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車の「スペアタイヤ」なぜ消えた? パンクしたらどうする? かつてはほぼ“標準装備”だったのに… 装備されない理由は

くるまのニュース / 2023年10月26日 20時10分

近年の新車には、スペアタイヤが装備されないといいます。なぜなのでしょうか。

■消えた「スペアタイヤ」 パンクしたらどうする?

 最近はスペアタイヤが装備されていないクルマも増えているといいますが、スペアタイヤはなぜ消えてしまったのでしょうか。
 
 もし走行中にパンクしてしまったら、どのように対応すれば良いのでしょうか。

 クルマにまつわるトラブルのうち、パンクやバースト(破裂)といったタイヤのトラブルは多く発生しています。

 JAF(日本自動車連盟)によると、2022年度のロードサービス出動理由のうち、パンクやバースト、エアー圧(空気圧)不足などタイヤのトラブルは全体のおよそ2割を占めており、こういったタイヤのトラブルはバッテリー上がりに次いで多いといいます。

 特に高速道路では約4割がタイヤに関するもので、シーズンを問わず発生件数の多いトラブルです。

 バーストは空気圧の低下に起因するものが多く、定期的に空気圧を点検すれば防げることも多いのですが、パンクは道路に落ちていたくぎなどを踏んでしまったという原因が多く、トラブルを防ぐのは難しいといえます。

 この時にスペアタイヤをクルマに装備していれば、バーストやパンクしてしまっても自分でスペアタイヤに交換して、近くのタイヤショップや修理工場まで自走することもできます。

 スペアタイヤは、装着しているタイヤがパンクなどによって使えなくなった時、緊急的に使う代わりのタイヤのことです。一時的な使用を目的としているため、長距離や高速(80km/h以上などタイヤにより異なる)での走行はできません。

 大型四輪駆動車など一部の車種は、リアゲートに標準サイズのタイヤを背負っていることもありますが、多くの場合はラゲッジスペースの下に設けられた収納スペースに、標準タイヤよりも軽量でコンパクトな「テンパータイヤ」を装備しています。

 しかし、スペアタイヤの装備は義務ではなく、新車時から一度も使用せず廃棄されることも多いことから、近年ではスペアタイヤを装備していないクルマも多くなっているのです。

 日本自動車タイヤ協会は、使用しておらず見た目が劣化していないタイヤでも、製造から10年経過したら新しいものに交換するよう推奨しており、そうでなくても空気圧など定期的な点検が必要です。

 このように、スペアタイヤは使用機会が少なく点検の手間がかかるものですが、代わりに近年主流になったのが「パンク応急修理キット」です。

 応急修理キットは補修材とコンプレッサーがセットになった小型のものが主流で、くぎやネジが刺さった程度の軽いパンクを修理できます。

 これにより、本来スペアタイヤを積載していたスペースをなくしてラゲッジルームを拡大できるほか、クルマ自体の軽量化や、廃棄するスペアタイヤの減少も期待できます。

■デメリットもある「応急修理キット」

 しかし、応急修理キットのデメリットも存在します。

 あくまでパンク時に応急的に修理することを目的とするため、大きな異物が刺さったことによるパンクや、バーストなどタイヤが大きく損傷している場合には使用できません。

 さらに、ホイール自体に割れや大きな破損などが発生している場合にも使用できないといったことが挙げられます。

 また、応急修理キットはタイヤ交換とは異なる手順であり、細かい作業を必要とするため、慣れていければ正しく修理できないことも考えられます。

 さらに、標準装備されている応急修理キットはタイヤ1本分となっており、2本以上のタイヤがパンクしてしまった時には対応できず、JAFなどレッカー業者に依頼してディーラーや修理工場まで運んでもらう必要があります。

 省スペースと廃棄物の削減というメリットはありますが、こうしたデメリットも存在していることに注意が必要です。

スペアタイヤの代わりに装備されるパンク修理キットスペアタイヤの代わりに装備されるパンク修理キット

 なお、応急修理キットを装備する新車であっても、数万円の価格でメーカーオプションとしてスペアタイヤを選択できるように設定されている場合があります。

 もし、応急修理キットでは不安だと思う場合、新車時にこちらを選択しても良いでしょう。

※ ※ ※

 タイヤにまつわるトラブルはしばしば発生しますが、スペアタイヤの交換や応急修理キットでの作業は慣れが必要です。

 いずれかを装備している場合であっても、作業が不安であれば自動車保険の付帯のロードサービスを使うことを検討してもよいかもしれません。

 また、万が一に備えて、自分のクルマに装備されたスペアタイヤや応急修理キットの点検をしておくことも大切です。

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