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11年ぶりにマツダが「ロータリーエンジン」搭載車を復活、なぜ? 「マツダらしさ」と電動技術で変革図る! 新型「MX-30」11月に発売へ

くるまのニュース / 2023年9月14日 11時0分

マツダは2023年9月14日、同社の独自技術である「ロータリーエンジン」を搭載する新型車「MX-30 ロータリーEV」の予約受付を開始しました。一度は消えた“ロータリー”ですが、今回なぜ11年ぶりに「復活」するのでしょうか。

■「マツダらしさ」の象徴「ロータリーエンジン」復活!

 2023年9月14日、マツダは新型「MX-30 ロータリーEV」の予約受付を開始しました。発売は2023年11月の予定です。
 
 モーター駆動を基本とするシリーズ式プラグインハイブリッドモデルで、同社独自技術であるロータリーエンジンを発電専用に搭載するのが最大の特徴です。

ロータリーエンジンが11年ぶりの復活! マツダ新型「MX-30 ロータリーEV」とはどんなクルマなのかロータリーエンジンが11年ぶりの復活! マツダ新型「MX-30 ロータリーEV」とはどんなクルマなのか

 MX-30(エムエックス サーティー)は、マツダ初の量産EVとして2019年10月に世界初公開されたSUVモデルです。

 ボディサイズは、全長4395mm×全幅1795mm×全高1595mm、ホイールベース2655mmで、同社のコンパクトSUV「CX-30」とほぼ同等の大きさです。

 マツダの電動化を主導するモデルとして、日本ではまず直噴ガソリンエンジンに小型モーター・バッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドモデルを2020年10月に先行発売後、翌2021年1月にEVモデルも導入開始しています。

 外観は、マツダのデザインテーマ「魂動(こどう)」をベースにしながらも、他のSUVシリーズとは一線を画す新たなデザイン表現を採用し、シンプルな立体構成と親しみやすい表情が与えられました。

 また「フリースタイルドア」と呼ばれる観音開き式ドアに加え、クーペスタイルや3トーンカラー「フレームドトップ」による軽快なフォルムも、他のモデルにはないMX-30だけの個性です。

 インテリアには、マツダ創業時の「圧搾コルク板」製造にも由来するサステイナブルな素材の「ヘリテージコルク」をセンターコンソールに設置するほか、ペットボトルのリサイクル原料から作られた繊維素材をドアトリムに採用するなど、環境に配慮した素材も積極的に取り入れています。

 そして今回新たに発表された新型MX-30 ロータリーEVはシリーズ3番目のモデルで、走行のすべてをモーターで駆動する「e-SKYACTIV R-EV」モデルとして誕生しました。

 17.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、EV(電気自動車)として107kmのEV走行距離が可能(WLTCモード・等価EVレンジ)ですが、ロータリーエンジンを発電に用いるシリーズ式プラグインハイブリッド(PHEV)としても、さらなるロングドライブを可能としています。

 シリーズ式PHEVとした理由について、MX-30の開発責任者、マツダの上藤 和佳子氏は次のように説明します。

「本格的なEV普及に向けた過渡期にある今、環境への配慮からEVに興味はあっても、航続距離や充電環境などの制約から購入に不安を感じ、躊躇(ちゅうちょ)されている方もいらっしゃると思います。

 そのソリューションになる新たな選択肢として、普段はEVとして使え、ロングドライブもエンジンによる発電で安心して楽しみながら、発電中も100%モーターで駆動することで、走行中はずっとEVのような純粋で心地よい走りが続くことを実現したいと考えました」

フロントのボンネット内には薄型・高出力のジェネレーター、最高出力125kWの高出力モーターとともにロータリーエンジンが搭載されますフロントのボンネット内には薄型・高出力のジェネレーター、最高出力125kWの高出力モーターとともにロータリーエンジンが搭載されます

 そのなかで、マツダ独自技術であるロータリーエンジンを採用した理由について上藤氏は「ロータリーエンジンは、マツダの『飽くなき挑戦』の象徴です」と話します。

 ロータリーエンジンは、マツダが1961年より開発に着手し、1967年に世界で初めて量産化に成功しました。

 その後も世界中の自動車メーカーがロータリーエンジンの開発をあきらめるなかでも、生産を続け技術を磨き続けてきたものです。

 現時点で最後のロータリーエンジン搭載市販車であるスポーツセダン「RX-8」が2012年に生産を終了した後も、マツダではこの技術の灯を絶やさないという思いで研究・開発を続けたといいます。

 そして新型MX-30 ロータリーEVに搭載するロータリーエンジンは、RX-8に搭載されていた「13B RENESIS」型の654cc×2ロータータイプとは異なり、新たに開発されたものです。

 なお開発に当たっては、近年のマツダにおけるエンジン開発で培われた技術により、大出力化が可能になったと言います。

 開発・生産に関して同社の生産技術の担当者は「体制に関しては、11年前まで13B RENESISの開発・生産に関わっていた者を一部戻したり、若い技術者の中から希望を募ったりしました。

 また施設に関しても当時の物を改良するほか、生産ラインを新たに設けています。

 とにかく社内からは『ロータリーエンジンを復活させる』という熱い想いがありました」と話しています。

 ロータリーとしては11年ぶりに専用設計された新型「8C-PH」型エンジンは、排気量830ccの1ローター式で、最高出力53kWを発生します。

 かつての13B RENESISに比べ、ローター幅は80mmから76mmに縮小されています。

 マツダでは「同程度の出力のレシプロエンジンと比べてもコンパクトだ」とし、ロータリーの特徴であるコンパクトさを生かし、薄型・高出力のジェネレーター、最高出力125kWの高出力モーターを同軸上に一体配置することで、フロントに搭載することができたと説明します。

 ガソリンタンクはバッテリー搭載位置の後部、後部座席下付近にマイルドハイブリッドモデルとほぼ同等な50リットルの容量を確保し、駆動方式はFF(前輪駆動)のみの設定です。

 なおハイブリッドモードでのカタログ燃費は、15.4km/L(WLTCモード燃費)をマークします。

■ロータリー復活を象徴する特別仕様車にはマニアックな「こだわり」も

 新型MX-30 ロータリーEVは、用途や走行シーンにあわせた3つの走行モードを選択できます。

 EV走行を行いたいときに選択する「EVモード」、ロータリーの発電電力との組み合わせで走行性能を発揮する「ノーマルモード」、そして必要なバッテリー残量を確保しておきたいときに使う「チャージモード」です。

テールゲートには新型「MX-30 ロータリーEV」専用の「にe-SKYACTIV R-EV」バッチが装着されますテールゲートには新型「MX-30 ロータリーEV」専用の「にe-SKYACTIV R-EV」バッチが装着されます

 充電は、普通(AC)充電と急速(DC)充電の両方の充電方式に対応します。

 専用のスマートフォンアプリで、クルマから離れた場所でも充電状態の確認を可能としています。

 給電機能も備え、荷室には1500Wまで対応可能なAC電源を、フロントコンソール部には走行中も使用可能な1500WのAC電源をそれぞれ設置します。

 別売りの可搬型外部給電器を使用すれば、3000Wもしくは4500Wまでの給電も可能です。

 さらに別売りの装置に接続すれば、「V2H」(Vehicle to Home)機能として建物に電力を供給し、万が一の停電時も電気を使用することが可能です。

 マツダによると、17.8kWhのバッテリーが満充電で、かつガソリン満タンの状態でロータリーエンジンによる発電を組み合わせた場合には、約9.1日分の電力供給も可能だといいます。

 このように、シリーズ3番目の新たなラインナップとして誕生した新型MX-30 ロータリーEVですが、基本的な内外装デザインについて大きな変更はありません。

 ただしこれまでのホワイトおよびブラウンの内装に加え、新たにブラックのシックな内装を加えています。

 外観上の違いとしては、新型MX-30 ロータリーEV専用エンブレムとして、フロントフェンダー部にロータリーエンジンの形状を模したバッジを、そしてテール部にe-SKYACTIV R-EVのバッジをそれぞれ装着します。

 またホイールも、空力性能を高めた新デザインのアルミホイールを装着しています。

右が新型「MX-30 ロータリーEV」特別仕様車「Edition R(エディションアール)」右が新型「MX-30 ロータリーEV」特別仕様車「Edition R(エディションアール)」

※ ※ ※

 さらに新型MX-30 ロータリーEVでは、特別仕様車「Edition R(エディションアール)」を設定します。

 Rは「Return」(復活)の意味で、11年ぶりにロータリーエンジンが帰ってきたことをアピールします。

 ボディカラーは、ジェットブラックマイカをベースに、マツダ初の乗用車である「R360 クーペ」のルーフ色を復刻させた「マローンルージュメタリック」を差し色に採用した専用カラーです。

 ヘッドレストにロータリーエンジンの形状を模したエンボス加工を施すほか、「アドバンストキーレスエントリーシステム」のEdition R専用デザインキーや、専用フロアマットを装備します。

 そんな限定車専用装備を詳しく見てみると、例えば専用デザインキー(キーフォブ)の表面形状は、ロータリーエンジン内部のローター局面と同じ角度の弧を描いているほか、角の凹んだ部分の寸法も、ローターアペックス(頂点のシール溝)幅の2.6mm幅と合わせてあるといいます。

 また専用フロアマットに付けられたオレンジ色のタグに入る白い線も、ラインの幅が同様に2.6mmだといいます。

 マニアックなこだわりですが、開発者の遊び心が感じられる部分といえます。

 Edition Rは、ロータリーエンジンファンにとって欠かせないコレクターズアイテムとなるかもしれません。

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