スズキ新型「軽ワゴン」初公開! 斬新シフト&異型ハンドル採用の「eWX」は2030年までに登場!? 市販化の可能性とは
くるまのニュース / 2023年11月4日 16時10分
2023年10月25日に、「ジャパンモビリティショー2023」のプレスデイで、スズキはコンセプトカーとなる軽ワゴンEV「eWX」を世界初披露しました。どのようなモデルなのでしょうか。そして市販化の実現性はあるのでしょうか。
■スズキ“新型軽ワゴンEV”「eWX」の実現性とは
2023年10月25日、「ジャパンモビリティショー2023」のプレスデイで、スズキはコンセプトカーとなる軽ワゴンEV「eWX」を世界初披露しました。
この「eWX」のコンセプトは「楽しく実用的な軽ワゴン」と「EVらしい先進感」をクロスオーバーさせるというもの。「すっきり、軽やか、新しさ」をデザイン・テーマに、シンプルで分かりやすいボディ造形に、角丸長方形をモチーフにしたデザインとしています。狙いは親しみやすさです。
その寸法は、軽自動車規格に納まる全長3395×全幅1475×全高1620mm。EVとしての一充電航続距離は230kmと発表されました。
ショーで公開された「eWX」は、グレーの車体に派手なイエローのラインが躍ります。スタイリッシュな分だけ、いかにもコンセプトカーという雰囲気。
一見、「量産化は遠いのでは」と思ってしまいました。しかし、スズキの過去の発表をチェックしてみると、このコンセプトカーの実現の可能性は意外に高いと言えます。
その発表とは、2023年1月に実施した「2030年度に向けた成長戦略説明会」というもの。これからの7年間の経営戦略をスズキの社長自らが説明するというものでした。
そこで重要なのが、「日本には、2030年度までにEVを6モデル展開する」と公言していることです。社長のプレゼンの資料には投入予定のEVとして6モデルのシルエットが掲載されていました。
それは軽ワゴンと思える2台、軽商用のような1台、ハスラーそっくりの1台、普通車のSUV2モデルという内訳です。ちなみに欧州投入予定の5モデルのうち1台は、ジムニーそっくりのシルエットをしています。これはこれで気になります。
とにかく、過去、というか、今年の年頭の説明に鑑みれば、今回のコンセプト「eWX」は、2030年度までに日本に導入される軽EVのうちのひとつになる可能性は大きいということです。
ただ、個人的に解せなかったのが「eWX」のデザインです。
「eWX」は、“軽ワゴン”と説明されています。ところが、スズキの軽ワゴンといえば「ワゴンR」とその派生モデルのことを指します。古くからある「アルト」のようなセダン型ではなく、もう少し背の高いスクエアな車体が特徴です。軽ワゴンの現行型となる「ワゴンR」の全高は1650mm。コンセプトカー「eWX」の1620mmと、それほど変わりません。
背の高さは“軽ワゴン”に相応しいものですが、「eWX」のデザインは、どう見てもセダン型の軽自動車「ラパン」に似ています。ボディの上にキャビンが乗り、クルマの後ろに、トランクを思わせるような出っ張りがあります。水平に前に伸びるボンネットの形も「ラパン」を思わせます。
ところが現実の「ラパン」は、セダン型と呼ばれていますから、背がもっと低くて、全高は1525mm。100mmほども背が低いのです。
つまり、コンセプトカーの「eWX」は、形はセダンなのにサイズはワゴン。ボンネットは高く、キャビンのボリューム感もたっぷり。だからか、ステージにある実車は、ひどく大きく感じられます。すぐ、横に展示されていたBセグメント相当のSUVコンセプト「eVX」に負けない存在感を放ちます。これは一回りどころか、二回り以上に大きなタイヤサイズであることも理由のひとつでしょう。
インテリアも、外観と同じように、角丸長方形をモチーフにしたキュートなデザインです。運転席前のメーターはセンターディスプレイとつながっていて、横長の大きなモニターとなっています。
でも、このキュートさに騙されてはいけません。近年の軽自動車のデザインは、とてもモダンで挑戦的なモノも存在します。これくらいであれば、量産車であってもおかしくありません。
同様に、エクステリアも派手な黄色いラインを省いて、もう少し現実味のあるライトとグリルになれば、そのまま量産車にいけそうな雰囲気もあります。
■最大航続距離の設定から“分かること”とは
続いて走行性能はどうでしょうか。発表されたのは航続距離が230kmということのみ。ただし、EVにとって航続距離は性能を見極める大きなポイントになります。航続距離をライバルと比較してみれば、搭載されるリチウムイオン・バッテリーの容量が推測できますし、それにより車両価格にも見当がつきます。
航続距離からわかることとは?
具体的な比較対象は、日産の軽EV「サクラ」。そして、その兄弟車となる「eKクロスEV」です。これら2台の性能は、20kWhのリチウムイオン電池を登載して航続距離180km。つまり、航続距離230kmという「eWX」の航続距離は「サクラ」の約1.3倍もあることになります。
もしも「eWX」と「サクラ」たちの電費性能が同等であれば、1.3倍の航続距離の実現には、1.3倍相当の大きいリチウムイオン・バッテリーが必要になります。その場合の電池搭載量は26kWh。それとも同等の電池量で、電費を磨いて、より長い航続距離を実現しているという可能性もあります。
性能というのは、後から追いかける方が有利なもの。そういう意味で、「eWX」のリチウムイオン・バッテリーの搭載量は、非常に気になるポイントです。
そしてリチウムイオン・バッテリーの搭載量は、車両価格にダイレクトに影響します。バッテリーは高額だからです。
「サクラ」と「eKクロスEV」は約250~300万円という価格帯です。これに対して「eWX」は、どうなるのか。バッテリーをたくさん積んで、高い価格で登場するのか。それとも同等のバッテリー料で、同価格帯、もしくは、もっと安くして挑むのか。これも気になるポイントです。
ただし、「サクラ」「eKクロスEV」、そして「eWX」は、それぞれ異なるキャラクターを持っています。モダンな「サクラ」に、アウトドアの「eKクロスEV」というライバルに対して、「eWX」はキュート路線。
ターゲットユーザーが微妙に異なることになるため、シェアを食い合うのではなく、お互いに刺激し合って、逆にマーケットが活性化するかもしれません。ユーザー目線でいえば選択肢が増えるのは、嬉しいもの。「eWX」の市販化のアナウンスに期待しましょう。
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