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トヨタの小型トラック なぜ米で「独自の進化」遂げた? アメリカ人の生活支える「ピックアップ」市民権得た理由とは

くるまのニュース / 2023年10月13日 21時10分

トヨタのピックアップトラック「ハイラックス」は世界で販売されるモデルですが、米国ではグローバルの展開とは異なる独自の進化を遂げています。どういった経緯で発展していったのでしょうか。

■米国で独自の進化を遂げていった「ハイラックス」の歴史とは

 広大な土地を持つアメリカでは大きなクルマが多く、トヨタも日本では走っていないような「巨大」ピックアップトラックを独自で現地生産し、非常に好調な売れ行きを示しています。
 
 しかし当初は、日本と同じ小型トラック「ハイラックス」が導入されていました。独自の進化を遂げるに至った歴史を探ります。

 日本の約25倍もの広い国土を持つアメリカ。道路も駐車場も広いため、クルマのサイズはおしなべて大きめです。

 売れ筋モデルは、日本と同じようにSUVがメインですが、アメリカ(北米市場)が決定的に日本と違うのは、ボンネット型トラック、いわゆるピックアップトラックの比率が非常に高いことです。

 2023年9月の北米新車販売データによれば、乗用車が約27万台なのに対し、ピックアップトラックを含むライトトラック(SUVを含む/ライトトラックと言っても最大積載量は4000ポンド=1815kgまで!)は約103万台も売れています。

 トヨタの販売ランキングを見ても「RAV4」「カムリ」に次いで3位にピックアップトラックの「タコマ」が食い込むほどです。

 北米では、ピックトラックトラックは仕事用だけでなく、パーソナルユースで使用されるケースが多いことや、燃費規制や税制での優遇、生活スタイルや文化との合致など、様々な理由でその人気を支えています。

 アメリカの地を訪れたことがあるなら、ピックアップトラックがまるで日本の「軽」のように気軽な使われ方をしている様子を見たことがあるかもしれません。

 トヨタにおけるピックアップトラックの歴史は1964年の「スタウト」に始まり、1968年には初代「ハイラックス」の輸出がスタートしました。

 トヨタ以外でも、ほぼ同時期に日産や三菱などがこの巨大市場へ相次いで進出しています。

 北米版の初代ハイラックスでは、基本的には日本向け仕様車と変わらない外観でしたが、保安基準を満たすためか、ボンネット上に方向指示器が飛び出ていたのが特徴です。

 エンジンは、1.5リッターから2リッターまでの5種類が用意されました。

 トピックとしては、1971年から荷台以外を日本から輸出し、カリフォルニアで荷台と合体させる最終組み立て方法を取ったことです。

 これは、輸入車に課せられる高額な関税を回避する対策の一種で、5代目ハイラックスの途中までこの方法が採られました。

 1972年にフルモデルチェンジを行い、2代目となったハイラックスも、初代同様に北米でも販売されました。

 上級仕様「SR5」が初設定されたのもこの世代でした。

 なお1973年頃から、北米市場でのハイラックスは単なる「トヨタ トラック」に変更され、1995年までその名で呼ばれていました。

■「バック・トゥ・ザ・フューチャー」主人公も憧れた4代目!

 3代目ハイラックスは、1978年から発売を開始しました。

 この代では、日本向けハイラックスのキャッチコピーを「Hilux California」「日本生まれのアメリカ育ち」と銘打ち、カタログもアメリカンな雰囲気を強調。

 1979年には大径タイヤを備えた4WDも追加され、単なる仕事用ピックアップトラックではなく、レジャーでも使えるクルマというイメージを強くしていました。

マーティも憧れた! トヨタ「ハイラックス」4代目モデルマーティも憧れた! トヨタ「ハイラックス」4代目モデル

 そして3代目からは、日本以外でもタイ、フィリピンでも現地生産が始まっています。

 1983年には、4代目ハイラックスが登場。フロントにブリスターフェンダーを持つ、シャープなデザインが特徴でした。

 北米仕様のトヨタ トラックでは、キャビンを延長した「エクストラキャブ(Xtra Cab)」を初採用。大人気映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主人公マーティが憧れたクルマとしても知られています。

 5代目ハイラックスは1988年に発売。4代目をまろやかにしたような外観を特徴とします。

 そして北米向けでは貿易摩擦を解消するため、1991年からすべての生産工程がアメリカに移管しています。

 しかし1995年から、ハイラックス(トヨタ トラック)は、「タコマ」へと発展して消滅。

 日本でも、ハイラックスの販売はこの5代目でいったん終了し、のちに8代目からタイ生産モデルで販売が再開しています。

 ここでどのような変化があったのでしょうか。

■「ハイラックス/タコマ」の上位モデル「タンドラ」で米国の「聖域」に進出!

 初代タコマは、日本仕様がベースだったそれまでのハイラックス(トヨタ トラック)に比べ、より北米市場でのニーズに応じた設計や力強いデザイン・グレード展開が取り入れられていました。

 より大型なピックアップトラックを生産する米国のビッグ3(フォード・GM・クライスラーの3社)の牙城を侵食しないよう細心の配慮をしながらも、徐々に米国ユーザーの好みに応じた進化を加えていったのです。

小型サイズだった「ハイラックス」は50年以上の時を経て全長6.3m級の巨大フルサイズ「タンドラ」にまで発展を遂げました[トヨタ「タンドラ」(4代目・現行モデル)]小型サイズだった「ハイラックス」は50年以上の時を経て全長6.3m級の巨大フルサイズ「タンドラ」にまで発展を遂げました[トヨタ「タンドラ」(4代目・現行モデル)]

 そのため、初代タコマはマイナーチェンジでのマスク変更が多いことも特徴で、米国の広大な大地にも負けない迫力あるスタイリングへ進化していきます。

 また後部にもドアを備えた4ドアのダブルキャブもここで初設定されています。

 2代目タコマは2004年にデビューしました。

 エクストラキャブは、補助席程度ながらも後席を備え、さらに観音開きドアを持つ「アクセスキャブ」に発展。利便性をアップしながら、ボディも大型化されました。

 その後2015年に3代目、そして2023年には4代目が誕生しています。

 世代を重ねるごとによりアグレッシブな外観を獲得。4代目ではついにハイブリッドモデルも生まれています。

 全長が4.3mしかなく、コンパクトだった初代ハイラックスに比べると、タコマはかなり大きくなりました。

 最新のタコマでは、最小サイズでも全長が5.3mもあります。

 しかもさらにタコマの上には「タンドラ」というフルサイズピックアップトラックまで誕生しています。

 これまでGMやフォードの独壇場だった、いわば米国自動車界の聖域ともいえるフルサイズピックアップトラック市場にも、トヨタはついに踏み込んだのです。

 当初は、米国の保守的な層などからの強い拒絶感もあったようですが、初代ハイラックスの時代から長く愛され続けてきたブランド力が、その後の市場拡大に対し大きな後押しとなったのは間違いありません。

 初代タンドラはそれでも米国メーカーに配慮し、やや小ぶりなサイズ感でしたが、2007年登場の2代目は5.7リッターV8エンジンを搭載し、ライバルと真正面からぶつかるべく大型化を遂げています。

 2022年には3代目となり、ランドクルーザー300などと共通する新開発プラットフォーム「GA-F」採用やハイブリッドモデルを設定する一方、全長が最大約6.3mの堂々たるビッグサイズへ発展しています。

※ ※ ※

 自動車文化は、国の成り立ちによって異なります。

 米国で独自の進化を遂げていったハイラックスの歴史は、アメリカの雄大さや、文化の違いを強く感じずにはいられません。

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