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レクサス新型「小さな高級車」登場! 全長4.2m級ボディの豪華内装が凄い?! 「クラス超え」走りは?

くるまのニュース / 2023年12月21日 8時10分

高級車の概念を変えるサイズのヒエラルキーを超えた次世代レクサスのモデルとなる新型「LBX」。スペインで行われた国際試乗会での印象はどうだったのでしょうか。

■スペインで新型「LBX」を試乗、どう?

 現在、レクサスが特に注力しているのは「電動化」、「知能化」、そして「多様化」の3つの柱になります。
 
 その中で多様化はライフスタイルの変化により、これまでの常識とは異なるニーズが存在しています。
 
 しかし、多くのプレミアムブランドは電動化/知能化に注力するが故にブレイクスルーできてないのも事実です。
 これまでレクサスは何度か高級車の概念を変える挑戦を行なってきましたが、今回再び挑むのが、新時代のレクサス「LBX」になります。

 今回はスペイン・バレンシアで開催された国際試乗会に参加してきました。

 筆者は9月に日本で開催された「レクサスショーケース2023」で味見レベルの試乗をしていますが、今回はリアルワールドです。

 市街地から高速道路、ワインディングまで存分に走ってきました。

 LBXのミッションは、これまで世界の自動車メーカーが幾度となく挑戦するも成功することができなかった「小さな高級車」への挑戦でした。

 そのキッカケはレクサスのブランドホルダーである豊田章男氏のこの一言でした。

「本物を知る人が素の自分に戻れ、気負いなく乗れる一台。つまり、週末にTシャツとスニーカーで乗れる高級車がつくりたい」

 古くから「高級車=権威の象徴」と言う期待値が高いが故に、そのニーズをコンパクトモデルで実現させるには大きな壁がありました。

 豊田氏は昔から「サイズによるヒエラルキーを壊したい」と言う強い想いを持っており、それをレクサスブランドでも具体化させた……と言うわけです。ただ、それが故に開発中は相当厳しい評価もしたそうです。

 チーフエンジニアの遠藤邦彦氏は、当時の事を今でも鮮明に覚えているそうです。

「企画当初は色々な制約を考えると『既存のコンポーネントの中でやり切ろう』と言う考えでした。

 試作車を仕立て会長に見せると、悲しそうな表情で『これしかできないなら、いらない』と一言。

 衝撃的でした。

 その後、佐藤プレジデント(当時)に相談に行くと、『茨の道かもしれないけど、行こう』と背中を押してくれたので、『思い切ってやりたい事をやる!!』と決心しました」

 恐らく、開発メンバーの多くは「与えられた素材で全力を尽くす」は染みついていますが、豊田氏は「それではブレイクスルーはできない」、「限界を決めずに挑戦してほしい」と言う想いがあったからこそ、厳しい事を言ったのでしょう。

 今回試乗したモデルは「Cool」のFFです。

 ステアリング位置以外は日本仕様とほぼ同スペックですが、唯一の違いは全高。

 日本仕様はタワーパーキング対応のためシャークフィンアンテナレス仕様となっており、欧州向けに対して-20mmの1540mmです。

 エクステリアは全体的にコロッとした雰囲気ですが、オーバーハングが比較的短めかつ、タイヤを四隅に配置したプロポーション(他のGA-Bモデルよりホイールベースが20mm長い)と全幅1820mmを活かしたドシッと踏ん張りのあるスタンスの良さなどから、コンパクトサイズながらも堂々としたスタイルです。ちなみにモチーフは日本の伝統「鏡餅」と聞いて納得。

 ボディカラーはモノトーン/バイトーン共に豊富に用意されていますが、新世代レクサスを象徴する「ソニックカッパー」は、シーンよってカジュアルでもフォーマルにも化ける雰囲気で、LBXの世界観に最も合っているように感じました。

 インテリアはステアリングからメーター、HUDへと繋がる「TAZUNAコクピット」の概念は上級モデルと共通ですが、LBX専用の水平基調のクリーンなインパネとコンソールに溶け込むモニターが特徴です。

 個人的にはタッチスイッチ/物理スイッチのバランスは、新世代レクサスの最も整っている操作系かなと。

 装備関係はフル液晶メーターやイルミネーション、マークレビンソンプレミアムサウンドシステムやeラッチなど上級モデルと変わらないアイテムを満載しますが、その一方で電動シートが運転席のみ(助手席は手動式)、シート空調はヒーターのみで(ベンチレーター未設定)、ステアリング調整が手動式なのはちょっとガッカリな部分です。

 この辺りを開発メンバーに聞いてみた所「車両重量を抑えたかったのもありますが、色々な調査で『それほど需要がない』と言う判断による物でしたが、発表後にSNSを中心に話題に上がっているのは認識しています。すぐに対応は難しいですが、今後に必ず活かします」との事でした。

 ステッチや素材の使い方は、兄貴分のモデル以上のこだわりを持っていますが、それが故にドア下部のハードプラスチックのシボや質感の低さが気になってしまい。

 この辺りはイタチごっこなのも解っていますが、全体の調和やバランスを見ていくと、もう少し頑張るべきポイントだと思っています。

 運転席に座ると、クロスオーバーと言うより目線が高いハッチバックに近い着座感です。

 ちなみにシートポジションは他のGA-Bモデルよりも20mm低く設定、それに合わせてステアリング/ペダルの位置関係もアジャストされています。このクラスでは珍しいオルガンペダルも嬉しいポイントです。

 リアにも座ってみます。ホイールベースは他のGA-Bモデルより20mm長い2580mmですが、同クラスのモデルと比べて格段に広くはありませんが、LBXのキャラクター(=フロントシート優先)を考えればそれほどネガにはならないかなと。

 ラゲッジは奥行きともかく見た目よりは積めそうな印象。日本人が気になるゴルフバックは長尺ドライバーでなければ搭載可能のようです。

■新型LBX、気になる走りは?

 走りはどうでしょうか。

 パワートレインの印象は「電動車感強め」です。形式的には1.5リッター直列3気筒+THSIIと形式的にはヤリス系と同じですが、エンジンは音・振動を抑えるためにバランサーシャフト付。

 ハイブリッドシステムを含むトランスアクスルは、高出力なノア/ヴォクシー用の第5世代、バッテリーは大電流を流せるバイポーラ型ニッケル水素とLBX専用です。

 発進時はEV走行ですが、アクセルをかなり踏み込んでもエンジンが始動しない粘り強さを実感。

 ハイブリッド走行時もモーターアシストが強めで、アクセルをグッと踏み込むようなシーンでも回転を上げずにトルクを活かした加速は、1.5リッタークラスとは思えない余裕を感じました。

 フィーリング面もEVモード→HEVモード切り替え時の唐突感や“間”の少なさに加えて、エンジンが苦手な領域をモーターが常に先回りしてアシストする感覚など、エンジン/モーターのシンクロが今までのTHSIIとは別次元。

 その結果、日常域では「ビヨーン」と間延びあるラバーバンドフィールは顔を出さない所か、応答性の良さやダイレクト感、小気味良さを感じたほどです。

 エンジン音は室内の遮音性の高さも相まって3000rpm以下ではエンジンはより遠くで回っている印象で完全に黒子。

 それ以上の回転域では3気筒特有のビートは聞こますが、軽やかなサウンドで振動やザラっとした感触は抑えられているので質感も高いです。

 欲を言えば追い越しなどのシーンでもう少しパンチがあるいいですが、個人的には世にある3気筒の中で最も品があるユニットに感じました。

 燃費は市街地~高速~ワインディングを含め170kmを走って20km/L前後でしたが、日本よりもハイペースで走ったので、それを考えれば上出来かなと。

 フットワークはどうでしょうか。

 プラットフォームは形式上GA-Bですが、ボディ骨格はルーフパネル薄板化/フードのアルミ化(低重心化に寄与)はもちろん、センターピラーに2.0GPa級、フロントバンパーリインフォースメントに1.8Ga級と上級モデルでも採用例の少ないホットスタンプ材を惜しげもなく採用しています。

 更に骨格の接合は短ピッチ打点遠技術や構造用接着剤の採用部位を拡大、局部剛性アップも積極的に行なっています。遠藤氏の言葉を借りると、「GA-Bの欠片もないくらい変更」だと言います。

高級車の概念を変えるサイズのヒエラルキーを超えた新型LBX高級車の概念を変えるサイズのヒエラルキーを超えた新型LBX

 走らせての印象は「軽快なのに重厚」です。

 直進時はワイドトレッドや大きく取ったキャスター角に加えて、PDAの操舵アシストも相まって、コンパクトサイズである事を忘れるドッシリ感とビシーッと真っすぐ走る安定性は、個人的にはUXを超え、むしろNX/RXに近い印象を持ちました。

 風切り音もロードノイズもかなり抑えられており、会話明瞭度もコンパクトモデルとは思えないレベルです。

 ハンドリングはレクサスが目指す「すっきりと奥深く」がより忠実、より色濃く再現されていると感じました。

 ちなみにすっきりは「雑味を取り除き本質追求する」、奥深くは「人に頼らず、路面を選ばず、環境を問わない」を意味するそうです。

 ステア系はダイレクト感と滑らかさのバランスが絶妙。操舵力はコンパクトモデルらしく軽めの設定ですが、直結感の高さに加えていいベアリングを回るような抵抗感の無さとスムーズさで、扱いやすいけどコントロールのしやすいフィールに仕上がっています。

 コーナリング時は操作に対してスッとノーズがインを向く回頭性の高さは「君はFスポーツなの?」と思うレベル。また、旋回中はFF横置きを感じさせない前輪依存度の少ないボディコントロールに驚きます。

 よほどRの厳しいコーナー以外はオンザレールで、「君はDIRECT4なの?」と思うくらいのいい姿勢で曲がってくれます。

 快適性は他のモデルのFスポーツくらいのイメージです。ストロークは抑え気味でショックを素早く抑えてバネ上のフラット感を重視したセットですが、路面の凹凸の入力のいなし方(カドが丸い)やスムーズな足の動き(抵抗感が少ない)、スッキリとした減衰感(フワッとしない)など、引き締まっていますが優しさがあるので、多くの人は「乗り心地いいよね」と感じるでしょう。

 ただ重箱の隅を突いていくと、波状路が続くような状況だと振動を抑えきれずヒョコヒョコした動きが時おり顔を出す事も。

 この辺りはトーションビームのリアサスの構造上の影響もあると思いますが、逆にトレーリングアーム式2リンクダブルウィッシュボーンを採用した四駆(E-Four)だとどうか。気になる所です。

 このように走りの一体感や意のままの操作性に関しては上級モデル顔負けの実力で、まさに走りも「ブレイクスルー」しています。

 ただ、LBXの凄さはいい意味でクルマがそれを声高らかに主張していない事です。結果としてスポーティな走りなのですが、走っている時はアドレナリンが出る事はなく、むしろ心は冷静かつ落ち着ついたままです。

 このようにLBXの走りの実力はホットですが、ドライバーは常にクールでいられます。まさに豊田氏の言う「本物を知る人が素の自分に戻れ、気負いなく乗れる」モデルにふさわしい仕上がりと言えるでしょう。

※ ※ ※

 LBXはレクサスラインアップの中では最も小さなモデルですが、今回試乗してみてクルマ全体で兄貴分のモデル以上のこだわりが凝縮されている事が解りました。

 SNSでは「ヤリスクロスより200万高い」と揶揄される事も多々ありますが間違いなく別のクルマであり、むしろ他のレクサスモデルとの共通性のほうが高いです。

 今までありそうでなかった“真”の小さな高級車。レクサスのゲームチェンジャーになるのは間違いないでしょう。

 ちなみに2024年1月に開催される東京オートサロン2024では、より運転を楽しみ、非日常の高揚感を味わえるパワートレインを強化したパフォーマンスモデルを出展予定とあります。

 ネットでは色々なウワサが出ていますが、聞くところによると今回のLBXとはちょっと違い、「末っ子はヤンチャ」を解りやすいく体現したドライバーもホットになれるモデルと言われています。こうご期待です。

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