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絶滅寸前の「MT車」なぜAT車より安く買える? スポーツカーから軽トラまで!? 同じクルマでAT/MTの価格が異なる理由とは

くるまのニュース / 2024年1月3日 17時10分

いまでは少なくなったMT車ですが、AT車よりも価格が安く設定されているクルマが多く見られます。同じクルマであっても、AT車とMT車の価格が異なるのはなぜなのでしょうか。

■同じクルマでもMT車のほうが安いのはナゼ?

 突然ですが、MT(マニュアルトランスミッション)はお好きですか。
 
 筆者(工藤貴宏)は大好きで、運転免許を取得してから30年近く経ちますが、これまでにMT車が手元になかったことはありません。

 しかし気が付けば「MT好きの最後の砦」なんていわれていたマツダやスバルからもMT車が減ってしまいました(トヨタにもMT設定車種が複数ありますし軽トラックなどではMT設定があたり前だったりしますが)。

 とはいえ、それも仕方がないこと。今どきは、ATやCVT、DCTなど、“MT以外”のトランスミッションを選ぶ人がほぼ100%で、MTを選ぶ人はマイノリティな存在。選ぶ人が少なければ商品設定がなくなるというのは、世の中の摂理です。

 そんなMTに関するちょっとした疑問があります。それは「車両価格はどうしてMTのほうがATより安いのか?」です。

 たとえばMT比率が高い代表的なモデルであるマツダ「ロードスター」は、ATに比べてMTだと消費税込(以下同様)で11万5500円安。

 同じように、トヨタ「GR86」は9万8000円、スズキ「スイフトスポーツ」は7万1500円安い設定です。

 そういったスポーツモデルに比べると車両価格が安い軽トラックでも、スズキ「キャリイ」は11万2200円、ダイハツ「ハイゼット」は5万5000円MT車のほうが安い設定。

 クルマの大小や車両価格の水準を問わず、「ATよりもMTのほうが安い」というのが一般的だということがわかります。

 その理由はどこにあるのでしょう。

 結論としては、ATよりもMTのほうが部品原価や製造コストが安いからということが理由です。

 車両価格は、その製造にかかるコスト(部品代や組み立て費用)の積み上げといえ、部品をたくさん使うとそのぶん値段が高くなります。

 つまりMTはATに比べると構造がシンプルで部品点数も少ないから値段が安く済み、それが車両価格に反映されるとATよりも安いプライスタグになるというわけ。

 MTだと、ATよりもギヤボックス自体の構造がシンプルで済むほか、変速を制御する電子部品なども不要となり、また制御系の開発コストも抑えられるので値段設定を低くできるのです。

 ただし、昨今はその状況もすこしずつ変化。ポルシェ「911」やアストンマーチン「ヴァンテージ」などのMT設定がある高級スポーツカーをはじめ、日産「フェアレディZ」やトヨタ「GRスープラ」などのハイパワースポーツカー、さらにはホンダ「シビック」、そして軽自動車の「ホンダN-ONE」など、MTでもATでも同じ価格で、これまでの常識からは外れているのです。

 その理由も、もちろんコストに関連します。「量産効果」という言葉をご存じでしょうか。これは「製造数を増やせば1個当たりの原価が安くなる」というもので、「たくさん作れば安くなり、作る数が少ないと高くなる」ということです。

 かつてと違い、MTは販売数(=製造数)が激減しました。そのため機械的にはシンプルでも、製造コストまで考えればMTの価格が上がる状況も出てきているのです。

 ATに対してMTを生産する数が減ったから。それがATとMTの車両価格が同じになっている背景といって良いでしょう。

 ちなみに、数少ない例外がダイハツ「コペン」です。MTのほうがCVT(AT)モデルよりも2万2000円高い設定(装備は大きく変わらない)で、MTモデルのみLSDを標準装備する「GRスポーツ」はMTを選ぶと5万5000円アップします。

 さて、ここまでは新車の話ですが、中古車になるとMTとATの価格関係が変わってきます。

 中古車価格は新車のように「製造コスト」ではなく、「需要と供給」の関係で販売価格が決まるもの。

 そのため、MTが好まれるスポーツカーなどでは、ATに比べてMTのほうが価格相場は大幅に高い車種もあるという状況になっています。

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