「車中泊」トラブルの背景に「大きな誤解」!? マナー違反の原因は「勘違い」から? 活用したい「車中泊専用」パークとは
くるまのニュース / 2024年4月21日 7時10分
「車中泊」ユーザー増加により、公共の駐車場などで迷惑行為に及ぶ「マナー違反者」の数も増えているといいます。車中泊の「ルール」と「マナー」について改めて考えるともに、「車中泊」に特化した「RVパーク」についても紹介します。
■国内キャンピングカー保有数は15万台超えに! 一方で広がる「車中泊トラブル」とは
クルマを利用した旅において、気ままに車内で宿泊を楽しむ「車中泊」スタイルが定着しつつあります。しかしその一方で、マナーを守らない一部のユーザーによるトラブルも増加傾向にあるといいます。
本格的な行楽シーズンを目前に控え、改めて正しい「車中泊マナー」について考えた時、そこには「大きな誤解」が潜んでいるとキャンピングカー関係者は指摘します。
キャンピングカー使用環境の整備、市場の育成、業界の発展を目指す団体として1994年に発足した日本RV協会(JRVA:ジャルバ)では、「日本RV協会 年次報告書」(旧「キャンピングカー白書」)を発行し、加盟会員企業から調査したキャンピングカーの最新動向を紹介しています。
2024年2月に発行された最新版では、キャンピングカーの販売売上総額は増加傾向にあり、2023年のキャンピングカー販売売上総額は新車・中古車を合計して過去最高の1054.5億円(対前年比138%)を記録したと報告しています。
2023年の国内キャンピングカー総生産台数も年間1万台を超え、国内におけるキャンピングカーの保有台数はおよそ15万5000台に及ぶといいます。
このように数値のうえからも、キャンピングカーや車中泊の文化が確実に拡がっていることがわかります。
しかし一方で、車中泊に関するトラブルも聞かれるようになりました。
SNS上では「道の駅の駐車場でテーブルやイスを広げてBBQをしている人がいた」「キャンプのごみをパーキングエリアで捨てているキャンピングカーを見かけた」など、マナーの悪いユーザーを指摘する声をたびたび目にします。
「車中泊」は「キャンプ」にあらず! この点を「勘違い」している人は意外と少なくないようです[画像はイメージです]
JRVAの担当者は、以前の取材で次のように話します。
「トラブルの背景には、車中泊と“キャンプ”を混同している人が多いことが挙げられます。
車中泊は旅の途中にクルマで寝泊まりすることが主なのに対し、キャンプはバーベキューをはじめとするレジャーも含めた行為と考えられます。
公共の駐車場など、本来クルマを停めて休憩するための場所に、わざわざ椅子を出して炊事などしてしまう人たちは、そもそもその違いについて誤解をしている可能性があります」
もちろん、許可されたオートキャンプ場なら、キャンプ行為も問題ありません。
しかし公共駐車場などでキャンプ場のように振る舞ってしまう人が増えたことが、車中泊トラブルの大きな原因となっていると、JRVAでは分析しています。
そのためJRVAでは、くるま旅のためのインフラ整備にも取り組んでいます。
そのひとつが、JRVA認定の有料車中泊スペースである「RVパーク」です。
■車中泊の救世主! 「RVパーク」に泊まってみた
RVパークは、ゆったりした駐車場スペースに加え、24時間利用可能なトイレやごみ処理施設、100V電源の設置など、車中泊に必要なインフラを用意したものです。
2023年現在で全国に300か所以上のRVパークがあり、温泉施設や宿泊施設、道の駅など様々な施設に設置されています。
「RVパーク」は車中泊の救世主だ![写真は「RVパークはすぬま」(千葉県山武市)]
筆者(くるまのニュース編集部員T)は2024年4月上旬、首都圏近郊にあるRVパークを利用してみました。
千葉県山武市にある「RVパークはすぬま」は、道の駅「オライはすぬま」や、津波避難施設を備えた「山武市蓮沼交流センター」に隣接したスペースです。
クルマで数分移動すれば、国内でも最大規模の砂浜海岸が60km以上にわたって続く「九十九里浜」があり、サーフィンや海水浴の拠点としてもきわめて便利な場所といえます。
現地はいたってシンプルで「広々した駐車場」といった印象。6つの駐車区画があり、そのうちひとつはキャンピングトレーラーをけん引したままでも停められる専用区画となっています。
手続きは、受付で一泊料金3050円(1台/利用料金は施設によりそれぞれ異なります)を前払いしてコンセントボックスのカギと水栓を受け取り、あとは指定された区画に駐車するだけ。
この日は、日産の純正車中泊モデル「キャラバン マイルーム」で利用しましたが、全長4695mmの4ナンバーサイズのクルマなら余裕たっぷりで、隣りの区画とも一定の空間がありました。
各RVパークの利用規約により異なりますが、“RVパークはすぬま”では、車外での調理や火気の使用はNG。ただしサイドオーニング(車載タープ)やテーブル・チェアの使用は、区画内であればOKとのことでした。
ウォシュレット付きトイレや専用分別ごみ置き場に加え、水道、排水桝、汚水処理用の施設など、キャンピングカーユーザーが活用できるアイテムが目の前に揃います。
日本RV協会(JRVA)認定の有料車中泊スペース「RVパーク」の一例。広々した駐車区画には「ダンスプテーション」(正面)やトイレ、電源、水道、排水施設などが揃います[写真は「RVパークはすぬま」(千葉県山武市)]
電気コンセントは3ピンタイプが差せ、カギでカバーできる仕様。車両側に外部電源入力システムがあれば、車内のコンセントから調理家電や電気毛布などを使うことができます。
季節を問わず車中泊を楽しみたいなら、この電力供給は欠かせません。おかげでひと晩、快適な車中泊を楽しむことができました。
今回訪れた“RVパークはすぬま”はコンセント使用も料金に含まれていましたが、施設によって電源や施設の利用が別料金の場合もあるので、事前に確認しましょう。
なおチェックアウトは、指定ポストにカギなどの一式を返却するスタイルでした。
今回はベーシックなRVパークでしたが、オートキャンプ場に併設され、調理やたき火などもできる「もはやキャンプ場!?」なRVパークもあるなど、地域や場所それぞれに特色も異なり、また違った施設にも訪れてみたいと感じました。
コンセントボックスから100V電源供給が可能。車内で家電などが使え、車中泊が格段と便利になります[写真は「RVパークはすぬま」(千葉県山武市)]
※ ※ ※
JRVAでは「公共駐車場におけるマナー10か条」を掲げて、キャンピングカーユーザーなどに理解を呼び掛けています。
マナー10か条は以下のとおりです。
—
1.長期滞在は行わない
2.キャンプ行為は行わない
3.許可なく公共の電源を使用しない
4.ごみの不法投棄はしない
5.トイレ処理は控える
6.グレータンク(編集部注:一部のキャンピングカーに備わる生活排水を溜めるタンク)の排水は行わない
7.発電機の使用には注意を払う
8.オフ会の待ち合わせは慎重に
9.車椅子マークの所に駐車しない
10.無駄なアイドリングはしない
—
いずれも極めて常識的な内容ですが、本来車中泊ユーザーに求められる作法が、必ずしも守られていないということも同時に表しています。
車中泊を楽しむ前に、ユーザーは改めてひとつひとつ確認すべき項目だといえるでしょう。
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