マツダ新型「コンパクトスポーツカー」初公開! ロータリーエンジン&パカッと開くライト採用! 市販化の可能性と込められた思いとは
くるまのニュース / 2023年10月28日 17時10分
マツダは「ジャパンモビリティショー2023」でコンセプトカー「マツダ アイコニックSP(MAZDA ICONIC SP)」を発表しました。このクルマの特徴、そして、そこに込められた狙いなどは、どのようなものだったのでしょうか。
■マツダの新型「ロータリー搭載コンパクトスポーツ」初公開
マツダは10月25日に行われた「ジャパンモビリティショー2023(以下JMS2023)」でコンセプトカー「MAZDA ICONIC SP(アイコニックSP)」を発表しました。
このクルマの特徴、そして、そこに込められた狙いなどは、どのようなものだったのでしょうか。
JMS2023のマツダの会場にて、デザインを担当したマツダのデザイナー、高橋 耕介さんに話を聞くことができました。
まず、名前について聞いてみれば「アイコニックとは、マツダのスポーツカーのアイコンを意味しています。SPは、スポーツとか、スペシャル、スピリッツなどの略ですね」との答え。
「デザイン的には、マツダらしさを象徴しています。マツダがいつも同じ方向を向いていて、そしてこれからも同じように作っていこうという思いを示します」と言います。
確かに、アイコニックSPを見ていると、過去のマツダのスポーツカーを思い浮かべることができます。
デザイナー的には、サイドの窓の後ろ側に特徴があるとか。斜めからの見え方にかつての「RX-7」を思い出すのは、そうした窓の形に理由があるようです。
また、「ヴィオラ・レッド(VIRLA RED)」というソリッドな赤のボディカラーは、初代「ロードスター」をイメージさせてくれます。これもマツダ・スポーツの香りがする理由ではないでしょうか。
小さなリトラクタブルヘッドライトは「ワクワクするから」というのが採用した理由だとか。
また、デザイナーである高橋さんはサイズにこだわったといいます。
「全長が4.2mを切る、ライトウェイトスポーツカーにしたいと考えました。タイヤサイズは、あえて19インチに。これくらいのサイズのクルマなら、それほど高くならないはずです。
つまり、ちょっと頑張れば誰もが手に入る価格になってほしいですね」と高橋さん。
アイコニックSPのサイズは全長4180mm×全幅1850mm×全高1150mm。これは現在の「ロードスター」の全長3915mmよりは大きいものの、トヨタ「GR86」の4265mmや、かつてのマツダ「RX-7(FD型)」の4280mmより小さいという寸法です。
確かにこのサイズ感であれば、1000万円級のスーパースポーツではなく、普通の人も手に入る価格帯に納まりそうです。
■「マツダ アイコニックSP」市販化の可能性は?
では、その中身はどうか。マツダは「ロータリー・エンジンを活用した、2ローターRotary-EVシステム」であり、充電可能なバッテリーも搭載されていると説明します。
2ローターというのは、オムスビ型のロータリー・エンジンを2つ重ねたもののこと。かつてのRX-7やRX-8と同じ方式で、小さく軽いことが特徴です。
「MAZDA ICONIC SP」に市販化の可能性はあるのか
これをフロントのなるべくクルマの中央部に置き、後に駆動用のバッテリーを積むことになるようです。これほど車高が低ければ、床下にバッテリーを並べることは不可能ですから、当然というか必然のレイアウトでしょう。
これにより、重量の前後バランス50:50を実現します。車両重量は1450kg。1000kgちょっとの「ロードスター」や、1200kg台の「GR86」「RX-7」よりも重いものの、4気筒で1400kg台、6気筒で1500kg台の「GRスープラ」とは同等。ましてやEVと考えれば、存外の軽さです。
この軽さに対して、モーターの最高出力は370馬力と発表されています。パワーウェイトレシオは3.9kg/PS。これは非常に優れた数値で、「ロードスター」どころか、「GR86」や「RX-7」、さらには「GRスープラ」にも勝ってしまいます。
流麗で低くワイドなボディは前後重量配分に優れ、そしてEVとしては非常に軽く、そして速い…ということになります。
ちなみに、「2ローターRotary-EVシステム」の詳細は発表されていません。ただ、カーボンニュートラル燃料でエンジンを回し、再生可能エネルギーの電力で充電すれば、カーボンニュートラルの走行が可能になると説明しています。
ただし、このシステムにはヒントが存在します。それが、すでに発売されている「MX-30 ROTARY-EV」です。これもロータリー・エンジンとモーター、バッテリーを組み合わせたマツダ独自のシステムです。
これと同じであれば、ロータリー・エンジンで発電し、その電力でモーター駆動することになります。近距離は充電した電力で走るEV、長距離は燃料を使ったシリーズ・ハイブリッドとして使うことができます。
また、このシステムは、高額なリチウムイオン・バッテリーをたくさん使わなくてもよいというメリットがあります。これにより、価格高騰と重量増を抑えることが可能です。
こうしたシステムのメリットをアイコニックSPは利用して生まれたとも言えるでしょう。ある意味、この姿を実現するための技術的な裏付けが、しっかりと用意されているというのもポイントになります。
最後に、このモデルは量産化されるのかという点です。
デザイナーの高橋さんは「あくまでもデザイン・スタディという位置づけ。量産化がどうこう言えるものではありません」とは言います。
とはいえ、技術的に無理なわけではありませんから、市場からの要望の声が大きければ、検討の余地もあるのではないでしょうか。今後の動きに期待したい1台です。
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