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バスが青信号の前でノロノロ運転して、わざと信号に引っ掛かります。客は急いでいるのに、怠慢運転じゃないですか? 絶対間に合いますよね?

くるまのニュース / 2024年6月5日 16時40分

なぜ路線バスは、「目の前で赤信号に引っかかる」ことが多いのでしょうか。目の前に青信号が見えているのに、なかなか交差点にたどり着かないことに、イライラするかもしれません。なぜなのでしょうか。

■青信号を通過できない「イライラ」の理由

 路線バスに乗っていると、前の信号が「青」になっているのに、バスが客の乗り降りをしていて、「ああ!早く出発してよ!せっかく青なのに!」とイライラすることがあるかもしれません。
 
 中には「わざと赤信号にひっかかるようにゆっくり発車して、案の定赤信号に引っかかった。ノロノロ運転すれば社内で評価されるの?」といった、かなりイライラ度が透けてみえる投稿も、SNSを中心に見られます。
 
 なぜ路線バスは、「目の前で赤信号に引っかかる」ことが多いのでしょうか。

 路線バスで運転士を勤めていた男性は「青信号の状態で発車しても、青信号には間に合わないんですよね。あれって、案外目の前じゃないんですよ」と話します。一体どういうことなのでしょうか。

 実はバスの加速度はかなり遅く、一般の乗用車に比べて、すぐに40km/hまで達する、というような加速はできません。バス自体に重量があるほか、多数の客を乗せているため、加速には多くの運動エネルギーが必要で、大型車のエンジンひとつでは一般車並みに一気に速度を出せないのです。

 また、一般の乗用車との大きな違いが「場合によって立ち客が発生している」ということ。乗用車のように「いま急げ!」といった急加速をすると、足を踏ん張れず転んでしまうおそれがあるのです。

 東京都環境科学研究所で2009年に発表された論文によると、路線バスが1秒間に加速する度合いは平均で「時速3km」周辺だといいます。

 目の前に青信号があるなか、バス停を出発して、「あー!今青信号!早く加速して!間に合って!」とやきもきして、耐えられなくなるまで長く感じますが、だいたい5秒間です。この加速度だと、5秒間でバスは「たった21m」前後しか進めません。バス車両が2台連なるより短い距離です。交差点のすぐ手前にバス停があったとしても、間に合うか微妙でしょう。

 つまり、「目の前にあるように見える交差点も、そこへたどり着くまでは、じつは意外と時間がかかる」ということなのです。

 裏を返せば、「バス停を出発した時点で、すでに今の青信号に間に合わないことは確定」と思ってもいいかもしれません。そうすれば早々に諦めがつくでしょう。

 特に直線道路だと、信号のかなり手前から「青信号」が見えることになります。また、人間の目はカメラの望遠レンズのようにある程度の「圧縮効果」がはたらくため、「遠くにあるものも近くに見える」という特性があります。

「今そこに青信号があるのに!頑張れば間に合うでしょ!」と思いがちですが、実は意外と距離があって、そこへ到達するまで、人間の認識よりも実際はずっと長い距離が待ち受けているというわけです。

 ちなみに、「どうしてすぐにバス停を出発しないの!」という文句の声もよく聞こえてきます。これについては、そのバス停で時間調整が行われている場合があります。

 渋滞などを考慮して、バスの発車時刻にはある程度の時間的余裕をふまえて設定されていることが多いです。そこにたまたま渋滞無くスムーズに運行している場合、下手をすると「設定された予定時刻より早く出発した」という事態になり、「旅客自動車運送事業運輸規則」の禁止行為に抵触してしまう可能性があります。

 そのため、バス停で、規定の時刻まで時間調整をしている場合があるのです。

 路線バスを利用する際は、毎回の信号機の赤青に一喜一憂しなくていいよう、余裕を持った移動を心がけましょう。

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