日産「スカイライン」にSUV? 先進的すぎた「クロスオーバー」後継車もある!? 「あきらめない」スカイラインの未来つなぐカギとは
くるまのニュース / 2023年9月12日 13時10分
1957年に登場し現行型で13代目となる日産の老舗ブランド「スカイライン」には、時代に先駆けたモデルが多数ありましたが、なかでも近年注目を集める「クロスオーバー」モデルを15年以上も前に誕生させていました。
■クラウンよりも15年も前に「クロスオーバー」を投入していた日産の「先見性」
70年近い歴史を持つトヨタ「クラウン」は、16代目に登場したクロスオーバーモデルで大変革を遂げたことで、老舗ブランドの人気を復活させています。
同様に古くから続く日産「スカイライン」ですが、すでに15年以上前に同様のクロスオーバーモデルを登場させていました。早すぎた「スカイラインクロスオーバー」の功績と未来の可能性について紹介します。
日産「スカイラインクロスオーバー」(J50型)はもともと、日産の北米向け高級車チャンネル「インフィニティ」のクロスオーバーSUV「EX」として、2007年に誕生したモデルです。
プラットフォームなどのコンポーネントは、ほぼ「G35」(V36型スカイライン)と共用しており、排気量3.7リッターのV6エンジンに、当時としては多段だった7速ATを組みあわせて縦置きにレイアウト。
後輪もしくは4WDで駆動する方式を採用し「G35のハンドリングと乗り心地の良さを持つ小型プレミアムSUV」として販売されました。
インテリアの質感も良く、スカイライン譲りのハンドリングや乗り心地などで、登場当時非常に高く評価されていました。
日本では2009年に登場していますが、SUVという割には後席や荷室が狭いことに加え、燃費が悪く自動車税も高い3.7リッターエンジン仕様しか設定がなかったこと、同クラスで競合する「ムラーノ」があったこと(こちらは廉価な2.5リッター版も設定)などが、国内では大きなネックとなったようです。
さらに安い2WDですら420万円から472.5万円(4WDは447.3万円から499.8万円)と非常に高額だったことも重なり、販売は苦戦。2014年には国内販売が終了してしまいました。
スカイラインの長い歴史のなかでも、スカイラインクロスオーバーはわずか5年、1世代での終了となっています。
もしもあの時、中国専売で出していた廉価グレードの2.5リッターV6ガソリンエンジン車(しかもホイールベースを80mm伸ばしたロングホイールベースだった!)を追加していれば、きっと違った結果となっていたかもしれません。
昨今は国産クロスオーバーSUVの価格は上昇傾向にあり、300万円後半から500万円程がボリュームゾーンとなっています。
2023年秋登場の新型「クラウンスポーツ」も、クラウンクロスオーバーの価格帯と同様の400万円~600万円と予測されており、高額なSUVモデルの注目度も高まっている状況です。
スカイラインクロスオーバーも登場があと15年遅ければ、この波に乗ることができたのかもしれません。
■日産は「スカイラインクロスオーバー」の失敗がトラウマになっている!?
確かに日産としては、スカイラインクロスオーバーの失敗は、苦い経験だったはず。
気付けばムラーノも日本での販売を取りやめており、現在はミドルクラスSUVの「エクストレイル」が国内最高峰という現状です。
日産「スカイラインクロスオーバー」の実質的な後継モデルであるインフィニティ「QX55」[北米モデル]
しかし前述の通り、高級クロスオーバーSUVカテゴリーは今もっとも熱いジャンルのひとつであり、日産としても逃す手はないと考えているはず。
インフィニティには現在、EX35の後継車である「QX50」や、クーペSUV「QX55」、さらに3列シートSUV「QX60」と、ちょうど良いサイズのクロスオーバーSUVが複数ラインアップされています。
現行型スカイライン(V37型)はデビューからすでに10年が経過し、かねてより後継モデルの登場が期待されています。
クラウンクロスオーバーやクラウンスポーツなどの注目度を考えても、こうした「既にある」インフィニティ系SUVに「スカイライン」ブランドを与え、新型スカイラインクロスオーバーとして販売する可能性も少なくないと筆者(吉川賢一)は考えます。
※ ※ ※
日産のセダンは、2022年に「シーマ」と「フーガ」が生産終了となり、残るはスカイライン1車種のみとなってしまいました。
そのスカイラインすら、本当に次期型が登場するのかと存続が危ぶまれている状況にあります。
2021年の一部新聞による「次期スカイラインの開発中止」との報道を受け、日産の星野朝子副社長が発言した「スカイラインは諦めません」という言葉は、今も日産ファンの拠りどころとなっています。
相次ぐ新型車投入で勢いを取り戻しつつある今の日産の英断に、大いに期待したいところです。
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