前走車の「エンジンブレーキ」は“ウザい”? AT全盛で知らない人多い!? 逆に「エンブレ」使わない方が危険なワケ
くるまのニュース / 2024年3月16日 14時10分
「エンジンブレーキ」を使って減速する場合、ブレーキランプは点灯しません。それを「ウザい」と感じる人がいることがSNSで話題になりました。エンジンブレーキのメリット・デメリットとはどのようなことなのでしょうか。
■AT車全盛で“エンブレ”の重要性が忘れられている?
走行中に減速したい場合、「フットブレーキ」だけでなく、ギアを落として「エンジンブレーキ」を使用する人も多いでしょう。
ただエンジンブレーキで減速するとブレーキランプは点灯せず、これが一部の人からは「ウザい」と感じられるとSNSで賛否両論が飛び交う事態になりました。
では、エンジンブレーキを使うメリットやデメリットとは、どのようなことなのでしょうか。教習所の元指導員I氏に聞いてみました。
エンジンブレーキはクルマの速度を調整する方法のひとつで、エンジンの回転を落として減速する仕組みで、アクセルを離したり、ギアを1段落として減速効果を得ることです。
使った記憶がない人でも、上り勾配になればアクセルを踏み込み、下り勾配になればアクセルを緩めるという操作をおこなっていると思いますが、これは無意識にエンジンブレーキを活用しているといえます。
AT車(オートマチックトランスミッション)では、MT車(マニュアルトランスミッション)ほどアクセルワークだけでエンジンブレーキが体感できないことから、新車で販売されるクルマの9割以上がAT車となった現在、エンジンブレーキの存在が忘れられているようです。
しかしエンジンブレーキの使用は、クルマやドライバーにとってもメリットのほうが圧倒的に多いといいます。元指導員という経歴を持つI氏も、指導員時代はエンジンブレーキのメリットを何度も説明してきたと話します。
「技術の進化と運転の簡素化によりATが当たり前になりましたが、教習所ではエンジンブレーキの重要性を教わったにも関わらず、どうしてもフットブレーキでの減速に頼る人がいるようです。
最近のATは非常に進化しており、アクセル操作によってエンジンブレーキをかけることも可能になってきましたし、そもそも『MTモード』は加速というより、上手にエンジンブレーキを活用して走行するための装備です。
そういった装備を使用せず、『D』レンジに入れっぱなしで走っている人がいかに多いかを思い知らされます」
SNSで話題となった、エンジンブレーキが「ウザい」「迷惑運転では?」と感じる人の多くが、前走車がいきなり近づいてきた印象を受けているようです。
ただし「十分な車間距離を取ればいいだけ」や「(前走車を含めた)前方不注意では?」という反論もあります。
「意図的に強力なエンジンブレーキをかけるなどの嫌がらせ行為は『安全運転義務違反』など危険運転に該当する可能性もありますが、通常の原則を目的とした場合は、逆に後続車が『車間距離不保持違反』で摘発される可能性もあります。
要は前走車がどんな動きをするか予測し、対応するのに十分な車間距離が必要ということです」(教習所の元指導員 I氏)
■エンブレを使いすぎるとエンジンが壊れるのか?
下り勾配が続く道などでエンジンブレーキを使わず、フットブレーキのみで減速をする運転はトラブルが発生することがあります。
「フットブレーキを頻繁に使っていると、パッドやローターが過熱して効きが悪化する『フェード現象』が発生したり、油圧式ブレーキのブレーキフルードが沸騰してしまい、ペダルを踏んでも踏み応えがなくなる『ベーパーロック現象』が起きる可能性があります。
数年前に観光バスが横転した事故がありましたが、あれも勾配のある長距離をフットブレーキのみで速度調整していた結果、コントロール不能に陥ったと見られています」(教習所の元指導員 I氏)
アクセルを緩める、またはギアを下げることで生じるエンジンの抵抗を活用するエンジンブレーキですが、フットブレーキとは違ってブレーキパッドなどを使わない代わりに、エンジンにそれなりの回転負荷をかけることになります。
下り坂はむしろ「エンブレ」使うべき!
エンジンブレーキの多用によってエンジンを傷めてしまう心配はないのでしょうか。
「漫然とした『D』レンジ走行と比較して回転数が上がるため、エンジンブレーキ使用時は多少燃費が悪化する可能性はあります。
しかし、5速から2速に落とすような極端な操作をしない限り、エンジンへの影響はほとんど心配する必要はないでしょう」(教習所の元指導員 I氏)
なお、フットブレーキでの必需品であるブレーキフルードは、早ければ2年、長くても4年以内には交換が必要なものです。
「ブレーキフルードが劣化、または使い過ぎで気泡などが混じってしまうと、ペダルを踏んでも油圧が十分伝わらず、上手く制動できなくなることもあります。
少なくとも2年おきの車検時に行う定期点検(24ヶ月点検)で『ブレーキフルード』の交換はしてほしいです」(教習所の元指導員 I氏)
※ ※ ※
バッテリーEVやハイブリッド車で用いられる「回生ブレーキ」もエンジンブレーキと同様の効果を生み出す仕組みで、発電に再利用するシステムです。
モーターは電力を消費して運動エネルギー(駆動力)を得るだけでなく、電気を生み出す発電機にもなります。
発電機を回すエネルギーを減速させる抵抗として活用することで、アクセルを戻すことで発電機を回しつつ減速する、つまりエネルギーを「回生」させているのです。
今後EV化がさらに進むなかで、今度は「回生ブレーキがウザい」などといわれるようになるのかもしれませんが、ブレーキの特性を理解して上手に活用して運転しましょう。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
クルマのシフトレバー横の「謎のボタン」便利だったのになぜ消えた? ATの進化とともに「O/Dボタン」が絶滅したワケ
くるまのニュース / 2024年8月2日 14時50分
-
バイク初心者に嬉しい技術? ヤマハが開発した新機構「Y-AMT」とは
マイナビニュース / 2024年8月2日 8時0分
-
「左寄りを走る」だけじゃない! NEXCOが呼びかけた「もう一つのキープレフト」が話題に「あおり運転」未然に防ぐ重要なルールとは
くるまのニュース / 2024年7月27日 20時10分
-
【2024年】新車で買える国産マニュアル車(MT車)おすすめ16選! 中古車や外車のおすすめ車種も紹介
MōTA / 2024年7月24日 12時30分
-
長期休みに練習したい人必見! バイクの操作方法のおさらい
バイクのニュース / 2024年7月18日 13時10分
ランキング
-
1航行中の機内で女性をペンで突く 客の男を現行犯逮捕
産経ニュース / 2024年8月6日 10時39分
-
2面倒なことはやらない!?「貯蓄上手な人」の節約のやり方
オールアバウト / 2024年8月5日 19時30分
-
3【驚愕事実】宇宙人&UFOは実在する可能性大 存在を確かめるためNASAが本格調査に乗り出す
東洋経済オンライン / 2024年8月6日 11時0分
-
4“あおり運転”してきたセダンの運転手が顔面蒼白で立ち尽くしたワケ「相手の顔をよく見てみると…」
日刊SPA! / 2024年8月6日 8時53分
-
5過去最大の下落幅に投資家はパニック売りだが…円高・株安でも「慌てる必要なし」とエコノミストが説く根拠
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月6日 11時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)