能です。
なお、いすゞ以外にも三菱ふそうの「スーパーマルチルーフ」、日野自動車の「スーパーハイルーフ」などがエアデフレクターをベッドスペースに応用しています。
※ ※ ※
もともとは、空気抵抗軽減のために採用されたエアデフレクターですが、さらに派生してキャンピングカーのようなベッドスペースにまで発展しました。
物流を支えるトラックドライバーが快適な環境で休息を取れるように、トラック自体も進化を遂げているようです。
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