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トヨタが「新型GR86」発表! 「走りの変化」が凄い! 「登場“3年目”の改良」で何が変わった?

くるまのニュース / 2024年7月17日 17時0分

トヨタ「GR86」の2024年モデルに、早速試乗してみました。通算3回目の改良では、どのような点が変化したのでしょうか。

■新型「GR86」登場! 「通算3回目」の改良で何が変わった?

 2021年に登場したトヨタ「GR86」が3回目の改良(通称:2024モデル)を行いました。
 
 2012年にデビューしたトヨタ「86」時代から「スポーツカーは育てる必要がある」とほぼ毎年進化を続けてきましたが、今回はどういった改良が施されたのでしょうか。

 まず内外装ですが、デザイン的な変更はありません。

 従来モデルとの唯一の違いは、インテリアの「ウインカーレバーの操作方式(リターン式からロック式に)」変更されたのみ。

 この辺りを開発責任者・藤原 裕也氏に聞くと、「GRモデルに共通するのは“機能”のための進化です。今回も様々なモータースポーツで鍛えて得た学びをフィードバックさせていますが、意匠に関しては変える必要がなかったとご理解ください」と話します。

 では、肝心な機能の進化を見ていきましょう。

 パワートレインはMTのスロットルレスポンス向上が行われています。元々GR86はレスポンス重視の味付けでしたが、前回の改良(2023モデル)でリニア方向に変更しましたが、わずか1年で再び変更しています。

「わかりやすくいえば、初期モデルのいい所と2023年モデルのいい所を融合させた特性ですね。加えて、シフトダウン時にブリッピング操作を行なう際に回転を合わせやすいように変更もしています」(開発責任者 藤原氏)

 最新エンジンは排ガス対応の影響で回転上昇が遅いので、ブリッピングのリズムが取りづらいですが、GR86はワイヤースロットル(機械式スロットル)のようなレスポンスをデジタル(電子スロットル)で再現させたわけです。

 一方、AT車は「マニュアルシフト時のダウンシフト制御許容回転数の拡大(一律制限を、ブレーキ開度や減速度から総合的に判断)」が行われています。

 フットワークは「電動パワーステアリング(EPS)のアシスト特性最適化」と「ダンパー減衰力最適化」が行われています。

 もう少し具体的にいうと、EPS制御は最新トヨタ車がこだわっている「直結感(タイヤの状況がわかりやすい)アップ」と「ハイグリップタイヤや高負荷・高速領域でもリニアなアシスト」を目指した制御に変更。

 ダンパーはGR86のメリハリある走りはそのままに、サーキットのようなフラット路面だけでなく荒れた路面での走破性を高めた味付けに変更。リアダンパーを中心に全体のバランスを整えたセットアップだといいます。

 藤原氏は「発売開始後もサーキットに加えて、ダートや未舗装路など様々な走り込みを行い、そこでの知見をフィードバックさせています」と教えてくれました。

 ちなみに「TGRラリーチャレンジ」に参戦している佐々木 雅弘選手(GR86の開発も担当)は以前、「ノーマルダンパーでもここまで走れることを証明したい」と筆者(自動車研究家 山本シンヤ)に教えてくれましたが、この時藤原氏も何度かラリーに帯同していた事を思い出しました。

 今思えば、あのダンパーが今回の先行開発品だったんだな…と思います。

 ただ、初代の前期から後期への進化と比べると、変化感が少なめに感じる人もいるでしょう。

■2023年モデルとの違いは?

 そこで今回、発表に合わせて富士スピードウェイ・ショートコースで従来モデル(2023年モデル)と乗り比べをしてきました。

さらに「深化」したGR86の走りさらに「深化」したGR86の走り

 走り始めて即座に感じたのは、全てにおいて「FRらしさ」、「コントロールの自在性」、「反応」など、GR86らしさを構築する要素の“純度”が増した事です。

 ステア系は雑味が取れたスムーズな操舵感に加えて、よりフロントタイヤの状況がより明確に感じられる手ごたえを確認。これにより4輪の状況がより濃厚になり、一体感がより増しています。

 リアは反力強めの印象だった、いいリアダンパーのハリが取れた感じで、入力を上手にいなす特性になっています。

 結果的にリアタイヤがより接地している感は増していますが、スタビリティ重視と言う感じはなく、アクセルオフでドリフトのキッカケが作れるFRらしさは不変です。

 ただ、従来モデルとの大きな違いはタイヤの使い方。グリップとスライドのバランスだと思っています。

 従来モデルはリアタイヤを限界ギリギリまで粘らせない代わりに、流れてからのコントロール性を重視していましたが、新型はリアタイヤが限界まで粘るのに流れてからのコントロール性も高いのです。

 言葉では伝えるのは難しいのですが、グリップ/スライドの比率は従来モデルが3:7だとすると、新型は4.5:5.5くらいになったイメージかなと。

 実は今回、ドライ路面に加えて土砂降りのウエットでも走行しましたが、従来モデルでは思わずVSC ONで走りたくなるような状況でも、新型はVSC OFFでも「コースインしようかな」と思わせる懐の深さがあるのです。

 今回は乗り心地に関してのアナウンスはありませんでしたが、リアがよりしなやかに動くようになった事で、前後バランスが変わり入力の伝わり方の丸さなども、ZFダンパーに近づいたような気がしました。

 このように個々の特性を見ていくと、(オプションで用意される)ZFダンパーに近づいたように感じるかもしれませんが、乗り味は完全に別物。

 ZFダンパーはいい意味で“間”がプラスされた大人仕様なのに対して、新型はGR86らしいキビキビした走りを損なわずにレベルアップしています。

 ちなみにGR86の真骨頂ともいえるスライド時のコントロール性は、従来モデル以上にダイレクトかつリニアな特性になっています。

 とにかくクルマの動きがスローになったと錯覚するくらいわかりやすいので、僕レベルのドライビングスキルでもドリフトアングルの調整もしやすく、派手なドリフトも速いドリフトも楽々こなせました。

 この深化したフットワークにスロットルレスポンス向上が効いています。

 確かに初期型が持つアクセルをグッと踏んだ時のパワー感と、2023年モデルの段付きのないスムーズさが共存。つまり野性味があるのに扱いやすいのです。

 ちなみにスバル「BRZ」には「SPORT」モードが設定されましたが、GR86には未採用。

 その理由を藤原氏に聞くと「スポーツカーだからデフォルトがSPORTモードです。ただ、それが故に日常域と非日常域をバランスさせる味付けには苦労しました」と教えてくれました。

 そう考えると、GR86にはBRZと逆の発想で「Touring」モードがあってもいいかなと。

 そろそろ結論に行きましょう。ズバリ、走りに関しては「ビックマイナーチェンジ」に恥じない伸び代と言っていいでしょう。

 新型となるD型の進化は、「GR86の軸をブレさせることなく、走りの純度を引き上げた」だけでなく、「プロにはより奥深さ、アマチュアには扱いやすさが増した」と言う印象です。

 改良はこれまでのネガが消える一方、本来のコンセプトをボカす恐れも…。

 ただGR86はむしろコンセプトにより近づいた感じがします。まさに控えめだけど、大きな進化です!

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