道端のカメラ「移動オービス」じゃない? 車検切れを取り締る「謎の装置」 ってなに? 全国各地にある「ナンバー自動読取装置」の現状とは
くるまのニュース / 2023年10月9日 10時10分
2017年度から試行運用が始まった「ナンバー自動読取装置」と呼ばれる装置ですが、現在も活用されているのでしょうか。国土交通省に現状を聞いてみました。
■車検切れのクルマを発見する「ナンバー自動読取装置」って一体どんなもの?
国土交通省では、「ナンバー自動読取装置」と呼ばれる装置を使って車検切れのクルマを発見しています。
2017年度から試行運用が始まったこの装置ですが、現在も活用されているのでしょうか。
自動車ユーザーの多くは、クルマのフロントガラスに貼られた車検ステッカーを確認したり、自動車整備工場から車検のお知らせを受け取るなどして、適切な時期に車検を受けています。
しかし時々、車検の時期を忘れていて車検切れのクルマを運転するドライバーや、車検切れを知りながらクルマの運転を続ける悪質なドライバーも存在します。
2023年9月には福岡県遠賀町において、車検切れのクルマを使って飲酒運転をした容疑で70歳の男性が逮捕される事案も発生しています。
車検が切れたクルマを公道で運転(いわゆる無車検運行)すると、道路運送車両法第58条第1項の違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
また、クルマの車検が切れていると自賠責保険の保険期間も切れているケースが多く、その状態で公道を走行すれば自動車損害賠償保障法第5条の違反として1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに、無車検運行や無保険運行をすると違反点数6点が加算されるため、これまで一度も行政処分を受けたことがないドライバーでも、一発で免許停止になってしまいます。
一般的に、車検切れは警察による交通違反の取り締まりや職務質問などによって発覚する場合が多いです。
また、国土交通省が管理する「ナンバー自動読取装置」という装置によって判明することもあります。
「ナンバー自動読取装置」は、通過した車両のナンバーから車検切れのクルマを瞬時に発見できる装置です。
2017年度は全国5か所のみに試行導入されていましたが、2018年度からは全国の街頭検査で導入・運用されています。
ナンバー自動読取装置の仕組みについて、管理・運用をする国土交通省自動車局整備課の担当者は、次のように説明しています。
「ナンバー自動読取装置のカメラの前を車両が通過すると、ナンバーを瞬時に読み取り、パソコンで直近の車検データと照合することができます。
車検切れの車両が通過すると、パソコン画面に『HIT』の文字が表示される仕組みです」
※ ※ ※
ナンバー自動読取装置はクルマのナンバーを読み取る三脚のついたカメラと、パソコン端末から構成される装置です。
見た目はスピード違反を取り締まる可搬式(移動式)オービスと似ているといえるでしょう。
■いまも使われているの? 全国各地で行われる街頭検査の実態とは
では、現在の運用実績はどのようになっているのでしょうか。
無車検運行の取り締まり方法に関して、前出の担当者は次のように話しています。
「取り締まりは国土交通省の各運輸支局と管轄の警察で連携しておこなっています。
仮にナンバー自動読取装置によって車検切れが判明した場合、警察官が車両を停止させ、実際に車検証を確認して車検切れかどうかを判断します。
車検切れが間違いなければ、警察に対応を引き継ぎます」
「可搬式ナンバー自動読取装置」を用いた街頭検査を実施の風景(画像引用:国土交通省 東北運輸局)
警察ではドライバーに対して取り調べをおこなうほか、車検切れのクルマはそのまま運行できないため、レッカー移動をするといった手続きがとられます。
そして、ナンバー自動読取装置の現在の運用状況について前出の担当者は次のように説明しています。
「国土交通省として毎年全国の運用実績をまとめているわけではなく、2019年に公表した街頭検査のデータが最後です。
ただし、もちろん現在でもナンバー自動読取装置は全国で活用されており、各運輸支局がそれぞれの地域の運用実績を報告しています」
たとえば、2020年9月には山形運輸支局が国道348号で433台のナンバーを、同年10月には青森運輸支局が国道7号で823台のナンバーを読み取る街頭検査をおこなっています。
このように、各地域で車検切れ車両への対策が取られているのです。
※ ※ ※
意外と知られていませんが、全国各地では国土交通省の職員と警察とが連携して無車検運行に対する取り締まりをおこなっています。
気づかぬうちに車検切れや自賠責保険切れにならないよう、定期的に車検証や自賠責保険の書類を確認しておきましょう。
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