日産の新型「巨大SUV」登場! 全長5.1m×斬新顔がスゴ過ぎる!? 日本では「テラノ」だった…「パスファインダー」中国で試乗、印象は?
くるまのニュース / 2024年5月16日 14時50分
日産が中国向けに新たに発売した日産 パスファインダーに試乗し、その真価を試しました
■デカい…! 日産「パスファインダー」に試乗
日産が日本で販売するSUVは「キックス」「エクストレイル」「アリア」です。
海外では日本に無いSUVも多いですが、そのひとつに「パスファインダー」があります。
新たに中国向けに登場したモデルとはどのようなものなのでしょうか。
日産のミドルサイズSUV「パスファインダー」は1985年に「ダットサントラック(D21)」をベースとするラダーフレームの四輪駆動車として登場しました。
日本では2代目まで「テラノ」としても販売されていましたが、3代目以降はテラノ終売にともなって海外専売車種となります。
2021年には現行モデルとなる5代目が発売され、北米市場を中心に高い支持を集めています。
一方、中国市場ではパスファインダーは販売されておらず、「テラ」が中国向けラインナップの中で大型SUVの役割を担っていました。
テラはピックアップトラック「ナバラ」をベースとしており、中国では「エクステラ」の中国向けモデル「パラディン」の後継車種として位置付けられています。
そんな中、日産は2023年4月の上海モーターショー2023にて、北米向けとは異なるスタイリングの新型パスファインダーを発表しました。
中国専売モデルとなった新たなパスファインダーは5代目パスファインダーとプラットフォームを共用するものの、よりシンプルかつフォーマルなエクステリアデザインが印象的です。
ボディサイズは全長5130mm×全幅1981mm×全高1774mm、ホイールベースが2900mmとなります。
このサイズ感は北米向けモデルの全長5021mm×全幅1979mm×全高180 mmと比較すると若干大きく、低くされているのがわかります。
日産の中国にあるデザインセンターにて、中国人デザイナーが指揮したデザインは日産の美学と中国独自のエッセンスを融合させ、唯一無二の雰囲気を醸し出しています。
全体的なフォルムは昨今の流行りである都市型SUVの様相を呈していますが、一方で全高は低く抑えられています。
それに加えてルーフのラインより低い位置にメッキ加飾を加えることで、スポーティさをより一層演出したスタイリングとなっています。
フロントマスクも北米向けモデルから刷新させ、日産「アリア」などから採用されている水平基調のシンプルでワイドなグリルを特徴としています。
北米向けパスファインダーではノーズが分厚く、また無塗装の黒樹脂フェンダーがアクセントを加えたりと、無骨でラギッドな印象を持っていました。
対して中国向けパスファインダーではその筋骨隆々なスタイリングをやめ、繊細な要素で構成される流麗なシルエットへと変貌を遂げました。
中国のマーケットを想定して作られたとのことですが、インテリアは意外と保守的です。
インフィニティ譲りの上質な内装設計に12.3インチのセンターディスプレイが組み合わせられており、「デジタル」と「プレミアム」の両方が上手く共存している印象です。
昨今の中国メーカーは「上質さ」を演出させるために、過度にインテリアから操作系統を排除し、すべてを大型ディスプレイにまとめる傾向があります。
パスファインダーはその流れに逆行し、最小限のディスプレイと操作の容易な物理ボタンを適度に配置、使いやすさを念頭に置いた上質な内装設計を特徴としています。
実際に各部を操作してみても、素材の肌触りはよく、またボタンやタッチパネルの応答性も抜群です。
運転中の操作ではストレスを感じませんし、日本車ならではの良い内装を感じました。
ルーフが低いながらも、室内空間は窮屈さを感じさせません。乗車定員は6人乗りと7人乗りが選択可能で、それによって2列目が2人掛けか3人掛けかに変わる形で、3列目シートは倒してフルフラットにすることも可能です。
個人的に驚いたのはカップホルダーの数で、後部座席のドアには片方だけでペットボトルが4本も収納できます。
1列目ではドアに1本、センターに2本、そして3列目シートの側面にもそれぞれ2本ずつ収納できるので、合計で16個のカップホルダーを用意している計算になります(6人乗りモデル)。
■2リッターVCターボの印象は? スポーティSUVだと思える理由
また、パワートレインでは北米向けモデルがVQ35DD型3.5リッター V型6気筒エンジンを搭載するのに対し、中国向けモデルでは可変圧縮比機構「VCターボ」を持つKR20DDET型2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載、それに9速オートマチックトランスミッション組み合わせています。
同じプラットフォームを共用するモデルの中に、日産のプレミアムブランド「インフィニティ」から販売される「QX60」があります。
QX60も北米向けではVQ35DDエンジンを搭載するのに対し、中国向けではKR20DDETエンジンを搭載します。
このパワートレインの設定や内外装の雰囲気も相まって、個人的には新型パスファインダーが「QX60の要素を日産車に落とし込んだ」モデルである印象を受けました。
足回りは比較的硬めで、タイトなコーナーで速度を上げていってもSUVならでは不安定さは感じません。
重量はグレードによって2011kgから2132kgと結構重め、エンジン出力も248hpほどです。
ですが、純ガソリンならではの力強い加速は遅すぎず速すぎず、ちょうど良い具合に踏み込める楽しさを持っています。
直進路でのぐんぐんと加速していく様子、そして高速安定性も相まって非常にバランスよく作られているスポーティSUVであると感じました。
最近の日産顔となっているパスファインダー
完成度は非常に高い一方、パワートレインは純ガソリンのみというのが中国市場で展開していく上での不安要素です。
中国では大都市部を中心に純ガソリン車への規制が強いですが、プラグインハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCEV)といった「新エネルギー車」は税制面での優遇に加え、ナンバープレートの発給制限の対象外でもあります。
2024年3月に発売されたパスファインダーは初月だけで販売台数が6000台を突破したと発表されています。
純ガソリン車ながらも販売都市トップ5は北京、広州、深セン、東莞、成都となっており、大都市圏を中心に人気なのがわかります。
急進的な中国ブランドの成長ぶりに外国メーカーは苦戦を強いられており、特に日産はかつて売れ筋であったシルフィの販売低迷もあって窮地に立たされています。
新たに投入されたパスファインダーの現地における評価は、同じクラスのトヨタ「ハイランダー」よりも内装の質が良く、また走りも上質であるとされています。
このまま純ガソリン車のみの展開なのか、もしくは電動化モデルが追加されるかは不明なものの、変わらずに人気が続くことに期待したいと思います。
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