「小さな高級車」って何? 「大は小を兼ねる」発想はもう古い!? ユーザー「心理」どう変化したのか
くるまのニュース / 2023年9月15日 21時10分
高級車ブランド「レクサス」が2023年6月に発表した「LBX」は、ブランド最小のコンパクトSUVですが、プレミアム性は上位モデル同様に保たれているといい、いわば「小さな高級車」というべき1台となっています。高級車といえば大柄なボディという時代から、ユーザーの心理はどう変化していったのでしょうか。
■「いつかはクラウン」から「小さな高級車」が支持される心理の変化とは
2023年6月に発表されたレクサスの新型車「LBX」は、トヨタの持つ新世代TNGAプラットフォームの中でも最もコンパクトなGA-Bプラットフォームを使用し、ヤリスクロスとほぼ同等のボディサイズを持つレクサス最小モデルとなります。
レクサスはこのモデルを「高級車の概念を変えるサイズのヒエラルキーを超えた次世代レクサスモデル」と銘打っており、高級車=大柄なボディという概念を打ち砕く1台としてリリースするようです。
ただ、このコンパクトなボディサイズの高級車という概念は以前から存在していました。
代表的なモデルでいうと、1998年にトヨタがリリースした「プログレ」が挙げられるでしょう。
自ら“小さな高級車”というキャッチコピーを持って登場したプログレは、ほぼ5ナンバーサイズのセダンボディに、上級車種に搭載されていた直列6気筒の2.5リッターおよび3リッターのエンジンを搭載したモデルです。
このプログレのチーフエンジニアは、2代目センチュリーを手掛けた人物ということもあり、マルチシリンダーの大排気量エンジンだけではなく、一部グレードには本革パワーシートや本木目パネルをおごるなど、同時期のクラウンをも上回る豪華な内装となっていたのでした。
また2004年に登場したマツダ「ベリーサ」は、コンパクトカー「デミオ」(2代目)のプラットフォームを流用して生まれた1.5リッタークラスのコンパクトハッチバック車でした。
しかし大衆モデルのデミオとは異なり、1.5リッタークラスの車種でありながら本革シート仕様を設定していたり、通常のものよりも厚みのある遮音ガラスの採用や、ドアとボディ両方にウェザーストリップを備えて気密性を高めていたりなど、こちらもクラスを超えた質感を持ったモデルに仕上がっていました。
この2車種は登場した時期が早かったこともあり、爆発的なヒットには至りませんでしたが、プログレに関してはその後、同様のサイズの質感の高いモデルが登場しなかったことで乗り換える先がなく、状態のよいプログレを乗り継ぐユーザーが存在していたり、ベリーサも2016年まで12年余りにわたって販売されるロングセラーモデルとなったのです。
このように当時はツウな一部のユーザーのみを中心に評価されていた小さな高級車ですが、近年では日産のコンパクトカーである「ノート」をベースに、5ナンバー枠にとらわれない伸びやかなデザインや、上質な内装を備えた「ノートオーラ」が人気を集めており、ユーザーの意識もかなり変化していると言えそうです。
というのも、「いつかはクラウン」というフレーズが物語っていたように、昭和60年代から平成初期のトヨタ車で言えば「スターレット」→「カローラ」→「コロナ」→「マークII」→「クラウン」と徐々に上級車種へステップアップしていくことが一般的でした。
そして当時のクルマの価格は、下のクラスの最上級グレードと上のクラスの最低グレードが非常に接近した価格帯となっており、上級移行したいユーザーの心理を巧みに突く金額設定となっていたのです。
しかし現在では、車格に強いこだわりを持ってクルマ選びをするのは少数派です。
むしろ自身の置かれた環境に最もマッチする、いわば「等身大」なクルマをチョイスするユーザーが圧倒的に増えてきています。
また生活環境の変化に合わせ、高級セダンから軽自動車に乗り換えた、というケースも珍しくありません。
そしてクルマにこだわりがあるユーザーは、その環境に合ったサイズのクルマの中から、より上質なものを選ぶという感覚に変わりつつあります。
こうしたことから、ボディサイズはコンパクトでも、上質な内外装を持つモデルがウケていると言えるのではないでしょうか。
※ ※ ※
昔は「大は小を兼ねる」という考えで物を選ぶことも珍しくありませんでした。
様々な価値観が存在する現在においては、必ずしも大が小を兼ねるとは言えなくなってきたとも考えられそうですね。
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