極上の初代「セルシオ」B仕様と最新レクサスを乗り比べ!「KINTO」が取り組む新たな試みとは?
くるまのニュース / 2023年12月6日 18時40分
1989年(平成元年)に誕生したセルシオから始まり、現代のレクサスブランドへ受け継がれたラグジュアリーかつ先進的な世界。30年の時代を超えて受け継がれたものとは一体どのようなものなのでしょうか?
■試乗車には時代を彩った名車が勢ぞろい
初代トヨタ「セルシオ」のレンタルがKINTO「Vintage Club」で始まりました。それを記念して2023年12月1日、事前に応募して選ばれた人たちが初代トヨタ「セルシオ」、レクサス「LS500h」、レクサス「RZ450e」の3車種を乗り比べられるイベントとトークショーが都内で開催されました。
KINTOといえばトヨタの新しい自動車販売契約の方法として、サブスクのフルサービスで自動車に乗れる、ということで知っている人も多いと思います。
そんなKINTOですが、事業内容としては自動車販売契約でなく、新しい移動のよろこびを発見できる場所を提供する「モビリティマーケット」、移動をもっと自由にもっと楽しくするサービス「my route」、オーナーに向けた愛車の機能向上サービス「KINTO FACTORY」、旧車を楽しむためのコミュニティー「Vintage Club」という複数のサービスがあります。
「Vintage Club」は、旧車をフルレストアしてレンタカーとして提供、過去の名車を実感してください、というコンテンツで、トヨタ「セリカリフトバック(RA25型)」「レビン(TE27型)」「スープラ(70型)」「MR2(AW11型)」セリカ「GT-FOUR(ST205型)「1600GT」(TA22型)」「ソアラ(10型)」など、時代を彩った名車がそろっています。
■山本シンヤ氏が所有していたセルシオを提供
今回そのラインナップの中に初代「セルシオ」B仕様(1991年式)が加わります。これは自動車研究家として活躍する山本シンヤ氏が個人で所有していたセルシオを「Vintage Club」に提供し、「30年以上前に作られたセルシオを体験してほしい。そして現代のレクサスブランドに流れるものの源流を知ってほしい」という思いから始まったものです。もちろんこのセルシオもフルレストアされており、機関や内外装はきれいに仕上げられています。
山本シンヤ氏の愛車であった初代「セルシオ」のB仕様が「Vintage Club」に提供された
初代「セルシオ」は「A」「B」「C」仕様という3グレードが用意され、「C」が最上級です。「B」仕様は、全長4995mm、全幅1820mm、全高1425mm、ホイールベース2815mm。エンジンは1UZ-FE型V8 4000cc。サスペンションは前後ダブルウィッシュボーン式を採用、A仕様とB仕様はコイルサスペンションで、C仕様は電子制御式エアサスペンションを採用しています。
「B」仕様はコイルサスペンションながら、路面状況によりダンパーの減衰力が瞬時に変わる電子制御サスペンション「ピエゾ式TEMS」が装備されています。
いまでは走りながら減衰が変化する電子制御サスペンションもありますが、30年前に登場したときは世界初の技術でしたので話題になりました。今回山本シンヤ氏が提供したセルシオもこの「B」仕様であり、「ピエゾ式TEMS」も完璧に作動します。
■レクサスの大きな挑戦
そんな初代「セルシオ」を提供した山本シンヤ氏と、レクサスインターナショナル チーフエンジニア武藤康史氏、レクサス開発部アシスタントチーフエンジニア笠井陽一郎氏、KINTO総合企画部 部長布川康之氏によるトークショーが開催され、「セルシオからレクサスへ受け継がれているものは何か?」について語られました。
山本シンヤ氏は「レクサスはおいしいご飯とみそ汁」と言い、その理由として「これは毎日食べても飽きない普遍的なもの。いろいろなものを食べても最後はご飯とみそ汁に戻りたどり着く。そういう普遍的で最後に行き着くのがレクサスなのではないか」と語ります。
試乗会ではトークショーも開催された。左からKINTO 総合企画部部長 布川康之氏、自動車研究家 山本シンヤ氏、レクサスインターナショナル チーフエンジニア 武藤康史氏、レクサスインターナショナル LE開発部 アシスタントチーフエンジニア 笠井陽一郎氏
レクサスインターナショナル チーフエンジニアの武藤康史氏は「Luxuryへの挑戦」と言います。「初代セルシオは世界のラグジュアリーブランドへ戦いを挑むため開発された車です。その時自分はまだ入社前でしたが、当時開発に関わった社員に、入社後に話を聞くと、それは『大きな挑戦だった』と言います。もちろん今でもそれは引き継がれていて、今も挑戦を続けている。そんな思いです」と語りました。
さらに今のレクサスに受け継がれている「こだわり」は何かという話題では、「静粛性や乗り心地、運転している時の気持ちよさなどを一貫して継承している」と武藤氏は言い、それは「電気自動車(BEV)として初のレクサスブランドで登場するRZ450eにも受け継がれている」とRZ450e担当の笠井氏は話しました。
続けて笠井氏は「通常の車であればエンジンの音や振動を極力感じないようにしていても、どうしても音や振動は感じられる。『RZ450e』はエンジンがないことにより、より他の音や振動が気になるようになる。そこをいかに抑えるのかなどを研究し、この車両に入れ込んであります」と語ります。
■レクサスの乗り味、どう引き継いでいる?
また、山本氏は「どのレクサスに乗っても、『あ、レクサスだな』と感じる部分があるが、この味付けはどのようにしているのか」とレクサスの車両に共通するものは何かを武藤氏に投げかけてみます。
するとチーフエンジニアの武藤氏は「味付けの勉強会みたいなものを不定期で開催しています。多くの開発者が集まり意見交換を行う。その中でレクサスと言えばこういう感じではないかというのが、自然と見えてくるようになる」と開発の一端を語ってくれました。
最後に「Vintage Club」担当の布川氏は「Vintage Clubで『セルシオ』のレンタルを開始しましたので、ぜひとも一度乗っていただいて、30年前のセルシオを感じてもらい、そして現代のレクサス『LS』と乗り比べていただけると、30年経過して受け継がれているものが感じられると思います」と締めくくりました。
山本氏も「古い車に乗って、新しい車に乗るとそれぞれの良さが分かる。そこに受け継がれているものは何かも分かると思う。旧車を購入するというのは勇気もいるし躊躇(ちゅうちょ)してしまう部分もあると思います。一度体験して自分はその車と付き合えるのか、などの確認にも良いと思う」と今回車両提供した思いを語り、トークショーは終了しました。
■特別試乗会で3車種を乗り比べ
イベントでは、事前に応募され選ばれた人たちによる、初代「セルシオ」B仕様、レクサス「LS500h」、レクサス「RZ450e」の乗り比べ体験会が開催され、それぞれの車両で首都高を含むコースで乗り比べを行いました。
セルシオの車両提供をおこなった自動車研究家の山本シンヤ氏
参加者の一人は「30年の時代を感じます。現代の車の方が乗りやすいし、最新の技術が詰まっているというのが分かります。『LS500h』はフラッグシップの車だなというのを感じました。一方の『セルシオ』は、当時はすごかったのでしょうし、仕上がりもすてきではありますが、やはりステアリングは重く感じましたし、今の車とは違う動作なのか違和感もありました」と指摘しつつ、「しかし30年たった今でもエンジンの静粛性はすごいと思いますし、アクセルを踏み込んだ時もエンジンが静かでした。『セルシオ』も『LS』もその当時の最新の技術を盛り込んでいるのは、やはり最高峰の車だからなのでしょう。そういう技術力やラグジュアリーな雰囲気が継承されていることを今日は体験できました」と感想を述べました。
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