「覆面パトカー」どうやって“取締り”している? ”追いかける”だけじゃない! 知られざる「3つの取締り方法」とは
くるまのニュース / 2024年5月31日 11時10分
悲惨な交通事故を未然に防ぐべく、高速道路などでは様々な取締りが行われています。そんななかでも、意外と知られていない「覆面パトカー」のさまざまな取締り方法について紹介します。
■漫然と高速道路を走るドライバーは要注意!
筆者(オービスガイド 大須賀 克巳)は仕事柄、日本中の高速道路を15年以上走り続けています。
そこで今回は、これまで実際の交通下で見てきた様々な取締り方法のなかでも、意外と知られていない覆面パトカーの取締りについて紹介します。
日本の高速道路はどこへ行っても良く整備され、とても走りやすいと感じます。
クルマの性能も年々向上しており、周囲のクルマの多くが制限速度を超えて走行し全体的な交通の流れができるせいで、気付かぬうちに速度超過してしまうケースもあるかもしれません。
しかしいかなる理由があろうとも、速度違反は重大な事故へ直結するリスクが加速度的に高まる危険な行為であることに変わりはありません。
こうした事態を未然に防ぐべく、全国の警察は様々な方法で日々取締りを行っています。
高速道路の取締り方法としては、速度違反自動取締装置(通称:オービス)を設置して計測する方法に加え、パトカーや白バイによる取締りなどを行っています。
昨今、定置型のオービスはナビアプリでも把握できますし、白黒のパトカーや白バイは道路上でも目立つので、一目瞭然といえますが、その一方で速度違反などに対する抑止効果は極めて高いといえます。
取締りにはこのほかにも、空からヘリコプターで監視する方法もありますが、とても稀な例といえます。
そこで大活躍しているのが「覆面パトカー」です。
覆面パトカーによる速度違反の取締り方法は、大きく分けて3通りあります。
■覆面パトカーによる速度違反の3大取締り方法とは
●取締り方法その1:潜伏方式
覆面パトカーによる速度違反の取締り方法でまずひとつ目が「潜伏方式」と呼ばれるスタイルです。
これは左側車線の走行車列に紛れ、速いクルマが来るのを待つというものです。
サービスエリアに待機し本線上を監視する覆面パトカー[撮影:オービスガイド]
走行中に追い越し車線が空いているからといって、そこを一気に加速し高速で追い抜いて行くと、走行車線から出てきた覆面パトカーに速度を計測されます。
覆面パトカーが車列に紛れている場合は、周囲のクルマがその存在に気が付くので、一帯の空気が変わります。
妙に左側車線だけにクルマが集まっている場合や、速いスピードで走っていたクルマが急に速度を落として左側の車線に移動するなどの不自然な動きがあると、覆面パトカーがいる可能性があります。
覆面パトカーは制限速度の上限くらいで走行していることが多いので、追い抜くことは基本的にNGです。
追い越し中に真横の覆面パトカーに気が付くこともあるかもしれませんが、そのような場合は極力制限速度付近で長い距離を使ってゆっくりと追い抜いて行くと取り締まりの対象にならないと思います。
●取締り方法その2:待ち伏せ方式
覆面パトカーによる速度違反の取締り方法のふたつめは「待ち伏せ方式」と呼ばれるものです。
PA/SAやインターチェンジ、道路管理施設などに待機し、速いクルマが通過するのを待つ方式です。
覆面パトカーは待機場所から本線を監視して、速度超過のクルマが来たら本線へ合流して追尾に入ります。
ドライバーは、こうした覆面パトカーの有無に関わらず、PA/SAやインターチェンジの手前では余裕を持って合流車両などをよく確認しつつ、広い視野で走行する姿勢が重要です。
もし合流してくるクルマがいれば、状況により追い越し車線に移動してあげたり、通過後も後方を良く確認する余裕があれば、不意に現れる覆面パトカーに驚くことはなくなります。
■高速道路交通警察隊による「高度なワザ」ゆえの取締り方法も
●取締り方法その3:追い上げ方式
覆面パトカーによる速度違反の取締り方法、3つ目は「追い上げ方式」です。
赤色灯を付けながら、かなりの速度で追い越し車線を走り抜け、もし前方に違反車がいればそのまま速度計測に入る方式です。
「追い上げ方式」により後方から高速で通過していく覆面パトカー[撮影:オービスガイド(ドライブレコーダーの映像より)]
これは速度違反をしながら漫然と走行しているドライバーからすると、いつの間にか直ぐ後ろに覆面パトカーがいて、速度計測済という状況だと思います。
私も何度か追い上げ方式の取締りをする覆面パトカーを目撃しましたが、制限速度100キロの道を時速160キロくらいで覆面パトカーが追い上げ、はるか前方にいる120キロ以上の違反車を検挙するイメージです。
実際に測ったわけではないのであくまでもイメージで、正確な速度まではわかりませんが、とにかくすごく速い速度の覆面パトカーが後方から通過した後、しばらく先の路肩などで違反車が覆面パトカーに検挙されている光景を見ることがあります。
また別の現場では、片側3車線以上ある道路で、中央の車線を走る大型トラックの前に覆面パトカーが走っていました。この場合、後方から迫る違反車からはほとんど大きなトラックしか見えていません。
追い越し車線を速度超過のクルマが気付かずに通り抜けると、覆面パトカーはさらに左側車線も巧みに使いながらトラックの後ろ側に回り込み、通り過ぎた違反車からは見えないような位置関係を維持しつつ走行。
そして最後には違反車に近付き、検挙となっていました。
こうした高速道路交通警察隊の高度なテクニックを幾度となく見ると、感動すると同時に自分の気も引き締まります。
■速度違反以外にもある! 「覆面パトカー」が監視している項目とは
ここまで、主に高速道路上で覆面パトカーが取り締まる速度違反について紹介してきましたが、それ以外にも彼らが監視している違反項目があります。
例えば、追い越しや障害物を避けるといった理由もなく追い越し車線を走り続ける「通行帯違反」、あおり運転とも呼ばれる前のクルマとの距離が近すぎる「車間距離保持義務違反」などは、覆面パトカーが特に監視を強化している項目といえます。
違反処理中の覆面パトカー[撮影:オービスガイド]
線を跨ぐ行為でイエローカットとも呼ばれる「進路変更禁止違反」など様々な項目があります。
こうした多種多様な取締りを行っているなか、自分だけは捕まらないと思っているドライバーは要注意です。
覆面パトカーに気が付く、気が付かないといったハナシ以前に、とにかく前方だけを見ながら漫然と運転しているようなドライバーは、想定外の事態に対応できなかったりします。
速度違反をしていなくても、特に高速道路では前方と同じくらい後方もチェックしたり、前後左右の視界に入る全ての車を見てそれぞれの挙動、車種やカスタムの仕方などから運転手の性格などもイメージし、各車が次にどう動いて行くかなどを予想しながら走るくらいの気持ちが必要かもしれません。
覆面パトカーは、白色や黒色・シルバーといった地味な色のトヨタ「クラウン」がメインですが、そればかりではなく、全国には様々な車種や色の覆面パトカーが活躍中です。
どんなにベテランでも、夜間に後続車のヘッドライトからそれが覆面パトカーかどうかを見極められるドライバーは皆無でしょう。
やはり一番は制限速度と自車の車速を確認し、周囲に注意を払いながら運転するのが大切だと筆者は考えます。
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