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トヨタ高級車「新型クラウン」なぜ“4車種”も存在? しかも「SUVタイプ」が3車種!? 過去のイメージ覆す「革新と挑戦」の理由とは

くるまのニュース / 2024年6月27日 12時30分

現行「クラウン」は4車種を同時にラインナップし、しかもそのうち3車種がSUVタイプと、従来のイメージと大きく異なる存在となっています。その背景には一体どのような理由があるのでしょうか。

■なぜ「クラウン」は4車種に別れた?

 トヨタの伝統的な高級車「クラウン」は、セダン型を基本としつつ、ワゴンやピックアップトラックなど複数タイプを用意することは過去にもありました。
 
 しかし、現行モデルは4車種と同時にラインナップし、かつてなくバラエティに富んでいます。
 
 しかもそのうち3車種がSUVタイプと、従来のクラウンとは大きく異なる様相を見せていますが、その背景にはどのような理由があるのでしょうか。

 現行クラウンは、セダンのほかに「クロスオーバー(SUV)」「スポーツ(クーペSUV)」「エステート(SUV)」と、合計4タイプを設定。

 これは1955年の初代モデル誕生から60年を超えるクラウンの歴史において初めての状況です。

 もともとクラウンは、5年もの研究試作を経て誕生した国産初の高級セダンで、つまり“セダン”であることがクラウンという存在の根底にありました。

 そして昭和の時代には「いつかはクラウン」というフレーズが流行し、憧れのクルマとして非常に高い人気を誇ります。

 そんなクラウンの人気は平成の時代に入っても依然として高く、10代目のデビューした翌1996年の年間販売ランキングでは、当時の国産車における絶対王者の「カローラ」に次ぐ2位の座をクラウンが獲得しています。

 そのように2000年代前半までクラウンは、年間販売ランキングでトップ10を定位置とするほどの人気モデルだったのです。

 ところが、2010年以降は風向きが一変。クラウンの年間販売ランキングは、10位以内どころか、20位以下が当たり前になってしまいます。

■「クラウン」が急速に不振となった理由とは?

 クラウンが急速に不振となった理由は、2つ考えることができます。

2018年に登場した15代目「クラウン」。スポーティさをアピールした2018年に登場した15代目「クラウン」。スポーティさをアピールした

 ひとつは、「クラウンに限らずセダンそのものが売れなくなってしまった」こと。

 先述のように昭和の絶対王者だったベストセラーセダンのカローラは、2007年を最後に販売ナンバー1の座を獲得できていません。

 また2000年以降は、ミニバンやSUVの人気が高まるのに反比例してあらゆるセダンの売れ行きが下がっていき、日本の全メーカーからセダンのラインナップそのものが激減してしまうほど不人気タイプとなってしまったのです。

 ふたつ目の理由は「高齢化」です。

 長い歴史を持つクラウンは、昭和を知る高齢の世代に絶大な人気を誇っていましたが、そちらに気を配るあまり、新規の若いユーザーの獲得に苦戦していました。

 実は先代クラウンの登場した2018年の時点で、クラウンユーザーの平均年齢は65歳にも達していました。

 65歳といえば、一般的には“定年退職”する年齢です。その世代には「もう高級車は要らない」と考える人も少なくないでしょう。クラウンにはユーザーの先細りという危機が迫っていたのです。

 そのような高齢化の対策として、トヨタはクラウンという車種のイメージとユーザーの若返りにも力を入れていました。

 2012に発売した14代目クラウンでは、大胆なデザインを採用しピンクのボディカラーも用意するなど、従来のイメージを刷新する戦略を導入。

 続く2018年の15代目はより若々しい斬新なデザインに加えて、ドイツのニュルブルクリンクサーキットで走り込んで開発するなど、スポーティさをアピールしています。

 しかし、そうした涙ぐましい努力も大きな結果には結び付きません。15代目クラウンの2020年の年間販売ランキングは32位、2021年は29位、2022年は31位と低空飛行のままだったのです。

■「クラウン」を急浮上させた衝撃の戦略

 そこで、導入されたのが、今回のシリーズ化だった――というわけです。

大型SUVとなったトヨタ新型「クラウン エステート」大型SUVとなったトヨタ新型「クラウン エステート」

 トヨタは新型クラウンの変化を以下のように説明します。

「戦後間もない時代に、初の独自開発で苦難を重ね高級車を作り上げた『革新と挑戦』のDNAは、その後67年に渡り歴代クラウンに受け継がれ、常に時代の一歩先を行く新しい価値を追求し、多くのお客様にご愛用いただいてきました。

 しかし時代の変化はそれ以上のスピードで進み、多様化するお客様のニーズに対して十分お応えできなくなり、フラッグシップとしての存在感が希薄になっていきました。

 今回、開発チームは、新しいクラウンの開発にあたり、『クラウンとは何か』を徹底的に見つめ直し、『これからの時代のクラウンらしさ』を追求した結果、4つの全く新しいクラウンを作り出しました」

 このように、本来クラウンのDNAは「革新と挑戦」だったはずが、残念ながら時代の変化に後れを取ってしまいました。そこで「これからの時代のクラウンらしさ」を追求した結果、シリーズ化したという説明です。

 実はこのようなシリーズ化はクラウンが最初ではありません。

 先行したのは、「ヤリス」でした。トヨタは、2020年にコンパクトカーであるヤリスに、SUVタイプの「ヤリスクロス」を加えます。

 そしてこのヤリスのシリーズ化が大ヒットを記録。なんとヤリスシリーズは、2020年から2023年まで4年連続で年間販売ランキング1位を獲得するほどに売れました。

 しかもその販売の半数ほどが、ヤリスクロスで占められていたのです。

 ヤリスは、SUV人気という世相に上手く乗って上手にベストセラーカーの地位を獲得したと言えるでしょう。

 それに続きトヨタは、2021年に「カローラクロス」を発売。“虎の子”だったカローラでもシリーズ化を進めます。

 そして2022年、ついにクラウンのSUVシリーズ第一弾となるクラウンクロスオーバーを発売し、さらに2023年にはセンチュリーのSUVタイプも発表。

 ヤリスにカローラ、クラウンにセンチュリーというトヨタの歴史あるモデルを次々にシリーズ化しているのです。

 そうしたシリーズ化の結果、クラウンはかつて無い急浮上を果たします。

 クラウンの売れ行きは2023年において20位(43029台)、2024年1~5月では14位にまで上昇しました。さらに注目度は以前と比べものにならないほど高まっています。

 このように、「クラウンらしさ」を「高級セダン」だと考えて矮小化するのではなく、一歩下がって「ボディ形状にとらわれない高級車」ととらえてシリーズ化させたのは、革新的で挑戦的なアイデアです。

 まさにクラウンのDNAである“革新と挑戦”が、現在の成功を導いたと言えるでしょう。

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