トヨタ「センチュリー」に「走りのMT」搭載車!? まさかの「専用装備」多数で“超スポーティ”! “新型モデル”での復活も期待できるか
くるまのニュース / 2023年9月21日 17時10分
2023年9月6日、トヨタは「センチュリー」の“新モデル”を世界初公開し、予約受付を開始しました。この新モデルは後部座席の快適性だけでなく、ドライビングの歓びも享受できるショーファーカーとなっているといいますが、その昔セダンのセンチュリーにも“走りのMT”を搭載したスポーティなモデルがあったといいます。
■トヨタ「センチュリー」に「走りのMT」あった?
先日、新たにSUVのような形状の新バリエーションが追加されたことでも話題となった、トヨタのショーファーカーである「センチュリー」。ショーファーカーとはお抱え運転手を持つ車両のことを指しており、オーナーはステアリングを握るのではなく、専ら後部座席に座るものとなっています。
ただ先日発表された新型「センチュリー」は後部座席の快適性はもちろんのこと、オーナー自らがステアリングを握ることも考慮されており、ドライビングの歓びも享受できるショーファーカーとなっているという大きな違いがあるようです。
センチュリーというブランドとドライビングの歓びというテーマ、一見すると結びつかないようにも思えますが、実は1967年に登場した初代モデルには、走りを重視し、フロアシフトのマニュアルトランスミッションを搭載した「Aタイプ」というグレードが存在していたのです。
このAタイプはただ単にマニュアルトランスミッションを搭載しただけのグレードではなく、大型ヘッドレストを標準とした専用の本革張りのフロントバケットシートや、チルト&テレスコピックステアリングを唯一標準装備とし、メーターパネルにはこちらも他のグレードには備わらないタコメーターを搭載。
さらにV8 3.0リッターのエンジンパワーを確実に路面に伝えるために、リミテッドスリップデフも標準装備とするなど、明らかに後席重視の他のグレードとは一線を画すものとなっていたのでした。
もちろん4速のマニュアルトランスミッションは、当時としては豪華なフルシンクロを備え、スポーティな走りを実現。オーナードライバーを満足させるに足る実力を兼ね備えていたのです。
なお初代センチュリーのMT車はほかにもコラムタイプの3速MTを備える「Bタイプ」というグレードが存在していましたが、こちらは廉価グレードという扱いのもので、センチュリーの中では最も安い208万円(当時)という価格がつけられていました。
一方、走りを重視したAタイプは238万円と、当時の最上級グレードであった「Dタイプ」の268万円に次ぐ高額グレードとなっており、価格を抑えるためにMTを搭載した仕様とは一線を画していたのです。
なぜショーファーカーであるセンチュリーにスポーティなMTを搭載したグレードが存在していたか、という点ですが、実は当初トヨタはセンチュリーを英国のジャガーのような、高級車でありながら卓越した運動性能を持つモデルにしたいと考えていたからというエピソードがあります。
ジャガーは高級車としての素質はもちろんのこと、ル・マン24時間レースに代表される耐久レースやツーリングカーレースでも好成績を残しており、センチュリーもそれに匹敵するモデルにしたいという思いがあったというのです。
ただ、実際にセンチュリーを販売してみると、ユーザーの多くは純粋にショーファーカーとして使用する層がほとんどであったため、Aタイプは1973年に実施された1回目のマイナーチェンジを待たずしてラインナップから姿を消すこととなってしまいました。
もし、初代センチュリーのAタイプがある程度の人気を誇っていたら、2代目、3代目のセンチュリーも違ったものとなっていたかもしれません。そんな“来なかった未来”がどうなっていたかも気になるところですね。
※ ※ ※
前述の新型センチュリーでは、「今後、お客様一人ひとりのご要望をお伺いしながら、グローバルでフルオーダーにお応えし、より多くのお客様に『Freedom in motion -究極の移動の自由-』をお届けしていきます」としており、ユーザーの独自の要望に答えた“フルオーダーメイド”のオリジナル仕様の展開を予定しているといいます。
このフルオーダーメイドでは、オープン仕様や、防弾仕様、スライドドア仕様も想定しているといい、あらゆるオーダーに答える覚悟があるようです。
もしかしたら、どこかの顧客がフルオーダーで“MT仕様”を要望し、それが実現される可能性も完全には否定できません。
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