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【あなたは大丈夫?】 家の「駐車スロープ」は違反? 全国で見られる行為だが…ダメな理由は? 自治体も警告

くるまのニュース / 2024年7月24日 9時10分

街中で、駐車場と道路の間にある段差を解消するために、段差スロープが設置されている様子を見かけることがあります。段差スロープはホームセンターなどで手軽に購入することができますが、道路法の違反に該当する可能性もあるようです。

■事故の危険性のみならず、排水機能にも影響アリ!

 道路に面した住宅やお店の出入口などには、たびたび道路との段差を解消するためにブロック・鉄板などの「段差スロープ(駐車スロープ)」が設置されています。

 実はこのようなブロックなどを置くことは違法行為に当たるのですが、一体なぜなのでしょうか。

 道路に面した住宅やお店、駐車場の出入口などには、道路との段差を解消するためにブロックや鉄板、グレーチング蓋といった製品が設置されている場合があります。

 これらを設置することでクルマのスムーズな乗り入れが可能になるほか、比較的車高の低いクルマでもバンパーの下部を擦らずに発進できます。

 このような段差解消ブロックはホームセンターやカー用品店、インターネットサイトなどで気軽に購入できるため、多くの人が利用しています。

 しかし、実は道路に段差解消ブロックなどを設置することは法律で禁止されており、違法行為に当たります。

 具体的には道路法第43条(道路に関する禁止行為)第2号において次のような行為を禁止しています。

「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞(おそれ)のある行為をすること」

 さらに道路交通法第76条第3項でも、道路における禁止行為を次のように規定しています。

「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない」

 たとえば道路上に段差解消ブロックや鉄板などを設置していると、そこを通行した歩行者や自転車、バイクが転倒して大きな事故につながる危険性があります。

 実際に1999年8月には、大阪府堺市内の国道で原付バイクを運転していた大学生が段差解消プレートに乗り上げて転倒し、後続車にはねられて死亡する事故が発生しました。

 同事故では、お店の前の国道にプレートを設置していた飲食店経営者が道路交通法違反(道路での禁止行為)容疑で書類送検、略式起訴されています。

 SNS上においても「雨が降った後に自転車で段差スロープに乗り上げて転んだ」「滑って怪我をした」などの報告が複数寄せられており、事故が起こりやすい状況がうかがえます。

 そして万が一段差解消ブロックなどが原因となる事故が発生すると、設置者には刑事上の罪だけではなく、被害者の治療費や働けない期間の給与など損害賠償責任が生じる可能性もあります。

 これは民法第709条(不法行為による損害賠償)に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」との規定があるためです。

 加えて、雨の日には段差解消ブロックなどによって雨水の流れが止まり、うまく排水処理ができずに道路が冠水してしまうおそれもあります。

 また豪雪地帯では除雪作業の妨げとなる事例も発生しています。

 この問題に対し各自治体は、個人が道路法第24条に基づく手続きを経て、自宅や駐車場などの出入口付近をスロープ状にする「切り下げ工事」をおこなうことを推奨しています。

 ただし切り下げ工事にかかる費用はあくまで個人(申請者)の自己負担となることから、段差解消工事は思うように進んでいないのが実情です。

 なお道路の状況によりますが、工事には一般的に60万円程度の費用がかかると言われています。

 SNS上では段差解消ブロックの設置に関して「違法になることを知らなかった」「自費で切り下げ工事は厳しい…」といった声のほか、「車椅子ユーザーですが、ブロックをなくしてしまったら通行できる道が制限される」「法律を変えられないのかな?」などの意見が寄せられました。

 なお過去の取材でとある自治体の道路管理部路政課の担当者は「自宅や駐車場などの出入りが行いやすいように段差スロープを設置する行為は、非常に危険ですので、やめてほしいです。段差スロープを設置することによって、歩行者がつまずいてケガをしたり、自転車やバイクが転倒したり、重大な事故を引き起こしてしまうおそれもあります」と話していました。

 また兵庫県庁では「道路に段差解消(乗り入れ)ブロック等を置かないでください!」としながら「段差解消ブロック等を設置されている場合は、速やかに撤去してください」と注意喚起をしています。

※ ※ ※

 現状、道路の段差にブロックや鉄板などを設置することは道路法や道路交通法違反に当たり、万が一事故が起きた際に責任を問われる可能性があります。

 自費による切り下げ工事が難しい場合にはクルマを出入りさせるときのみブロックを使用するなど、一時的な利用にとどめる必要があるかもしれません。

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