トヨタが本気で「寝ること」を考えたシートを開発!? 理想の睡眠を求めた「TOTONE」で実際に”寝落ち”体験してみた
くるまのニュース / 2024年7月18日 21時25分
トヨタ自動車が「理想の睡眠」を追求して作った「TOTONE(トトネ)」と呼ばれるシートを、人とくるまのテクノロジー展名古屋2024で実際に体験。開発した意図や背景を担当者に聞きました。
■「整う」+「寝る」=「TOTONE(トトネ)」
2024年7月17日からAICHI SKY EXPO(愛知県常滑市)で開催されている「人とくるまのテクノロジー展2024 NAGOYA」のトヨタブースに、車両や技術要素展示に合わせて、アルファード/ヴェルファイアのセカンドシートほどの大きさの「TOTONE(トトネ)」と呼ばれる製品が展示されていました。
このTOTONEというネーミングは「整う」と「寝る」を組み合わせたもので、トヨタが培ってきた、空間設計などを活用して眠りをサポートする技術を搭載しており、2024年3月からリース限定で提供されています。
「もうこれ以上考えるのが嫌になった」「何か時間だけが過ぎて、ちっとも進まない」「イライラしているのが自分でもわかる」など脳の働きが鈍くなっている状態を、短時間睡眠で和らげる「パワーナップ効果」が体験できるといいます。
TOTONEに活用された技術のなかには、居眠り防止技術を応用しているものもあるということで、眠りをサポートするという言葉とは相反するような解説もあり、また自動車に搭載せず、一見ソファやマッサージチェアにも見えるTOTONEをトヨタが開発した意図も気になるところです。実際に会場でTOTONEによる「睡眠導入」体験をしながら、開発者に話を聞くことができました。
■仕事を忘れて思わずウトウト…実際に「TOTONE」を体験してみた
まずTOTONEに腰掛けてみて最初に驚いたのが、驚くほど体全体にフィットすることです。一見、少し平板にも見える印象だったシートの座面と背面が、キチンと体重を受け止めて、かつどこの部位にも負荷がかからないような自然な姿勢が取れていることが実感できます。
次にスマートフォンでアプリを操作して背もたれを倒すと、その印象はますます強まり、平らなベッドに寝ているよりも無理のない楽な姿勢で、体全体をシートに任せながら脱力できる印象です。
腰付近に軽いマッサージ機能があるのに加えて、シートヒーターが内蔵されており、背中やお尻周りだけでなく、体にフィットしていることで首や脚周りもじんわりと、包み込まれるような温かみが感じられました。
実際に座ってみると、そのフィット感に驚き!
フルリクライニングした状態から布のカーテンが閉じられると、周りからの光は遮られますが、外からのプライバシーが守られながらも狭い空間に閉じ込められているような閉鎖感はなく、ここにもトヨタが長年培った、居心地の良い空間設計のノウハウが生かされていることが実感できます。
TOTONEの特長は、穏やかな睡眠の導入を促すだけでなく、目覚めた際も体に負荷をかけずにスムーズに誘導することで、シャキッとさせるような効果が得られるよう工夫されていることです。耳元にはスピーカーが埋め込まれており、好きな音楽を流せるだけでなく、そこに合わせて搭載されたLEDライトが徐々に明るくなり、ちょうど枕元に朝日が差し込むような印象となっています。
それに合わせて、先ほどは優しく適度な心地いいリズムだったマッサージ機能が、今度は背中をスムーズかつ大きく、まるで背伸びをする感じで押してくれることで、ストレッチをするような効果が体をシートに預けたまま体験できます。
ここが、通常のソファやマッサージチェアと大きく異なる、居眠り防止のための体の研究結果も反映しているTOTONEの独自性を感じられる場面でした。
今回は会場内でのデモということもあり、通常は15~30分かかるコースを数分だけ体験しました。それでも一瞬すぐにストンと寝落ちしてしまうほどで、かつ起きる際には全身がスッキリとしたような感じで、短い時間ながら自分でも驚くほどリラックス効果を体験できました。
■TOTONEの開発に携わるのは、あのトヨタのスポーツカーの開発責任者!?
TOTONEの開発を担当したトヨタ自動車先進モビリティシステム開発部の野々村真人さんに話を聞くことができました。野々村さんはTOTONEの開発を務める以前は、WEC(FIA 世界耐久選手権)やル・マンに参戦したレーシングカー「TS030HYBRID」の開発を経て、「86GRMN」の開発責任者を務めたという経歴を持ち、現在は新たな取り組みとしてこのTOTONEに携わっているとのことです。
現行型アルファード/ヴェルファイアにもノウハウが生かされている
開発の発端は、「人間の楽な姿勢とは何だろう?」という研究に加えて、今後予想されるレベル4以上の自動運転の空間が実現した際に、やってみたいことのアンケート結果が「寝たまま移動をしたい」という要素が多かったことがきっかけになっており、人間が1番リラックスできる姿勢や背もたれの角度などの検証結果や空間設計のノウハウなどについては、現行型のアルファード/ヴェルファイアのセカンドシートの開発思想にも反映されているそうです。
実際に体験した人たちからのうれしかった声としては「早く自分のクルマにもTOTONEのようなシートを装着したい!」「あおむけだと腰が必ず痛くなるのに、このシートだと座っていても寝ていても体が楽になる」といったものが寄せられていると言い、現在はリース限定での提供となっていますが、想定していた以上の導入依頼の話が出ているとのことでした。
TOTONEは、リース期間が3年タイプと5年タイプから選択できるようになっており、またカラーバリエーションやシートの材質など特別仕様の選択も可能となっています。5年プランの標準仕様の場合、リース金額は月額税込み4万7300円からとなっています。
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