ホンダの「ハイブリッド」何がスゴイ? 他メーカーがマネしない「シリーズパラレル切り替え方式」とは
くるまのニュース / 2024年3月8日 9時40分
2023年3月7日、ホンダは新型「アコード」を同年3月8日に発売します。同車には、ホンダハイブリッドシステム「e:HEV」が搭載されていますが、どのようなものなのでしょうか。解説します。
■新型「アコード」にも搭載されるe:HEVのスゴさとは
2024年3月7日、ホンダは新型「アコード」を同年3月8日に発売すると発表しました。
同車には、ホンダハイブリッドシステム「e:HEV(イーエイチイーブイ)」が搭載されていますが、どのようなものなのでしょうか。
ホンダのハイブリッドは、1999年に登場した初代インサイトに採用されたIMA(Integrated Motor Assist System)から始まります。以来、様々なシステムの研究・開発を進められ、現在はe:HEVという名称を冠したシステムとなっています。
e:HEVは2012年に発表されたスポーツハイブリッドシリーズの中の「i-MMD(Intelligent Multi Mode Drive)」の発展形で、エンジン・駆動用モーター・発電用モーター・パワーコントロールユニット・リチウムイオンバッテリーで構成されています。
基本的なシステムの構成自体は、他メーカーとそこまで差はありませんが、その“方式”は他メーカーと大きく異なります。
日産のe-POWERなどの“シリーズ方式”と呼ばれるハイブリッドシステムでは、エンジンは完全な発電用とし、エンジンによって作られた電力で走行用モーターを稼働し、タイヤを駆動します。
トヨタのハイブリッドシステムなどに用いられる“シリーズパラレル式”では、エンジンの動力を分割してタイヤの駆動と発電を行い、この電力で動かす走行用モーターの出力とエンジンからの直接の出力を混流させ駆動しています。
一方ホンダのe:HEVは、“シリーズパラレル切り替え方式”と呼ばれるもので、バッテリー残量がある時はモーターのみで駆動する「EVドライブモード」、強い加速が必要な時などはエンジンを始動して発電用モーターを駆動し、その電力を走行用モーターに供給して駆動を行なう「ハイブリッドドライブモード」に、そして高速道路での走行などでモーターの効率よりもエンジンの効率が良い場合には、エンジンの駆動を直接タイヤに伝える「エンジンドライブモード」に切り替わります。
ホンダのハイブリッド車と他メーカーのハイブリッド車の諸元表を見比べると、ホンダのハイブリッド車は非常にモーターの出力が高いことがわかります。
その理由がこの方式にあり、「エンジンドライブモード」は、高速道路時などのみであるため、基本的な動きは日産のe-POWERに近く、モーターでの駆動が多くなるためです。
この方式の優位性は、モーターならではのパワフルな発進・加速と高速時の効率を両立させているほか、高速域ではダイレクトなドライブ感を楽しめる点にあります。
この方式について、本田技研工業のe:HEV開発責任者である佐々木貴啓氏は「シリーズ方式とシリーズパラレル式のいいとこ取りができる方式」と説明します。
ちなみに、11代目「シビック」と「ZR-V」に搭載されるのは「スポーツe:HEV」で、システムの基本的な部分は、通常のe:HEVと同じですが、構成ユニットや制御が一新されています。
新型アコードに搭載されるのも基本構成は同様ですが、2モーター内蔵の電気式CVTは並行軸モーター(ギア比の自由度が高い)であり、高出力化されたもので、新型アコード専用品となっています。
さらに新型アコードは高速巡行時のエンジン走行可能領域が拡大されており、エンジンドライブモードをキープして、ハイブリッドとの切り替えによる段付き感をなくしたダイレクトなドライブ感を継続して楽しめようになりました。
省燃費で効率が良い走りだけでなく、従来以上に“スポーティ”な走りが十分に楽しめる一台となっていることが期待されます。
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