スズキが新型「コンパクトSUV」発表へ! 人気のトヨタ「ライズ」対抗馬!? 低価格「200万円級SUV」が”激戦区”に突入する理由とは
くるまのニュース / 2024年7月6日 10時10分
日本では今、コンパクトSUV人気が高まっています。そんななかでスズキは新たなコンパクトSUV「フロンクス」を今秋に導入するとしています。こうしたトレンドを生み出した理由とは、どこにあるのでしょうか。
■国産各メーカーが取り揃える「新興国向け」コンパクトSUV
スズキは2024年7月1日、インドなど海外で発売中のコンパクトSUV「フロンクス」を、今秋にも国内導入すると明らかにしました。コンパクトSUVといえば、低価格なトヨタ「ライズ」が支持を集めているほか、タイで開発されインドで生産されるホンダ「WR-V」が3月から導入され、こちらも209万8800円からと安いことから話題となっています。
日本で今、こうしたコスパに優れた「コンパクトSUV」のトレンドが生まれた理由について考察します。
悲しいことながら、今や我が国は先進国の中じゃ群を抜いて平均年収が少なくなってしまった。
ちなみに日本の平均年収458万円に対し、アメリカ1050万円、ドイツ910万円。
購買能力からすれば、買えるクルマの価格も半分ということになります。
つまり日本で500万円のクルマを、他の先進国の人は250万円の感覚で買っているということ。だからこそ、本来大衆車だったホンダ「シビック」だって400万円になる。
当然ながら、先進国向けに開発したクルマは平均的な日本人の年収からすれば高価になり、買えなくなってしまう。
そんな流れを見て国内市場に持ち込んできたのが、インドに代表される新興国向けに開発したWR-V(インド名「エレベート」)だ。
簡素化した設計&装備になっているため、同じ車体サイズの「ヴェゼル」より20%以上安いプライスを付けられる。
今や3ナンバーで約210万円スタートは貴重だ。
そんな流れを見たのだろう。新興国向けモデルの第二弾としてスズキが「フロンクス」というモデルを間もなく日本でも発売する。WR-Vと同じくインド工場で生産し、日本に輸入というパターンらしい。
ボディサイズこそ全長でWR-Vより少し短いものの、車格はほぼ同じ。クルマの質感は、インドだと高級車カテゴリー「NEXA(ネクサ)」で売られることもあり頑張ってます。WR-Vよりお金も掛かっているかもしれません。
日本で販売するモデルに搭載されるエンジンなどは、現時点で明らかになっていないが、必要にして十分なパフォーマンスを持たせることだろう。
気になる価格だけれど、WR-Vを見ればわかる通り、おそらく締まったお財布の紐を緩めるくらいリーズナブルかと。
筆者(自動車評論家 国沢 光宏)は、200万円を切るスターティングプライスか、同じ価格のWR-Vより豪華装備としてくるんじゃないかと予測してます。
こうなると気になるのが、ホンダとスズキ以外の新興国仕様車だ。
国内メーカー各社の新興国仕様車を探してみると「あるある!」
例えば日産の「マグナイト」だ。
エクステリアを見ると「キックス」と間違えそうになるけれど、全長4mを切るなどひと回りコンパクト。トヨタ「ライズ」と同じサイズ感をイメージしていただければ良い。
さらに搭載されるエンジンは1リッター3気筒ターボ。これまたキックスよりダウングレードされている。
日産の新興国向けコンパクトSUV「マグナイト」
今や「ヤリスクロス」と競合するキックスも、ハイブリッドの「e-POWER」搭載とはいえ、スターティングプライスが300万円を突破してしまった。日本人の平均年収からすれば決して安くない。
マグナイトであれば、200万円切りのグレードから設定出来る可能性大。WR-Vとフロンクスの成功を見たら、日産もその気になるかもしれません。
もはや我が国は、新興国と同じ市場レベルになったということです。
■魅力的な低価格車が海外から「入ってこない」2つの理由とは!?
参考までに書いておくと、三菱自動車工業も新興国向けに「エクスパンダー/エクスパンダー クロス」という超魅力的な3列シートSUVを作っており人気だ。
価格は、日本で売られていたミラージュから推定すると1500ccエンジン車で200万円少々で、これまた日本で人気車になるポテンシャルを持っている。
次期型は日本導入にも期待!? 三菱の3列シートSUV「エクスパンダ― クロス」
トヨタの「アバンザ」なども、200万円少々なら日本で爆売れ間違いなしのカッコよさです。
なぜマグナイトやエクスパンダー/エクスパンダー クロス、アバンザを日本に投入しないのか。
理由はふたつある。安全性と生産コストだ。
エクスパンダー/エクスパンダー クロスの場合、サイド&カーテンエアバッグやADAS(先進運転支援機能)などが付いていないため、日本で売ろうとしたら大規模な変更をしなければならない。
マグナイトやアバンザなども同様に日本で販売することを想定していなかったため、安全装備面で厳しい。
WR-Vとフロンクスはどうかとなれば、日本の低空飛行が始まったあたりに開発を始めた。早い段階で「日本市場が低価格車を求めている」となり、最初から日本基準を織り込めたのだろう。
同時に近年は新興国の安全基準も引き上げられ、お金を掛けずに対応出来るようになっている。
おそらく次期型エクスパンダー/エクスパンダー クロスは日本でも販売するんじゃなかろうか。ニーズあればアバンザも。
ふたつ目の理由は生産コスト。
ここにきてタイのバーツも高くなり、日本で生産した方が圧倒的に安い。
ただインドであれば日本と同じくらいのコストでクルマを作れる。輸送コストは九州工場から北海道まで運ぶのと、極端な違い無し。
※ ※ ※
日本市場は遠からず、新興国市場向けのクルマと先進国向けのクルマに両極化されると思う。
いろんな意味で複雑な気持ちになります。
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