レクサス新型「スポーツSUV」実車初公開! 1000万円超えの「めちゃド派手なRZ」3月発売!? 航空機技術活かして「走りの楽しさ」をどう表現?
くるまのニュース / 2024年1月12日 11時30分
2024年1月12日にレクサス特別仕様車「RZ450e F SPORT Performance」が東京オートサロン2024で実車公開されました。ひと足先に体感した印象はどのようなものだったのでしょうか。
■レクサス「RZ」に「F SPORT」設定! どんな乗り味なのか
レクサスは2024年1月12日に「RZ450e」の特別仕様車となる「F SPORT Performance」を東京オートサロン2024で実車公開しました。
「走りの楽しさ」を具現化したこのF SPORT Performanceはどのようなモデルなのでしょうか。
2022年、レクサス初の専用BEV(電気自動車)として登場したのが「RZ」です。
基本部分をトヨタ「bZ4X」と共用する部分があるものの、実際にクルマを見て・触って・乗るとその匂いは皆無。
それどころか、筆者はレクサスが目指す「スッキリ(雑味がない)と奥深い(人に依らず、路面を選ばず、環境を問わない懐の深さ)」走りを、現行のレクサスラインナップの中で最も体現する1台であると、筆者は評価しています。もちろん、航続距離や充電性能に課題はありますが。
その一方で、「いいクルマだけど、何かが足りない」と感じていたのも事実です。
それの1つは他のレクサスモデルに設定されるスポーティ仕様(=Fスポーツ)が未設定な所でしょう。
この話を以前開発陣にするとどこか歯切れが悪い。今思えば、すでに開発が進められていたのでしょう。
そのモデルこそが「RZ450e F SPORT Performance」になります。
実はこのモデル、1年前の東京オートサロン2023でレーシングドライバー・佐々木雅弘選手がプロデュースした「RZスポーツコンセプト」の市販版です。
当時、筆者は「発想は面白いけど、さすがに市販化は…」と思っていたのですが、まさか本当に売るとは。これもレクサスの「限界を決めずに挑戦する」の具体例の1つと言えるでしょう。一体、どのようなクルマなのでしょうか。
エクステリアはRZスポーツコンセプトのデザインを忠実に再現したエアロパーツ(17点)の装着により、レクサス「RC F」を彷彿とさせるアグレッシブな出で立ちに。
ボディカラーはレクサス「LC EDGE」に採用されたマットホワイト(HAKUGIN)×ブラックの2トーンに、電動車を示すダークブルーのアクセントがプラスされています。
ちなみにこのエアロパーツはレクサスがパートナーシップを組むエアレース・パイロットである室谷義秀選手とコラボした物で、航空機に用いられてる空力技術を応用して開発されています。
室谷選手は次にように教えてくれました。
「RZスポーツコンセプトを見た時、『カッコいいけど、空力的に効いてないよね』と(笑)。
そこで、うちのエンジニアと勝手にCFD解析を行ないながら開発してみました(何と50種類以上を作成!?)。
それをレクサスに提案すると、『一緒にやりましょう』と話が進みました。
BEVなので空気抵抗を悪化させずにダウンフォース増加を可能にする形状を目指して開発。
こだわりはリアのダブルスポイラーで、空気を綺麗に流して効果を最大限発揮できるような位置と形状になっています」
エアロパーツ(17点)を装着する「RZ450e F SPORT Performance」
※ ※ ※
インテリアはブラック×ブルーの専用インテリアカラーや加飾、ウルトラスエードのシート表皮など、エクステリアと比べると小変更です。
個人的にはエクステリアとのバランスを考えると、スポーツシートやスポーツステアリング、専用メーター表示と言ったような、もう少しスポーツマインドを更に高めるようなアイテムが欲しかったなと。
パワートレインは前後モーター(フロント150kW/266Nm、リア80kW/169Nm)やバッテリー(リチウムイオン71.4kWh)などはノーマルから変更ありません。
以前にお披露目されていたRZスポーツコンセプトは前後150kWモーター搭載だったので残念な部分もありますが、この辺りは動力性能と航続距離のバランスを考慮したのでしょう。
フットワークは専用セットアップのコイルスプリング(10mmローダウン)/ショックアブソーバー、専用のEPS制御、そして21インチのアルミホイール(ENKEI製)&タイヤ(フロント255/40R21、リア295/35R21:BSアレンザ)などが採用されています。
セットアップはベースモデルの開発にも参画するレーシングドライバーの佐々木雅弘選手とのコラボレーションで行なわれ、ニュルを模したトヨタの下山テストコースの第3周回路(ニュルブルクリンクの入力を再現したコースレイアウトで、自然の地形を活かした約75mの高低差と多数のコーナーと様々な路面に組み合わせた約5.3kmのコース)を走り込んで鍛えられています。
■思わずクルマ好きがニヤッとしてしまう「大人スポーツ」とは?
そんなFスポーツパフォーマンスに一足先に試乗してきました。試乗場所は開発のホーム・下山テストコースの第3周回路ですが、試乗日は何と豪雨。ただ、この状況が逆にクルマの良さをより理解させてくれました。
乗る前は見た目がかなりアグレッシブなので「乗り味はかなりハードなのかな?」と予想していましたが、いい意味で裏切られました。
いきなり結論になってしまいますが、RZが目指した「The Natural」の乗り味を損うことなく、「より曲がる」、「より意のままに」、「より愉しく」、「より安心」な走りなのです。もう少し具体的に説明していきましょう。
ステア系は滑らかな操舵フィールはそのままに薄皮1-2枚剥いだようなダイレクトさと直結感によりより骨太な印象です。
最大の驚きはハンドリングで、ターンインではタイトコーナーがタイトに感じないくらいノーズがインを向く回頭性の高さ、旋回時は腰を中心に曲がる感覚と路面に張り付くような安定感を持ちながらもアクセルON/OFFでクルマの向きをコントロールできる自在性の高さ、そしてトラクションを掛けるとリアタイヤに荷重をグッと乗せて蹴り出す感覚を実感。
例えるならば、SUVと言うよりも重量配分が整ったFRスポーツカーのような走行フィールに近いと感じました。
前後/左右/上下と三次元的なGが掛かるコーナーを駆け抜けてもドキッとするような挙動は皆無
ちなみに下山テストコ―スはニュルを模しているだけあり、前後/左右/上下と三次元的なGが掛かるコーナーが存在しますが、そんな路面でもクルマの動きは終始ピターっと安定、雨のハイスピードドライビングでもドキッとするような挙動は皆無で、終始安心して走ることができました。
これらはエアロパーツによる空力バランス改善と前後バランスを整えたサスペンションセットの相乗効果によるものですが、それだけでこんなに変わるとは驚きです。
筆者は4つのタイヤの性能をより上手に使えるようになった事で、今回は変更されていないDIRECT4がより活きる素性になったと分析しています。
やはりソフトを活かすにはハードが大事な事を再確認。ちなみにタイヤは電費や快適性も考慮した銘柄を履いていますが、今回の走行でグリップ力に不満を感じたシーンは1つもありませんでした。
快適性は専用サスペンションや22インチの偏平タイヤなどから「さすがに厳しいか!?」と思いきや、スポーツモデルであることを考慮すれば高いレベルです。
ノーマルと比べると引き締められていますが、カドが取れた入力や想像以上のストローク感と足の動きの滑らかさ、そしてバネ上のフラット感などから、速度域によってはノーマルよりも快適に感じるシーンも。
恐らくクルマの無駄な動きを空力で抑えているため、サスペンションを必要以上に硬める必要がないのでしょう。
Fスポーツパフォーマンスはノーマルと同じコンベンショナルなダンパーを使っていますが、今回の試乗した限りではAVS(電子制御ダンパー)の必要性は感じませんでした。
「BEV=無音」ではなくASCなどを活用した「音」のチューニングも期待したい所
パワートレインはRZ自体がそもそも暴力的な加速力は求めていないので、システム出力230kWのパフォーマンスに不満はありませんが、シャシ性能がレベルアップしているので欲が出てしまうのも事実です。
個人的にはノーマル/ECOモードはそのままでいいですが、スポーツモードはモーター制御の自在性や出力の出しやすさを活かした“アメージング”な特性があってもいいかなと。
更に「BEV=無音」ではなくASCなどを活用した「音」のチューニングも期待したい所です。
総じて言うと、FスポーツパフォーマンスはRZの潜在能力を量産の域を超えてフルに引き出した実験的モデルですが、RZの世界観を損なうことなく、思わずクルマ好きがニヤッとしてしまう「大人スポーツ」に仕上がっています。
限定100台はちょっと少ない気もしますが、このモデルの開発で培った知見やノウハウは、将来のカタログモデルにもフィードバックしてほしいです。
RZシリーズが2026年に登場の次世代BEVへの繋ぎ手になってくれる事を期待します。
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