ホンダ「“次期型”シティ!?」な「新ハッチバック」実車公開! 実際の関連性は? 市販化は!? “ただのコンセプトカー”じゃない「SUSTAINA-C」の正体とは
くるまのニュース / 2024年1月5日 20時10分
ホンダがジャパンモビリティショー2023で初公開した新型「SUSTAINA-C Concept」は、一見ホンダの名車「シティ」のように見えますが、ただのコンセプトカーではないようです。このクルマに込められたメッセージをチーフデザイナーに聞いてみました。
■新型「SUSTAINA-C Concept」はただのコンセプトカーじゃなかった?
ホンダがジャパンモビリティショー2023で初公開した新型「SUSTAINA-C Concept」。12月22日から25日にかけて行われた「福岡モビリティショー」でも展示され、注目を集めました。
このクルマ、実は通常のショーカーとは成り立ちが違うのです。そのあたりについて、デザインを担当した本田技術研究所デザインセンターe-モビリティデザイン開発室プロダクトデザインスタジオチーフデザイナーの古仲学さんに話を聞きました。
通常、モーターショーや今回のモビリティショーに出展されるコンセプトモデルは、展示されるショーのために作られるものです。
もちろんそこには新技術やアピールしたいデザイン、あるいは、現在検討中で方向性を探りたいアイデアなどが盛り込まれています。しかし、あくまでもそれはショーのために作られたモデルなのです。
しかし、SUSTAINA-C Conceptは実は違うというのです。古仲さんによるとこれはコンセプトモデルというよりも、先行開発のためのプロトタイプだそうです。
どういうことでしょうか。例えば「フィット」を考えてみましょう。次期型のフィットを開発する際、次期型のプラットフォームやエンジン機構などを現在販売中のフィットのボディと組み合わせて開発します。
一方で新しい外板技術などの場合は、なかなかそうはいきません。例えば今回SUSTAINA-C Conceptに採用されているものは、水平リサイクル可能な耐衝撃性アクリル樹脂の特徴を利用したボディや、スクリーンテールゲートなどが挙げられます。
しかし、こういったものは実際のものにしてみないとどういう商品になるかが分からないのです。
そこで、「今後出てくるであろう小型電気自動車のプラットフォームを使って、新たにそういった新技術を採用してデザインしたモデルが、SUSTAINA-C Conceptなのです」と教えてくれました。
つまり、次期型よりももっと先を見据えた開発を行い、「それを実現するとこうなるよね」と分かりやすく示したもの。それはあくまでも社内で検討するためであり、本来であればこういったショーに出てくるものではないのです。従って、SUSTAINA-C Conceptは新技術のショーケースといえるでしょう。
ですから「SUSTAINA-C Conceptはジャパンモビリティショーに出す予定ではなかったんですね。ただこういうモデルがショーに出たらおもしろいよねといっていたら、本当に出すことになりました」。
■エコとエゴ
ではなぜ、このようなデザインになったのでしょうか。
そのコンセプトは「エコとエゴ」だと古仲さん。「環境に良いことや地球に優しいことと、自分がやりたいことを両立させたいという思いです」といいます。
例えば外装の樹脂パネルは、その特性を生かして塗装の必要はありません。アクリルは耐候性と表面の平滑性に優れているのと同時に、高い発色性と透明性をもっているので、塗装せずに高いデザイン性を実現することが可能なのです。
文具店などで売られているアクリル板を考えれば伝わりやすいでしょう。実はクルマの製造時、塗装工程でのCO2発生は非常に多いのです。だから、塗装をしないということは、CO2削減につながるわけです。
さらにSUSTAINA-C ConceptはBEVを想定していますから、走行時にCO2排出がありません。
「しかし」と古仲さん。「それだけですとお客様は、それは良いですねということで終わってしまい、心に打つものがないんです」とのこと。そこでSUSTAINA-C Conceptは、スケルトンや、2色を同時に成形したものや、違う色の素材を混ぜ合わせることによってマーブル模様にしたり、金属の細かい粒子を混ぜ込むことによって、スケルトンの中に粒子が浮いているように見せたりなど、この樹脂パネルの特徴を生かしたバリエーションを提案しています。
こういったものは、通常の鉄板にペイントすることではできないデザインです。それらを付け替えられるようにすれば、自分好みに仕上げられるでしょう。
これがエコとエゴ。環境に良いうえに、見た目も楽しくなるということなのです。「エコもやるけれどもエゴ、自分のやりたいことも絶対諦めない。それらを両立させることが一番大きなコンセプトです」と語ります。
その結果として、「見た目もフレンドリーで、本当に触って、乗ってみたくなるデザインにしました」とのことでした。
■SUSTAINA-C Conceptと「シティ」の関連性は?
さて、SUSTAINA-C Conceptを眺めていると“あの”クルマを思い浮かべた人も多いでしょう。ストレートに古仲さんに聞きました。
すると、「年代にもよりますけど、ご存じの方は昔の『シティ』や、『Pocket Concept』は『モトコンポ』に見えるでしょうね」と認めます。
シティじゃないけどシティを思い出すデザインを採用!
「ホンダは75年間、クルマとオートバイを作り続けてきました。そこには先輩方が作ってきたすごい財産がたくさんあるんです。そういったものをうまく次に伝えていきたいという思いもありました」とのこと。
ちなみに、「ホンダとしてはオフィシャルにオマージュだとはいっていませんが、見る人が見たらああそうだなというメッセージが込められていています」と話します。
このエクステリアデザインにも通常とは違う成り立ちがありました。古仲さんによると、「以前、ホンダらしいユニークネスをテーマにデザインコンペをホンダのデザインスタジオの中で行いました。
そこにこのデザインが提案されたんです。それを見た皆が、知ってる人はホンダだよこれはと思ってもらえるし、若い人はモチーフとなったクルマを知らなくても、なんだか良さそうでホンダっぽいと感じてもらえるという話になったことから、このデザインを選択しました」と言います。
そこにはもうひとつ思いが込められていました。「今はクルマの作り手側の事情で、電気自動車が大きくて(値段も)高いでしょう。しかしフレンドリーさみたいなところが一番ホンダらしいと思うのです。
ギュッと一台に楽しさを凝縮したみたいなイメージですね。例えばホンダeも割とそういう観点に近かったと思いますが、それ以上にSUSTAINA-C Conceptには技術がいっぱい入っています。そしてその技術は人に感じてもらうためのものですから、理屈っぽくてはダメ。パッと見ていいな、楽しいな、こういうの触ってみたい、乗ってみたいと感じられるものであること、そこを狙っています」と話します。
そしてそのデザインをもとに、プロトタイプを作り上げていきました。そこでは前述の樹脂外板を使うだけでなく、テールゲートをスマホの画面のように真っ黒にして、できればタッチパネルにしてみたいと思ったそうです。
「テールゲートを触ったらいろいろなことができるイメージです。また、リアコンビランプのデザインも自分の好きな形にできるようにすることで、運転するだけではなくちょっと触って楽しめる、自分がいじれるようなクルマの楽しさも取り入れています」。これもエゴの部分といえるでしょう。
■モトコンポ!?
SUSTAINA-C Conceptの横にあるPocket Conceptについても教えてもらいましょう。これはやはりモトコンポをモチーフにしているのでしょうか。
古仲さんは、「これもモトコンポとはいっていないんですけれど、もちろん折りたたんだ状態で積載できるようにしています」と機能もモトコンポ譲りです。
デザインは二輪のデザイナーが手掛けたそうで、同じようにホンダのヘリテージの中から何か良いものを提案するというコンペのアイディアから生まれたとのこと。
SUSTAINA-C Conceptと同じ素材の外板パネルを使っていますが、「二輪車は比較的樹脂パーツを多く使っていますので手慣れた感じがしますね。そうして、これらをセットで見せることによってご存じの方からすると、電気の時代になって(シティとモトコンポが)戻ってきたと思ってもらえるでしょうし、若い人は何これ楽しそうと感じてもらえるでしょうね」とコメントしていました。
あくまでも実験・研究段階の素材を使ったモデルとして、実際に製品化されたらこうなるんだなと目に見えるように作られたのが、このSUSTAINA-C Conceptです。
だからといってデザインに手は抜いていません。75年の歴史を振り返りホンダらしさを追求したものといえます。
このままで出ることはないでしょうが、歴史に目を向けたことで、そこから何かを得たことに間違いはないでしょう。今後新たに投入されるであろう小型BEVにもこのエッセンスが採用されることに期待したいものです。
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