まもなくWRC最終戦「ラリージャパン2023」開催! 注目は日本人ドライバー勝田貴元選手! ラリーを通して伝えたいメッセージとは?
くるまのニュース / 2023年11月14日 8時40分
2023年11月16日から19日まで、愛知県・岐阜県を舞台にFIA世界ラリー選手権 最終戦「ラリージャパン2023」が開催されます。注目の日本人ドライバーである勝田貴元選手は、大会を通してどのようなことを伝えたいのでしょうか。
■まもなく「ラリージャパン」開催 どんな想いで望む?
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGRWRT)に所属している勝田貴元選手は、WRC(FIA世界ラリー選手権)での活躍しているドライバーです。
2023年11月16日から19日までWRCの最終戦を飾る「ラリージャパン」が開催されます。勝田選手は大会にどんな想いで望み、どういったことを伝えたいのでしょうか。
モータースポーツはさまざまな競技がありますが、市販車をベースに過酷な環境下で実施されることからもっとも過酷なモータースポーツともいわれ、ファンも多い人気の競技です。
モータースポーツにはサーキットの中で競うものと、公道も交えて競うものがあります。公道を使う競技で有名なのが、ラリーです。
その世界最高峰となるのがWRC(FIA世界ラリー選手権)となり、中でも注目の的ともいえるのが、トヨタのラリートップチームTGRWRTに所属している日本人ドライバー、勝田貴元(かつた たかもと)選手です。
勝田選手は1993年愛知県長久手市生まれ。国内ラリーのパイオニア的存在ともいえる祖父・勝田照夫氏と、全日本ラリー参戦経験のある父・勝田範彦氏を持つラリー一家に生まれました。TGRWRTには2015年から所属しています。
そんな勝田選手ですが、まもなく開催されるラリージャパンにはどのような意気込みで望むのでしょうか。
まずは、12年ぶりに開催された前回大会についてこう振り返ります。
「ラリージャパンが復活すると言われてから、色々な状況で開催できなかった状態が続き、ファンもすごく残念だったと思います。
そんななかで(前回の)2022年が開催できたのはすごく嬉しかったです。ようやく開催されて、応援してくれる人もたくさんいて、そのなかで表彰台を獲得できたのは本当に良かったと思います」
本来であれば2020年に、10年ぶりの開催となる予定だったラリージャパンは、新型コロナウイルスの感染拡大などにより2年連続で延期に。
ようやく開催された前回大会では、ラリーファンをはじめ、多くのモータースポーツファンやクルマファンから待ち望んでいたという声も聞かれ、これまでにない注目の大会となりました。
「当時ラリージャパンで結果を出すということも1つの目標として見ていました。
それは、日本で開催されるとか日本のチームが出るといったことはもちろん、日本人のドライバーが出ているんだよということに注目してほしいと思いました。
やはり、どんなスポーツでも日本人の選手が活躍すればさらに盛り上がりますし、反対にそういう責任感とかプレッシャーを感じた大会でした」(勝田選手)
日本人選手として、多方面からの活躍を期待されていたことで、ラリーのことをもっと知ってもらえる反面、結果を残さなければと緊張もあったといいます。
そうしたなかで、勝田選手は総合3位を獲得。地元愛知県、さらに岐阜県を舞台に表彰台に登るなど活躍を見せました。
そして今回も、WRC2023年シーズン最終戦として、ラリージャパンは愛知県・岐阜県で開催されます。
「昨年3位表彰台に登っているラリーので、表彰台はもちろん、優勝争いに絡んでいければと思います。
自分の持っているものをすべて出し切って、いい形で終われるようにしたいです」(勝田選手)
■勝田選手がラリーで伝えたいこととは?
勝田選手は、ラリーを通してファンやクルマをまだ知らない人たちに伝えたいこともあるといいます。どのようなことなのでしょうか。
「シンプルに『クルマってこんなにカッコいいんだよ』って伝えたいですね。
クルマを作るためにこれだけのメカニックやエンジニアの人が関わっているんだよというのを現地で見てほしいなと思います」
ラリー競技は多くの場合、閉鎖された一般道を市販車ベースに競技向けの改造が施されたマシンで走行します。
コース内をタイムアタックするため、砂ぼこりや水しぶきを上げて走行する姿に圧巻され、心を動かされる人も多いといいます。
しかし、実は迫力だけがラリーの魅力ではありません。
こうした競技で培われたノウハウは、一般のユーザーが乗る市販車にも生かされているのです。
また、ラリーでは助手席で前方状況をナビゲーションするコ・ドライバーと二人三脚でゴールを目指すことも特徴です。
さらにモータースポーツに共通することとして、ドライバーひとりで成立するものではなく、最高のパフォーマンスを発揮できるようにクルマを開発するエンジニアや、いかなるトラブルが発生しても慌てずに対処するメカニックにより支えられています。
勝田選手はラリーを通じて、多くの人が携わってクルマが成り立っていることについても伝えたいという気持ちが強いようです。
さらに、安全についても学んで欲しいといいます。
「ラリーカーって、全開で狭い山道を走っているときもあれば、公道を一般車に混じって走っているときもあります。
その時は交通ルールももちろん守っていますし、安全第一を考えています。
このギャップというか切り替えはたぶん衝撃だと思います。派手なクルマがゆっくり走っていて、それを山道まで持って行ってクレイジーに走るという。
でも、運転手がどう扱うかで安全で楽しい乗り物になるときもあれば、逆に凶器にもなるっていうことを理解しなくちゃいけないんです。
それって競技に関係なくすごく重要なことなので、モータースポーツを通じて安全運転についてもつなげていければと思います」(勝田選手)
ラリーは過酷な道を走行するため、常に予期せぬアクシデントとはつきものの競技です。
大きなクラッシュによりリタイヤせざるを得ない場合や、大きな怪我を負うこともあります。
さらに、SS間は一般道を走行して移動する(移動区間をリエゾンという)のも特徴で、その場合は各地域の法規にしたがって走行しなければなりません。
こうしたことから、決まりを守って走行し安全に目的地まで完走するという点についても注目して欲しいといいます。
「クルマの存在意義って、目的地まで安全に人を運ぶことだと思います。
しかし、それはラリーでも一緒で、『あの選手はあんなテクニックを持っているのに公道ではこんなに安全運転なんだ』って思ってもらいたいです。
状況にあった運転をすることで事故は防げると思います。モータースポーツを通じて、そんな点にも感じてもらいたいなと思います」(勝田選手)
2022年の「ラリージャパン」の様子
さらに、ラリー競技の楽しみ方を選手ならではの視点から説明してくれました。
「ラリーの場合は一台ずつのタイムアタックをします。サーキットで行うレースよりもドライバーによって走らせ方がぜんぜん違います。
例えば、あるドライバーは横滑りしながらコーナーを抜けていくのに、別のドライバーはグリップしながら走らせるとか。本当にドライバーそれぞれでスタイルが違います。
そのなかでもタイムはコンマ何秒しかタイムが違わないので、そこを見てもらえれば面白いと思います」(勝田選手)
■勝田選手からのメッセージ
ラリー競技の魅力だけでなく、安全運転やクルマについても興味を持ってもらいたいと話す勝田選手ですが、ラリーファン、まだラリーを知らない人、開催地域の人に向けてメッセージがあるといいます。
・ラリーファンに向けて――
「昨年も、長年待ち望んだラリージャパンがようやく開催できて、多くの方に見ていただき、日本のラリー文化の大きな一歩だったと思います。
自分自身としては表彰台に登れたのも良かったと思いますし、トヨタにとっても日本のラリー業界にとっても良かったと思っています。
しかし、そこで終わらせるのではなく、今年もそれ以上の結果を求めて活躍できるように、いい走りをしていい結果を残せるように全力で戦いたいと思います。改めて応援よろしくお願いします」
・まだラリーを知らない人に向けて――
「昨年、ラリーをちらっとメディアで見たけど、まだ知らない方も多いと思います。
ラリーというモータースポーツはまだ、日本の中ではあまり知られていないスポーツです。
しかし、今トヨタが世界選手権に出ながら何年も活躍していることがあったり、世界の公道を使って走る過酷な競技でもあるので、さまざまなモータースポーツのなかでもファンとの近さが魅力です。
ステージは全開でものすごいスピードで走っていくんですが、そのコースをつなぐ移動区間リエゾンは一般のクルマと同じように交通ルールとスピードを守って走行します。
ときには一般のクルマと並走することもあり、どんなモータースポーツよりも身近にあるモータースポーツだと思います。
普段お買い物にいくような道が、もしかしたらステージになっているかもしれないし、そういう当たり前の平凡な日常が非日常になって味わえるという競技です。
今年は豊田スタジアムのステージが特徴ですが、ぜひ本格的な山のステージも見に行っていただけたらと思います。
また、スタジアムのコースでは、クルマの走りの全体を見渡せられると思うので、ラリーを見たことない人でも、まずラリーではどんなふうに走っているのかというのを生で感じて聞いて、雰囲気も楽しんでもらえればうれしいです」
今年も地元での表彰台を目指す勝田選手に期待
・開催地域の方へ――
「皆さんが住む一般道を使うモータースポーツなので、地元の方にはより一層非日常を味わえると思います。
地元の祭りとしてイベント自体を楽しんでもらいたい。ひとつの競技ではなく、お祭り感覚で見に来ていただけたらうれしいです。
また、皆さんが日常で使うクルマも実はモータースポーツで鍛えられる部分があり、一般のクルマに活かされている部分はあるので、そういったことにも思いを馳せてもらえればと思います。
見た目や音、迫力は一般のクルマとは全く違うんですが、間違いなく一般のクルマともつながっていることを感じてもらいたいです」
※ ※ ※
WRC2023年シーズンも、残すところラリージャパンのみとなりました。
11月16日の「鞍ケ池公園シェイクダウン」にはじまり、19日の最終SS「旭高原SS ウルフ・パワーステージ」まで計304.12kmをタイムアタック。リエゾン区間を含めると4日間で958.95kmを走破します。
勝田選手はアーロン・ジョンストン選手とともにGR YARIS Rally1 HYBRID(18号車)を駆り、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)とともに今シーズン9回目の優勝を目指します。
シーズン最終戦を飾るラリージャパンが、どのような戦いが繰り広げられるか、大いに期待が高まっています。
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