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世界が注目する「トヨタの動き」 生産の現場が凄かった!? 全固体電池&ギガキャスト…そして次世代BEVはどんな感じなのか

くるまのニュース / 2023年9月19日 12時30分

トヨタは2023年9月に現在開発中の様々な技術を具現化するためのモノづくりについて、同社の貞宝工場、明知工場、元町工場における取り組みを新たにお披露目しました。

■そこまで見せて良いの? 次世代BEV&ギガキャスト&全固体電池の最前線が凄かった!

 2023年6月にトヨタは「トヨタ テクニカルワークショップ」で現在開発中の様々な技術を公開しました。
 
 そして同年9月にその技術等を具現化するためのモノづくりについて、同社の貞宝工場、明知工場、元町工場における取り組みが新たにお披露目されました。

クルマが自分で生産ラインを移動する? クルマの新しい生産体制とはクルマが自分で生産ラインを移動する? クルマの新しい生産体制とは

 クルマづくりと言えば「新型車の開発」が注目されがちです。

 しかし、クルマを開発して量産化するには設備開発・生産ライン確立・円滑な物流なども大きな要素を占めています。

 そうした中で貞宝工場においては、設備づくりへの「デジタルツイン活用」が行われています。

 ユーザーが欲しい商品を欲しいタイミングでデリバリーするためには、その商品を生産する生産設備をタイムリーに立ち上げることが必要です。

 しかし、クルマを生産する設備づくりは、社内外の多くの人々が関わります。

 さらに新たな生産設備を立ち上げる過程では、図面上では予期しなかった不具合や作業しづらい部分が見つかり、やり直しのムダが発生し、リードタイムが長くなることが課題となっていました。

 その課題に対しデジタルを活用することで「設計から生産開始までのリードタイムは半分になった」と言います。

 最初に3Dモデルをつくることで、設備の設計担当、製造担当、そして実際に設備を使う作業者が、事前に不具合を洗い出せるようになったようです。

 これにより、トヨタの現場の知恵が設計段階から3Dモデルに織り込まれ、完成度の高い設備をやり直しなく現場に導入することが可能になりました。

 また、トヨタでは新たな設備ではない既に存在する設備を3Dモデル化し、そこに現場の技を活かした改善を加えることで、短いリードタイムでの生産性向上に取り組んでいると言います。

 これにより、デジタル上の改善をリアルの現場に反映させるという双方向型のデジタルツインにより、一部では作業の自動化にも繋がっています。

 実際に貞宝工場の金型・設備部品加工設備では、これまで人に頼っていた材料投入などの作業を3Dモデル上で改善・自動化したことで、生産性3倍、従来比での改善リードタイム3分の1を実現しました。

元町工場の混流生産元町工場の混流生産

 またトヨタはグローバルで年間約1000万台のクルマの量産を行っています。その支えのひとつが様々なボディタイプやパワートレーンを一緒に生産する混流生産です。

 元町工場では、マルチパスウェイを支える様々な異なるボディタイプ(セダン、ミニバン、SUV)、パワートレーン(BEV、FCEV、HEV、ICE)のクルマを需要に応じて同一のラインで生産しています。

 混流生産を実現のために、例えばサイズが異なる多様な車種への組付け作業を行う場合には作業位置の高さを柔軟に変えられる移動式踏み台を使用することで作業員の負荷低減に加え、作業品質の向上に貢献。

 また、組立ラインでは、床面の色を黄色と緑に塗り分けることで、ラインが明るくなり、安全性や作業効率が大きく向上するなどの成果を挙げています。

 なお元町工場では現在9車種が混流生産されており、ラインの作業員はそれらの異なる組み立て方法を覚えていると言い、「人」の技で支えられています。

■えっ…!見て良いの? トヨタの次世代BEV&ギガキャスト&全固体電池の最前線が凄かった!

 昨今では「BEVシフト」が加速しています。トヨタでも様々な選択肢のひとつとしてBEVの生産を進めていますが中でも注目されるのが次世代BEVの投入とそれに関わる電池技術です。

 今回、 元町工場では「次世代BEV実証ライン」の準備状況の一部を公開しました。

 次世代BEVを生産するラインは、新モジュール構造と自走生産を用い、工程と工場投資の1/2を目指しています。

 作業の効率化、生産性の向上、リードタイムの短縮は、TPS(トヨタ生産方式)の最も得意とするだと言います。

 また従来と異なるフロント、センター、リアの3分割のモジュール構造によって、オープンな環境で作業が可能となり作業性の効率化、生産性の向上を図ることができ、工程短縮が可能です。

 さらには工場内において、生産しているクルマを自走搬送させる技術を確立したことで、これまで必要だったコンベアなどの設備が不要となり、自由な工場レイアウトが可能になることで、生産準備のリードタイムと工場投資を大幅に削減することができると言います。

また明知工場では、ギガキャストの試作用設備を公開しました。

 ギガキャストは、定期的な鋳造の型の交換が必要であり、通常その交換に 24時間程度要します。

 しかしトヨタは、創業から現在に至るまでエンジン製造などで培ってきた鋳造技術があり、低圧成形やダイキャストに用いる金型への知見を豊富に有していると言います。

 その知見を活かし、素早い金型交換が可能な工夫を凝らした金型を開発。これにより、型交換に必要なリードタイムを約20分にまで短縮し、稼働停止時間のムダを削減します。

全固体電池開発ライン(貞宝)全固体電池開発ライン(貞宝)

 最後に貞宝工場では、世界が注目する電池技術の一部設備が公開されました。

 まずは「次世代電池普及版(バイポーラ型リチウムイオン電池)」の開発ラインです。

 2026年から2027年の実用化に向けて、現在製品開発や量産工法の開発に取り組んでいる次世代電池普及版(バイポーラ型リチウムイオン電池)の量産に向けた工法の一部として、塗工行程を公開しました。

 塗工工程では、安価なリン酸鉄リチウム(LFP)の性能を最大限に引き出すために、そのペーストを量産を見据えたスピードで、ムラなく大量に金属箔に塗る必要があります。

 トヨタはHEVで培った26年間の電池生産の知見とFC(燃料電池)で開発した高速塗工技術を応用した設備によってそれを実現。

 実際の塗工行程では、リズム良く塗工される様子が実演されました。

 また2027-2028年の実用化に向けた製品開発や量産工法の開発に取り組んでる「全固体電池」に関しては、工法の開発現場と量産に向けた工法の一部を公開。

 全固体電池は液系電池とは異なり、固体中をイオンが移動するため、負極、正極、固体電解層がそれぞれ隙間なく密着している状態が理想です。

 そこでトヨタは、量産を見据えた高速・高精度スピードで電池素材へのダメージなく積み重ねるという難しい工法を得意とするからくりの応用と同期制御の革新技術を用いて実現したと言います。

 このようにグローバルで年間約1000万台のクルマの量産を行うトヨタは、マルチパスウェイを軸に様々な技術開発を行っています。

 さらには工場におけるカーボンニュートラルの実現も着々と進んでいる他、昨今問題となる「物流における様々問題」に関しても、「Vehicle Logistics Robot(VLR)」と呼ばれる車両搬送ロボットを導入し、人手不足の解消と作業負荷の軽減に取り組んでいます。

※ ※ ※

 2023年4月の新体制から執行役員・Chief Production Officerとなった新郷和晃氏は次のように述べていました。

 
「私は『トヨタの技で、モノづくりの未来を変えたい」』思っています。

 その為には『技能/技術』と『デジタル・革新技術』の融合でモノづくりを進化し、そしてリードタイムを短縮して『すばやく、何度もチャレンジする』ことが必要です。

 トヨタには TPSを基軸とした『リードタイム短縮』という技があります。進化のスピードを高め、時代の変化に対応していくことこそがトヨタのモノづくりの強みだと思います。

 CPOとしての決意としては、トヨタの持つ技とデジタル・革新技術で、工程 1/2を実現します。

 また開発と生産の垣根をなくし、新しいモビリティをすばやく提供します。そして工場カーボンニュートラルや物流などモノづくりの基盤の課題解決にも取り組んでいきま
す。

 トヨタはこれまでもこれからも、人を中心に、誰かの笑顔のために仕事をする現場、『ありがとう』が自然に溢れ、イキイキと働ける工場をつくることで、新しい時代を切り拓き、幸せの量産を目指していきます」

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