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MT搭載の「ランクルEV」世界初公開! クラッチ&ギアチェンの操る感覚はそのまま!? 斬新コンセプトが誕生した理由

くるまのニュース / 2023年11月2日 12時30分

「ジャパンモビリティショー2023」には多くのEVが展示されていますが、会場にはトヨタ「ランドクルーザー60 EV仕様」が存在しました。

■なぜランクル60をEV化したのか

 2023年10月28日から一般公開されている「ジャパンモビリティショー2023」。
 
 多くのEVが展示されており、中でもトヨタ「ランドクルーザーSe」などは大きな話題を呼んでいますが、会場にはもう1台の「ランドクルーザーEV」が存在しました。

 それは、中古車販売を手掛ける「FLEX」と、特殊・特装車両の専門メーカー「TONOX」のコラボレーションによって誕生した「ランクル60コンバージョンEV」です。

 その名の通り、往年の名車であるランドクルーザー60をベースに、VCU(ヴィークル・コントロール・ユニット)とモーターをインストールした車両です。

 製作にあたっては、まずベース車両探しからです。

 1980年代の60系初期型・ガソリン車“FJ60V”を見つけます。

 なぜ、この型式だったのでしょうか。プロジェクトを担当したフレックスの古屋太基氏は、その理由について次のように語りました。

「弊社ではレストアとカスタムをした往年のランクルの販売をしています。

 最近は80系や100系をベースに“ロクマル顔”にするカスタムが人気です。

 そこで、どうせならオリジナルでということになり、この型式を選びました」

 F型直列6気筒ガソリンエンジンを搭載したFJ60Vは、今でもランクルファンの間で絶大な人気を誇り、特に今回使用している「STDグレード」はリアゲートが観音開きであることも支持される要因になっています。

 そんなレアモデルゆえに、探し出した車両はサビでボロボロの状態だったんだとか。

 それを丁寧にレストアして、新車のような状態に戻します。

 F型直列6気筒ガソリンエンジンは人気ですが、EV化するために惜しげ無くシャシから取り外します。

 そして、トノックスがEVに必要な部品を搭載し、配線を施して完成。

 この車両が興味深いのは、エンジンをモーターに換装しただけということ。

 トノックスの常務取締役・殿内崇生氏は「60系本来のパワートレーン、トランスミッション、サブトランスファーもそのまま活かしている」といいます。

■EVだけどシフトチェンジは従来のMTなの? 斬新プロジェクトはなぜ誕生した?

 この車両はMTですので、EVでありながら手動でシフトチェンジ、そしてペダルでクラッチ操作を行う点が非常に興味深いところです。

 エンジンルームを見せてもらうと、エンジンや補機類がすっかり取り払われ、クラッチの前部にモーターが取り付けられていました。

 残っているのは、ブレーキのマスターシリンダーくらいで、エンジンルームの中は空っぽと言ってもいい状態です。

「60系はエンジンルームが広く、加えてラゲッジルームにも余裕があるので、こうした場所を利用してバッテリーを積むことになると思います」(前出・殿内崇生氏)

なぜ「ランドクルーザー60」がEV化されたのか?なぜ「ランドクルーザー60」がEV化されたのか?

 ただし、現状ではまだ搭載するバッテリーは未定とのこと。

 というのも、仮にエンジンルームにリチウムイオンバッテリーを積むことになった場合、衝突時の安全性を十分に確保できる必要があるからです。

 また、EV化するとエンジンの時よりも重量が増加するため、リーフスプリングの強化なども必要になります。

 ちなみに、なぜこのようなコンバージョンEVを企画したのでしょうか。

「弊社は中古のランドクルーザーの販売、加えてカスタムをしていますので、購入した車両のEV化というひとつの選択肢を提案していくためです。

 この車両は単なるコンセプトカーではなく、今後弊社が行うサービスのローンチと考えていただければと思います」(前出・古屋太基氏)

※ ※ ※

 FJ60Vと言えば、そのダイナミックなエンジン音と排気音が特徴でしたので、無音で走る姿はなかなか想像できません。

 しかし、排ガス規制などの事情から、都市部で走れないオールドランクルが多数あることから、それがEV化によって気兼ねなく所有できるメリットは大きいと言えます。

 本家トヨタのランクルSeとは異なるランクルEV化のもうひとつの波、こちらも大いに期待したいムーブメントです。

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