高性能「巨大ベッド」搭載!? 日産「新型“車中泊”カー」寝心地はどう? 「キャラバン マイルーム」実際に「泊ってみた」印象とは
くるまのニュース / 2024年4月26日 20時10分
日産 新型「キャラバン MYROOM(マイルーム)」は、車中泊も可能な大型ベッドなどを搭載する新たなコンセプトのモデルです。「寝心地」をはじめとする、実際の使い勝手はどのようなものなのでしょうか。
■乗り込んだ瞬間「非日常な空間」に!
日産は2024年夏、ワンボックス型の商用バン「キャラバン」の新たなラインナップとして、車中泊も可能な大型ベッドやテーブルなどを搭載する「キャラバン MYROOM(マイルーム)」を発売する予定です。
先行して2024年春に発売された特別仕様車「ローンチエディション」を使い、筆者(くるまのニュース編集部T)が実際に「泊まってみた印象」など、“マイルーム”の使い勝手について紹介します。
キャラバンは、1973年に発売を開始したワンボックス型の商用車です。
2012年登場の現行型で5代目。堂々としたスタイリングや、先進安全機能などを搭載したほか、従来以上に荷室の使い勝手に配慮し、ライバルのトヨタ「ハイエース」をしのぐクラスNo.1の広さを誇ります。
当初は「NV350キャラバン」の車名に変更されていましたが、2021年に実施されたマイナーチェンジで再びキャラバンの車名に戻りました。
デビューから50年以上の間、キャラバンは業務用途に加えアウトドアやレジャーシーンにおいても活躍し、幅広いユーザーから支持を集めていますが、近年は広い室内を活用し「車中泊」を楽しむユーザーも増えているといいます。
こうした需要に応え、日産でも荷室スペースに左右跳ね上げ式のベッドシステムとフロアパネルを備えた車中泊モデル「キャラバン マルチベッド」を設定し、根強い支持を集めています。
そして新たな車中泊のカタチを提案するべく、日産は2023年10月に新型「キャラバン MYROOM(マイルーム)」を発表しました。
室内は2列シートレイアウトの5人乗り。前席はベースとなるキャラバン「GRAND プレミアムGX」と変わりませんが、その後ろの部分、通常なら後席と荷室となるエリアが全く様変わりしています。
日産は新型キャラバン マイルームについて「これまでにない新たなカテゴリーのクルマ」だと説明します。
外観は細部のカスタマイズこそ施されているものの、基本的にはベース車同様です。しかし新型キャラバン マイルームの見どころは、こだわり強めな内装の凝った仕立てにあります。
テーブルはスライドさせて移動可能で、走行中でも動かないよう固定できます
広い荷室空間の「クルマの内装感」を徹底的に消すため、木目をふんだんに使用。まるで自分のお気に入りの部屋(マイルーム)ごと自然の中に持ち込み「リラックス(憩うこと)」ができるクルマを目指したといいます。
実車の車内に入ってみるとその狙いを見事に達成していることがわかり、おおげさではなく「クルマにいることを忘れそうになる」非日常な空間です。
なお先行発売された特別仕様車のローンチエディションは、新型キャラバン マイルームに装着できるメーカーオプションをあらかじめすべて装備した、いわば「全部ノセ」仕様となっています。
どれも通常のクルマではあまり見ない装備ばかりで、車内カーテンやウッドブラインドをはじめ、AC 100V電源、スポット照明付きの木目調ルーフパネル、ロールスクリーン、ルーフサイド間接照明など、いずれも手の込んだ専用機能が標準で備わります。
木目インテリアとの相性もバツグンで、さらに“クルマの内装感”を消し去ることに貢献していました。
■1台でいろんな楽しみ方が可能な「お得なクルマ」!?
室内のシートアレンジなどを紹介していきましょう。まず後席は、新型キャラバン マイルームのオリジナル「2in1シート」に変更されています。
シートの表面と裏面で硬さの異なるクッションパッド構造を採用し、簡単な操作で「ドライブモード」「ベッドルームモード」(硬め)、そして「リビングルームモード」(柔らかめ)の各モードにアレンジ可能。
脱着式のテーブルは前後へスライドすることができ、各モードに応じた様々な使い方が可能となっていて、リビングルームモードの場合ソファのようなかけ心地とともに、文字通りリビングのようなくつろぎが楽しめます。
ドライブ中にクルマを景色の良い場所に停めれば、そこが即リビングになるというのは、非常に贅沢な体験といえます。
壁に収納された状態の「MYROOM跳ね上げベッド」はきしみ音などもなく高いクオリティの仕上げで、軽い操作によって展開できます
そして車中泊用ベッドは「折りたたみベッド」と、架装オプション「MYROOM跳ね上げベッド」の2つの仕様から選択できますが、試乗車は後者でした。
普段は壁側に収納され、使用する際にはワンアクションでベッドが展開される優れモノです。
後席シートをベッドルームモード(フルフラット)にしてつなげると、ベッドの長さ2192mm、幅1204mmという広大な「寝床」が誕生します。身長180cmの筆者でも余裕たっぷりで、大人2名の就寝も十分できそうです。
ミニバンなどのシートアレンジでも、セカンドシートとサードシートなどをつなげてフルフラットな寝床をつくることはできますが、シート形状の立体的な起伏が影響し寝返りを打つのもしんどく、そのまま寝るのは厳しいもの。
その点、新型キャラバン マイルームのベッドはほぼ真っ平らで、寝心地はやや硬めですが、キャンプ用マットなどを敷かなくてもまったく問題なく、ひと晩快眠することができました。
ただしキャンピングカーのような本格的な断熱処理などは施されていないので、真夏や真冬は対策を練る必要がありそう。
車中泊でひと晩じゅうエンジンをかけっぱなしにするのは絶対にNGです。
車載の外部電源システムを利用し、RVパークやオートキャンプ場の電源付きサイトなどで100V電源を取り入れて、ホットカーペットなどの家電製品を有効活用するのが良いでしょう。
なお市販のキャンピングカーでは、前述の断熱に加え、エンジンを停めていても使える灯油式のFFヒーターや、走行用とは別の車載バッテリーを使用するクーラーなどで、年中快適機能が稼働するクルマもありますが、そのぶんかなりの重装備になり、価格もグンと上がります。
その点で新型キャラバン マイルームは、通常のキャラバン(標準幅・標準ルーフ)とまったく同じ4ナンバー枠に収まるコンパクトなボディという気軽さが特徴で、日常は仕事や買い物に使える実用車として使えます。
それでいて週末は旅先で他にはない「非日常」が味わえるのです。1台で多彩な使い方ができて、むしろお得なクルマなのかもしれません。
■走りはベース車以上に安定感あり!?
最後に走行感覚についても触れておきます。試乗車は2.4リッター直列4気筒のクリーンディーゼルターボエンジンを搭載する2WD(後輪駆動)モデルでした。
2022年のマイナーチェンジでトルクが大幅に上がった新型エンジンに変更されており、その際にトランスミッションも7段式に載せ変わっています。
乗り心地や安定感はベース車以上かも!?
ワンボックスバンはそのレイアウト上、ドライバーがエンジン及び前輪車軸の上に乗っている状態となります。
日ごろは乗用車に乗り慣れているせいか、最初は独特の乗り味に戸惑いましたが、高速道路をしばらく走ったくらいですぐに馴染むことができました。
パワーは十分以上あり、高速を巡行している際でも静粛性はしっかり保たれています。インテリアの大きな架装物からきしみ音などが聞こえることもなく、しっかりした造作であることがわかります。
試乗車のカタログ上の車両重量は2135kg(持ち込み登録車のため参考値)。ベース車(1820kg)に比べ300kgほど重いですが、むしろ乗り心地や安定感はベース車以上かもしれません。
車両後半に積まれた架装の重さが良い意味で効いていることが推察されます。
なおそのぶん最大積載量は750kgとベース車(1000kg)に比べ減っているので、平日に仕事で使おうとしている人は積載物の重量に注意が必要かもしれません。
※ ※ ※
日産によると、今回試した特別仕様車のローンチエディションはすでに注文が予定台数に達したため、オーダーは終了しているといいます。
新型キャラバン マイルームを手に入れたければ、前述の通り2024年夏の正規モデル発売までもう少し待つ必要があります。
新型キャラバン マイルーム特別仕様車“ローンチエディション”の販売価格(消費税込み)は、2タイプあるベッドの仕様や、ガソリン車とディーゼル車の違い、さらに駆動方式の違いによって、595万8700円から714万100円です。
ベースのGRAND プレミアムGXが333万1900円から430万2100円なので、その差は262万8000円から283万8000円とそれなりにあります。
ただし前述の通りローンチエディションは「オプション“全部ノセ”」で、価格なりの満足度も高い仕様です。
一方でローンチエディションの特別装備がすべてオプションだとすれば、正規モデルについては販売価格もグッと抑えられる可能性が高いでしょう。
2024年4月時点で、今夏発売予定の新型キャラバン マイルーム(正規モデル)に関する情報は公開されておらず、仕様や価格の詳細なども不明ですが、お得な設定となることを大いに期待したいところです。
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