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なぜ中古車販売店で「価格表示トラブル」多発? 10月から「支払総額」義務化! 不当表示の透明化で業界健全化図れるか

くるまのニュース / 2023年10月2日 9時10分

2023年10月1日から自動車公正取引協議会(公取協)が定める「自動車公正競争規約・施行規則」の改定により、中古車の販売価格において「支払総額」の明記が義務化されることになりました。

■なぜ、中古車価格の「総額表示」が義務付けられる?

 2023年10月1日から中古車販売における価格表示が変更されました。
 
 これは自動車公正取引協議会(公取協)が定める「自動車公正競争規約・施行規則」の改定により、中古車の販売価格において「支払総額」の明記が義務化されることになったのです。
 
 なぜ中古車価格の「総額表示」が義務付けられることになったのでしょうか。 

 昨今、ビッグモーターやネクステージをはじめとする中古車販売店の数々の不正行為によって、中古車店に対する不信感、不安感を抱く消費者が増えています。

 そうした中、悪質な不正販売を排除し中古車業界の信頼回復を目的とした画期的な取り組みが2023年10月1日から始まりました。

 始まりは2年以上前に遡ります。消費者からの声にこたえる形で2021年9月、自動車公正取引協議会が大手中古車販売店に対する覆面調査を行いました。

 その結果、全国11社(事業所)で不適切な価格表示や販売手法が明らかになりました。

 自動車公正取引協議会ではこれら11事業所に対して指導をしたとのことですが、筆者のところには2023年6月以降も不適切な価格表示や販売に関して数多くの情報提供が寄せられています。

 今回、10月1日から始まる「中古車価格の支払い総額表示」の義務付けは自動車公正取引協議会の公式サイトに記されているように「大手等専業店の中古車販売の問題点を解決するための対応」とあります。

 総額表示が義務化されることで、これまでグレーゾーンだった悪質な中古車販売の手法が排除され、消費者が安心して中古車を購入できる体制となりそうです。

 なお「支払総額表示」は店頭で販売される中古車のプライスボードはもちろん、カーセンサーやグーネットなど大手中古車情報誌・サイトに掲載される価格も対象です。

 それでは支払総額表示とは具体的にどのようなことなのでしょうか。

 支払総額とは「(1)車両本体価格(消費税込)+(2)諸費用」の合計です。

 諸費用については、「自賠責保険料・各種税金・登録」に伴う代行費用の3点と明確に定義されました。

 これに加えて、ボディコーティングやカーナビ、ドラレコなど「(3)客の要望に基づく」オプション費用が加算される場合があります。

 支払総額=(1)車両本体価格(消費税込)+(2)諸費用(法定費用など中古車購入に最低限必要費用)と、これだけ見ればこれまでと大きく変わらない印象です。

 認定中古車を販売する正規ディーラーなど不適切な価格表示をしてこなかった店ではこれまでと変わることはないでしょう。

 しかし、不当に利益を得る目的で不適切な価格表示をしてきた中古車店では(1)と(2)に含まれる価格、そしてオプション費用の扱いが大きく異なってきます。

 ビッグモーターやネクステージをはじめとする大手中古車販売店で当たり前のように必須の費用として計上されていて外せない費用であった「納車整備費用」「車内清掃費用」「ボディコーティング代」などの扱いも異なってきます。

 納車整備や車内清掃など中古車として販売する際に含まれて当然の費用は(1)車両本体価格に含まれるようになり、各種コーティングは(3)の客の要望に基づくオプション費用として別途計上されることになります。

※ ※ ※

 なお、「不当な価格表示」への処分も厳罰化されることになります。

 違反販売事業者には措置として最も重く社名公表も可能な「厳重警告」を初回から出せるようにし、違約金も初回から最大100万円となります。

 100万円の違約金は走行距離の不正申告(メーター巻き戻しなど)や修復歴アリをナシとする不当表示と同等に考えられており、自動車競争規約の中で最も重い処分となります。

■不適切な詐欺的手口!? 「不当な価格表示や費用請求」ってなに? 具体的にどんな費用が含まれるのか?

 不適切な詐欺的手口として第一に挙げられるのは「不当な価格表示や費用請求」です。

 ●プライスボードには安価な車両価格+総支払額が表示されるが、表示価格で購入できない

 大手中古車販売店の中にはほぼ卸価格と同様の安価な価格を掲示して、「超お買い得!」だと誤認した客がいざ商談を始めると、「車両価格+50万円」が支払総額になるというようなケースが多発してきました。

 客が「キャンセルしたい」というと不当に高額なキャンセル料を請求されることもしばしばあったようです。

 ●本来、車両価格に含まれる費用を別途請求

 納車のための軽整備(納車整備費用、納車準備費用などの名目)や車内クリーニング、洗車や一般的な中古車保証は本来、車両価格に含まれるべき費用です。

 車検無しの車両は車検を取得し購入者名義として登録をする際の価格を「車両価格」に含めて提示することも義務付けられています。

 特に昨今、筆者のところに情報提供が多く寄せられるのはビッグモーター等における「ロングラン保証」や「ガラスコーティング」についてです。

 保証のための費用をとっておいて、実際にはトラブルがあっても保証で対応できないなどと言われ結局、客自身が自腹で支払うことになった例や、専門業者が施工するとして8-13万円のコーティング費用を徴収。

 しかし、実際には専門業者ではなく営業担当者本人がスプレーを吹きかけただけで施工終了とされていた例も多々ありました。

 コーティングの施工証明書を求めたところ偽造された施工証明書を出された人もいます。

 コーティング費用はあくまでも「オプション」なので、客が希望しない場合は外すことができます。

 さらに、納車準備費用は「中古車を商品化するために車両価格に含まれるべき費用」となるため車両価格に含まれて当然の費用です。客に別途請求する費用ではないことを覚えておきましょう。

今後「総額表示」でトラブルは減るのか?今後「総額表示」でトラブルは減るのか?

 ところでこの犯罪まがいの販売方法。誰がいつ始めたのでしょか。中古車業界に長く身を置く筆者の友人いわく、ビッグモーターではないとのこと。

「安値を提示しオプションで儲ける…そのやり方でイッキに売上拡大した中古車販売会社が最初に始めました。

 ほぼ仕入れ値レベルの安値を提示し、客が店に行って商談を始めるとコーティングや納車整備点検、各種保証などのオプション購入を必須とし、結局総支払額は車両本体価格+30~50万円という高額な金額になっていました。

 この方法だとみんなその会社に客を取られるので、大手中古車販売店なども後に続きました」

※ ※ ※

 なお自動車公正取引協議会では、今回の改定に関して各販売店に研修会やプライスカード(価格表示)作成システムの提供を行っています。

 さらに、ユーザーに対してはホームページやYouTubeにて中古車販売に関する疑問などを公開しています。

 その他、今後は改定とあわせて価格表示以外に顕在している冠水車の虚偽表示・不表示の問題や、修復歴車の隠ぺいなどの不当表示についても厳正に対処していくとしています。

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