ホンダアクセスがユーザー交流イベントを開催! 開発秘話や愛車愛が飛び交った「Modulo Xシリーズ10周年ユーザーミーティング」
くるまのニュース / 2023年10月2日 15時30分
ホンダアクセスがユーザー交流イベント「Modulo Xシリーズ10周年ユーザーミーティング」を開催しました。イベントでは多くのオーナーが参加したほか、開発アドバイザーの土屋圭市さんも登場し、開発秘話や愛車愛が飛び交い、互いに交流を深めていました。
■会場には開発過程で使用されるジャングルジム化したフィットも!
とある場所で、車内にたくさんの鉄パイプを組み込んでジャングルジム化しているホンダ「フィット」を見かけました。これは果たして何を目的とした車両でしょうか?
このクルマが置かれていたのは、ホンダアクセス(ホンダ車の純正用品などを担うホンダの関連会社)が主催したイベント「Modulo Xシリーズ10周年ユーザーミーティング」の会場である群馬サイクルスポーツセンター(群馬県みなかみ町)の中。「実効空力(じっこうくうりき)エアロパーツ実験車」として展示されていました。
それにしてもすごい見た目です。スーパーGTやスーパー耐久のマシンをはじめ、箱車(市販車ベースの競技車両の通称)のレーシングカーは車体剛性アップと安全性を高めるため室内に「ロールケージ」と呼ばれる金属製のパイプを取り付けますが、このフィットの室内の金属製パイプの本数といったら本格的なレーシングカーどころかそれ以上。後席部分だけでなく運転席前から天井、床、さらにはエンジンルームやフロア下まで無数のパイプが取り付けられています。ダッシュボードの上にも左右のAピラーをつなぐように取り付けられているほか、フロントフェンダー、そして車両前後端にもセット。その本数を数えるとなんと50本ほどでした。
興味深いのはすべての固定方法が溶接ではなくネジ留めとしていること。つまり、脱着可能なのです。
ちなみに紫のカラーとしているのは、機能には関係なく「なんとなくカッコいいから」だそうです。ヘッドライトをテーピングしてあるのも、同じ理由からでした。
この車両の目的はいったい何なのでしょうか?
ホンダアクセス開発エンジニアによると「開発エンジニアがボディ剛性の変化を体感するための車両」とのことで、車体各部に金属製パイプを取り付けたり外したりし、それによって変化する車体剛性がどう運転感覚に影響を及ぼすかを学ぶためだというのです。もちろん公道走行はできません。
昨今、ホンダアクセスは「実効空力」と呼ぶ、実際にドライバビリティが向上する、しっかりと機能を持った空力パーツの開発を進めています。その狙いのひとつが車体の周囲を流れる風を活用してタイヤの接地性を高め、車体剛性が向上したのと同様の効果を生むというもの。そのためには開発エンジニア自身が「車体剛性向上」を体でしっかり理解する必要があり、この車両でそれを体験し、学び、その知見を実行空力アイテム開発にいかそうというわけです。だから「実効空力“感”」というわけ。エアロパーツの開発ながら、エアロパーツを装着するわけではないのです。
たしかに、こういった車両で車体剛性の違いを学べば、実感としてドライバビリティの変化を理解できるエンジニアが育つことでしょう。
■イベントには175台のModulo Xオーナー(同乗者もあわせて323名)が参加
ところで、今回のイベント「Modulo Xシリーズ10周年ユーザーミーティング」は、ホンダアクセスが開発してディーラーで購入できるコンプリートカー「Modulo X」の発売10周年を記念しておこなわれたもの。
イベントには175台のModulo Xオーナー(同乗者もあわせて323名)が参加
ホンダアクセスはカーナビやフロアマットといった定番品をはじめとするホンダ車用の純正用品を開発・販売する会社ですが、専用のフロントバンパーといったエクステリアアイテムや専用チューニングのサスペンションを組み込んだ「Modulo X」というコンプリートカーも展開しています。そしてそのサスペンション開発は、時間と手間をかけて徹底的に作り込んでいるというのが自慢です。
2013年1月に最初のモデル「N-BOX Modulo X」をリリースしてから今年で10周年。これまで「N-ONE Modulo X」「STEP WGN Modulo X」「FREED Modulo X」「S660 Modulo X」「VEZEL Modulo X」そして「FIT e:HEV Modulo X」と多くのモデルを送り出し、違いの分かるユーザーを幸せにしてきました。
今回の「Modulo Xシリーズ10周年ユーザーミーティング」には、そんなModulo Xのユーザーのなかから175台のオーナー(同乗者もあわせて323名)が参加。北は北海道、南は九州からの参加もあり、その熱量の高さがうかがえます。
ちなみに参加車両は「S660 Modulo X」がもっとも多く113台。わずか5台と少数派となった「N-BOX Modulo X」も、まさかの父、母、そして子と1家族で3台持ちのファミリーがそれぞれの愛車で参加するというサプライズもありました。なんというModulo X愛でしょうか。
■開発アドバイザーの“ドリキン”ことレーシングドライバーの土屋圭市さんも登場!
当日はModulo Xの開発アドバイザーである“ドリキン”ことレーシングドライバーの土屋圭市さんも参加。ホンダアクセス Modulo X開発統括の福田正剛さんや同 Modulo X完成車性能担当の湯沢峰司さんとのトークセッションに加え、炎天下にもかかわらず2時間以上かけて参加したすべての車両をまわってオーナーとの交流を深めていました。
Modulo Xの開発アドバイザーである“ドリキン”ことレーシングドライバーの土屋圭市さんも登場(右から3番目)
ホンダアクセスが今回のイベントを開催した目的は「交流」だと言います。Modulo Xという同じ魂の入った車両に乗る人同士の交流を深めるのはもちろん、開発側と商品を愛用するオーナー側の交流も特徴だと感じました。
参加者は開発秘話を聞いたり商品への思いを直接開発者に伝えることができたりして、よい思い出となり、結果としてさらなる愛車愛につながるに違いありません。一方で開発側はユーザーの生の声を聞くことで、それが今後の商品開発に生きることでしょう。
そう考えると、200台に満たない台数で300人ちょっとの参加者という規模は、大きすぎず、参加者とホンダアクセス側スタッフとの距離も近く保てるベストな規模だと感じました。
実は会場にも意味があり、ここ「群馬サイクルスポーツセンター」(群サイ)はホンダアクセスがModulo Xの開発に使うコースのひとつ。路面が荒れているのに加えて狭さゆえにエスケープゾーンが取れない峠道のような厳しいコースですが、「険しい路面だからこそ、ここできちんと走れるクルマに育てることで完成度の高いクルマに仕上げられる」と開発統括の福田さんは言います。Modulo Xのサスペンションは、サーキットを走るためではありません。路面を選ばず挙動が安定し、安心して走れることを狙ったものです。そんなModulo Xのサスペンションはこのコースがあったからこそ磨き上げられたといっても過言ではないでしょう。
当日は「サーキットタクシー」としてホンダアクセスのスタッフの運転により、来場者の中から抽選で選ばれたラッキーな人を乗せて「群サイ」のコースをまわるプログラムを実施。体験した人はその過酷さに驚いたことでしょう。
そして最後は、そんな群サイのコースを参加者全員でパレードラン。いい思い出になったのではないでしょうか。
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