トヨタ・スバル・マツダが「新型エンジン」開発を発表! 電動化時代でも「内燃機関を残す」 3社独自のカーボンニュートラル戦略とは
くるまのニュース / 2024年5月28日 13時20分
2024年5月28日にトヨタ・スバル・マツダは「マルチパスウェイワークショップ」を開催しました。そこでは3社のカーボンニュートラルに対する戦略が明かされています。
■なぜ3社が共同で会見? どんな内容が明かされた?
トヨタ・スバル・マツダによる「マルチパスウェイワークショップ」が2024年5月28日に共同で開催されました。
3社が一緒に会見をする意味や、それぞれの発表内容とはどのようなものなのでしょうか。
今回のマルチパスウェイワークショップには、トヨタから佐藤恒治社長兼CEO、中嶋裕樹副社長兼CTO。
スバルから大崎篤社長兼CEO、藤貫哲郎専務執行役員兼CTO、そしてマツダから毛籠勝弘社長兼CEO、廣瀬一郎専務執行役員兼CTOというメンバーが登壇しました。
3社の社長や技術トップ(CTO)が一同に介した会見となったことから、当初は「3社共通または共同」で行われる技術や商品が発表されるのではないかと予想されていました。
しかし、実際には3社の「カーボンニュートラルの実現」「内燃機関を見捨てない」「エンジンって良いよね」という共通の想いを胸に、それぞれの個性を活かした新開発エンジン技術が発表されたのです。
元々、この3社は日本で開催されるモータースポーツ「スーパー耐久」の開発用カテゴリーとなる「ST-Qクラス」に参戦しています。
そこでは当初トヨタとスバルが「GR86」と「BRZ」で同じカーボンニュートラル燃料(CN燃料)を使い参戦。
その後マツダも「ロードスター」に同様のCN燃料を使い、「将来に内燃機関を残す」ため、ガソリンではない環境に良い燃料の開発を行ってきいました。
こうした同じ志があり、ともにカーボンニュートラルに向けた技術を磨いてきたことから今回の会見に至ったようです。
トヨタの佐藤恒治社長兼CEO
今回の発表ではトヨタ、スバル、マツダは、カーボンニュートラル実現に向け、電動化時代の新たなエンジン開発を「三社三様」で宣言しました。
新たなエンジンでは、モーターやバッテリーなどの電動ユニットとの最適な組み合わせを目指すと言います。
また、エンジンの小型化によるクルマのパッケージ革新に加え、多様なCN燃料にも対応する事で内燃機関でのカーボンニュートラルを実現していくようです。
そうした中で、カーボンニュートラル実現に向けた未来のエンジンの役割が明確になってきました。
次世代のエンジンは、エンジン単体の性能向上だけではなく、電動ユニットと組み合わせることを前提に、エンジンと電動ユニットがそれぞれの得意領域で最適に機能することを目指します。
また、従来のエンジンと比べて、高効率・高出力を実現しながら小型化し、クルマのパッケージを革新。
これにより、エンジンフードをさらに下げることができ、デザイン性と空力性能を向上させながら、燃費性能の改善にも貢献させ、今後厳しくなる排気規制への対応も念頭に開発を進めていくようです。
さらに加えて、新エンジンは化石燃料から脱却し、e-fuel(合成燃料)やバイオ燃料、液体水素など多様な燃料に対応することでカーボンニュートラルを実現。これにより新エンジンはCN燃料の普及にも貢献することを目指すとしています。
スバルの大崎篤社長兼CEO
今回の公表にあたり、3社のCEOは次のように語りました。
トヨタ佐藤CEOは「カーボンニュートラルに貢献する多様な選択肢をお客様にご提供していくために、未来のエネルギー環境に寄り添ったエンジンの進化に挑戦してまいります。志を共有する3社で、切磋琢磨しながら技術を磨いてまいります」と語ります。
同時にトヨタは、長年使ってきた高出力、高効率(熱効率)を高次元で両立する直列4気筒エンジンに電動化技術やCN燃料を組み合わせ、進化させていくことも合わせて明かされました。
またスバルの大崎CEOは「カーボンニュートラル社会の実現は、日本の産業界・社会全体で取り組む課題です。私たちはクルマの電動化技術を磨くと共に、カーボンニュートラル燃料の活用に向けて、水平対向エンジン自身もさらに磨きをかけます。これからも志を同じくする3社で日本のクルマづくりを盛り上げてまいります」と述べています。
スバルでは、ピストンが水平方向に動くためエンジンの高さが低く、低振動・低重心という特徴を持つ「水平対向エンジン+AWD」というスバルらしさを電動化やCN燃料と組み合わせて、さらに進化させていくと明言。
そしてマツダの毛籠CEOは「電動化時代における内燃機関を磨き、マルチパスウェイでカーボンニュートラルの実現可能性を広げ、お客様がワクワクするクルマを提供し続けます。電動化やカーボンニュートラル燃料と相性の良いロータリーエンジンを社会に広く貢献できる技術として育成できるよう、共創と競争で挑戦してまいります」と語ってくれました。
マツダは、小型・軽量ながら高出力を実現。現在は発電機として活用している「ロータリーエンジン」を使い、電動化と組み合わせてエンジンを磨いていくと言います。
マツダの毛籠勝弘社長兼CEO
※ ※ ※
3社はエンジンやクルマの「味付け」など商品づくりの分野では「競争」しながらも、マルチパスウェイでのカーボンニュートラルを実現していくと改めて発表しました。
また3CEOのプレゼン後には、3CTOによるそれぞれの技術発信ならび解説も行われるなど、これからのエンジンからも目が離せません。
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