車の「ホイールキャップ」なぜ減った? 昔は「標準」でも今は「消滅」近い? 新型車の“足元”が変化した理由とは
くるまのニュース / 2024年4月16日 20時10分
かつてクルマに装備されることが多かった「ホイールキャップ」は、現在は減ってきているようです。一体なぜなのでしょうか。
■昔は一般的だった「ホイールキャップ」 なぜ減った?
近年、ホイールにホイールキャップ(フルホイールカバー)を装備するクルマが減って、反対にアルミホイールのクルマが増えているようです。
一体なぜなのでしょうか。
クルマのホイールは、素材で大きく分けると主に2つがあり、ひとつがアルミホイール、もうひとつがスチールホイールです。
このうち、スチールホイールは地味なデザインとなっていることが多く、この外観を隠すとともに、デザイン性を高めるためスチールホイールの上にホイールキャップが被せられているケースが多くあります。
さらに、ホイールキャップはハブ(ホイールボルト/ナットなどの取り付け面)周りへ、泥や水の侵入による錆を防ぐという役割もあります。
しかし、そんなホイールキャップは近年の新型車には装備されないことも増えてきているようです。
最近のホイールキャップの動向について、トヨタのディーラースタッフは以下のように話します。
「ホイールキャップをつけているクルマとしては『アクア』の標準モデルがあります。しかし上級グレードはアルミホイールで、ほかの車種でも最近はアルミホイールを標準採用するケースがほとんどのため、ホイールキャップをつけないモデルが多いです」
ホイールキャップを装備するクルマが減った一方で、アルミホイールを装備したクルマが増えてきました。
アルミホイールを装備するクルマが増えている理由としては、デザイン・燃費・軽量・乗り心地のよさなどでメリットが大きいことがあります。
かつて、アルミホイールは高嶺の花であり、アッパークラスのモデルやスポーツモデルなどの高性能車にのみ採用され、中級クラス以下は当然のようにスチールホイールが付いていました。
しかし、スチールホイールは価格を抑えるため、鋼板を打ち抜いて大量製造されることから、どの車種であっても共通したデザインとなっており、丸が連続したような味気ないものであることが多いのです。
こうしたことから、型にアルミを流し込んで製造するアルミホイールのほうがデザインの自由度も高く、さらに軽量のため燃費や乗り心地がよいことで、徐々に普及していきました。
そして、課題となっていた価格の高さも改善されつつあります。単純にスチールホイールと比較すると依然として価格は高いものの、クルマ自体の価値を高め、デザイン性や燃費、軽量である点などの魅力を考慮すると、価格は妥当だと判断されているようです。
このように、アルミホイールが一般化したことからスチールホイールも廃れていくとともに、ホイールキャップを装着するクルマも減ってきたようです。
その一方で、デザインや乗り心地よりも実用性やコストパフォーマンスが重視される商用車では、今でもスチールホイールが標準装備され、ホイールキャップを装着しているモデルもあります。
■あえて「アルミホイール+ホイールキャップ」を装備するクルマも
かつて高性能の証とも言えたアルミホイールですが、多くの車種で採用される傾向にあります。
例えば軽コンパクトカーなどエントリークラスのモデルでは、廉価グレードではホイールキャップすら装備されないスチールホイールのみの状態で、上級モデルになって初めてホイールキャップが装備されることが多くありました。
現在では、エントリーモデルであっても、廉価モデルがスチールホイール+ホイールキャップの組み合わせで、上級モデルではアルミホイールが当たり前のように装備されています。
アルミにホイールキャップを被せた「プリウス」
その一方で、トヨタ「プリウス」や日産「アリア」など、近年登場した新型車のなかでは、アルミホイールにホイールカバーをつけているというケースも増加しています。
プリウスのホイールキャップについて、前出のトヨタディーラースタッフは以下のように話します。
「先代のプリウスの『ツーリング』モデルや新型プリウス『Z』グレードを除き、プリウスは基本的にアルミホイールにホイールキャップが装着されています。
プリウスの標準モデルは基本的にホイールサイズが15インチとなっていますが、ツーリングモデルは17インチ、新型のZグレードは19インチとなっておりホイールキャップを装着しない仕様になっています。
ただ、15インチのモデルの方がタイヤサイズが小さいこともあり、燃費は標準モデルのほうが良いです」
特に昨今はハイブリッドカーやEVの普及によって、燃費(電費)のよさが最重要視されており、そのためには空力性能を向上させる必要があります。
空力性能とは、走行中のクルマが空気の流れから受ける抵抗を防ぐ考えで、特に車体側面の空気抵抗や車体の浮き上がりを抑えることで、走行安定性や燃費を向上させることができます。
こうしたことから、燃費が重視されるクルマでは、ホイールが受けるわずかな空気抵抗も無視できないものであり、その結果軽量なアルミホイールに空力性能を求めたホイールキャップを装着することで、さらなる燃費向上に期待が持てるようです。
従来、ドレスアップの一貫として装着されたホイールキャップですが、クルマに求められる性能が変化したことで、再度ホイールキャップの採用例が増えてくるかもしれません。
※ ※ ※
こうした一方で、ホイールキャップを装備するプリウスで「アルミホイールのデザインが好きだから」という理由で、ホイールキャップを外す人もいるようです。
その反対に、アルミホイールが標準装備されるクルマに対し、あえて質素なデザインのスチールホイールを装着することで、タフで無骨な印象を与えるカスタムもあります。
ホイールのデザインはクルマ全体のイメージチェンジにつながるため、自分好みの満足のいく選択をすることで、自身のクルマをより楽しむことができます。
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