エンジンを冷やす「冷却水」は“水道水”で代用できる? 漏れ「放置」は絶対NG! 経年車で起こるトラブルとは
くるまのニュース / 2024年7月29日 14時50分
新しいクルマは心配いりませんが、古いクルマは冷却水が漏れることがあります。エンジンの冷却を担う「ラジエーター」に何らかの不具合が発生してポタポタと下に垂れてくるトラブルですが、放置してはいけないようです。
■「冷却水」漏れたらどうする?
現代のクルマは耐用年数が長くなっていますが、経年や乗り方によって劣化し、各パーツに不具合が発生します。
特に古いクルマの場合、冷却水が漏れることがあります。これはエンジンの冷却を担う「ラジエーター」に何らかの不具合が発生し、ポタポタと垂れてくるトラブルです。
冷却水漏れは気づかないケースも多いのですが、どのような症状が現れるのでしょうか。
まず、ラジエーターの役割について改めて考えてみます。
エンジンで燃料を燃やし、その爆発力を推進力に変えていますが、その際、熱を発生します。
その熱を冷やすのが冷却水(クーラント液)で、高温になった冷却水をラジエーターのコア(パイプが蛇行した構造になっているパーツ)へと促して走行風で冷やし、またエンジン内部へと循環させて熱を奪うということを繰り返します。
クルマが走るうえで重要な役割を持つラジエーターですが、やはり経年や使い方で劣化します。
目安ですが、「10年または10万km」あたりが寿命とされており、長く乗り続けているクルマや古い中古車などはいつラジエーターに不具合が発生してもおかしくありません。
ラジエーターの修理も手掛けるH整備士に聞いてみました。
「ラジエーターが何らかの理由で正常に機能していないと、水温計が上昇し警告灯が点灯します。
外に出てみると路面には冷却水が漏れているのが確認でき、独特の甘い匂いがすることもあります。
結果としてオーバーヒート状態になり、エンジンが不調をきたし走れなくなってしまう恐れもあります」
冷却水の主成分はエチレングリコールやプロピレングリコールで、防錆剤などが添加されています。
一方で、漏れたときの応急処置として「水道水などを継ぎ足す」という方法は有名ですが、実際は水を使用するのはあまりよくないようです。
緊急時はしかたがないかもしれませんが、精製水でも錆を誘発させる危険性が高く、新たな漏れを発生させる原因になってしまうことも。
継ぎ足すならガソリンスタンドなどで販売されている冷却水(クーラント液)を使用したほうが良いとH整備士はいいます。
そして、オーバーヒートすると継続して走行できなくなるのですが、そのまま放置しておくと、今度はエンジン自体に熱がこもり、大きなダメージを受けてしまいます。
この冷却水漏れは実はかなり厄介な問題です。というのも、冷却水はさまざまな装置やパーツを循環しており、漏れている箇所を特定するまでに時間がかかるのです。
さらに面倒なのは、最近のクルマはラジエーター本体にたどり着くまでに、バンパー脱着のほか、ヘッドライトユニットまでも取り外す必要がある車種も多く、原因特定にかなり手間がかかるケースも。
パーツの取り外しだけで時間と工賃が加算されることがあるほか、軽自動車などはエンジンルームのスペースも余裕がないので、どこから漏れているかを視認することが難しいのです。
原因箇所の特定に手間のかかるラジエーターの修繕は、素人ではチェックしきれないこともあり、トラブルが発生したらプロに診てもらう方が安心だといえます。
※ ※ ※
古いクルマを安く手に入れたのはいいけれど、消耗パーツや保安部品などの交換が発生しやすく、そのぶんメンテナンス費用もかかるのは致しかたないところ。
ラジエーターもすぐに寿命がくる場合もあれば、20万km近く走っても壊れないケースもあります。
なお、修理にかかる費用は、車種によってラジエーターの価格が違うので一概に言えず、また修理する方法も「既存のパーツを残してオーバーホール」「新品の純正部品に交換」「新品ながら社外部品に交換」が考えられ、パーツ代と損傷具合によって価格はまちまち。
目安は、軽自動車は3万円から、普通車は車種によって10万円前後もする可能性も視野に入れておく必要があるようです。
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