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なぜ「軽バン」人気になった? かつては「商用ターゲット」も今では「一般ユーザー」にも浸透 根強いファンを獲得した理由とは

くるまのニュース / 2024年8月20日 15時10分

近年、「軽バン」の人気が高まっています。従来は商用ニーズとして支持されていましたが、現在では一般ユーザーも所有する人が増えています。一体なぜなのでしょうか。

■なぜ“仕事道具”の「軽バン」が人気になった?

 軽バンはかつて、配送業など商用ニーズで支持されてきましたが、近頃は一般ユーザーも軽バンを購入する人が増加。新型車のなかにはオシャレで親しみやすいモデルまでラインナップされるようになりました。
 
 どういった点が商用・一般問わず支持されるのでしょうか。

 軽自動車の中で、隠れ人気ジャンルとなっているのが「軽バン」と呼ばれるクルマたちです。

 ホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」など、売れ行きを伸ばすスーパーハイトワゴンとはボディ形状が違い、ボンネットが極めて短いキャブオーバータイプ(エンジンの上に運転席があるパッケージ)の箱型のボディとしているのが特徴です。

 具体的には商用車登録のスズキ「エブリイ」、ダイハツ「アトレー/ハイゼットカーゴ」、日産「クリッパー」などが該当。

 広義では乗用車登録となるスズキ「エブリイワゴン」や、ボンネットバンタイプのホンダ「N-VAN」、スズキ「スペーシアベース」を含めることもあります。

 2024年7月の販売台数をみると、エブリイは4989台(加えて同じボディで乗用車登録のエブリイワゴンは2008台なので合計すると7000台近い)で、ライバルとなるアトレーとハイゼットカーゴ(この2台も車体は同じで内外装の仕立てやエンジンが異なる)は合計6838台とこちらも大人気。

 それらに比べると少ないですがクリッパーも2671台を販売しました。

 実は、クリッパーもエブリイをベースとしたOEM(相手先ブランド)モデルであり、同様にスズキからOEM供給される日産「クリッパーリオ」、マツダ「スクラムバン」、三菱「ミニキャブバン」も同じ車体でスズキが生産。

 それらを含めた“エブリイ兄弟”は、1万台以上を売り上げた計算となる「超人気モデル」と言っていいでしょう。

 1万台といえば、もし単一車種でカウントしていたならば軽自動車販売ランキングの4位に入る実力です。

 ダイハツのアトレー/ハイゼットに関しても、OEMモデルであるスバル「サンバーバン」やトヨタ「ピクシス」を足せば約8000台となり、こちらも合計すれば軽自動車販売ランキングの5位に入る規模。

 車体はスズキ「ハスラー」や「ワゴンR」などよりも、たくさん作られているのです。

 ところで、そんな軽バンの魅力はいったいどこにあるのでしょうか。

 まずは広いラゲッジスペースです。軽バンはそもそも荷物をたくさん積むことを最優先したパッケージングで作られていることもあって、とにかく広い。

 エブリイもアトレー/ハイゼットカーゴも、後席を畳むことなく1m弱を確保する荷室奥行きはその小さな車体から信じられないほどです。

 奥行き1mというのは「ラージセダンのトランク奥行きに迫る長さ」といえばその凄さが理解してもらえるでしょうか。

 もちろん、後席を畳めば奥行きはさらに広がり、大人2人が横になって寝られるスペースができるのだから、初めて見る人は信じられないでしょう。まさに“車体は小さいけれど中は広い”なのです。

 この広い荷室は、N-BOXやスペーシアなどのスーパーハイトワゴンでは実現不可能です。

 パッケージングの違いから、人を快適に移動させるならスーパーハイトワゴンですが、荷物をたくさん積む、もしくは車中泊前提なら軽バンが断然有利です。

■「バツグンのコスパ」も人気の理由か

 さらに、ベーシックモデルであれば値段が安いのも魅力。

 エブリイの最安仕様はなんと113万7400円(「PA」グレードの2WD・5MTモデルで受注生産となる「スズキ セーフティ サポート非装着車」の場合)。

 ハイゼットカーゴであれば、廉価グレードの「スペシャル」はなんと104万5000円からです。

 昨今は「軽自動車は200万円」なんて言われる時代ですが、軽バンであれば装備がシンプルとなるものの、わずか100万円ちょっとから選べるのだから素敵すぎます。

 もちろん上記は廉価仕様の価格であり、装備の充実を求めたり、動力性能に余裕があるターボエンジン搭載車を選ぶとなれば、それなりに価格も上がってしまいます。

 しかし、“気軽に買える安い仕様”も用意されている意味は大きいでしょう。

スズキ「エブリイワゴン」スズキ「エブリイワゴン」

 なぜ安い仕様が用意されているかといえば、軽バンはもともと仕事として荷物を運んだりするプロツールとして生まれたからです。シンプルで機能に徹した存在と言えるでしょう。

 しかも、メリットはそれだけではありません。なんと税金が安いのです。

 自動車税は、軽ワゴンが年間1万800円なのに対し、軽バンは半額にも満たない年間5000円(自家用登録の場合)。ちなみに重量税や自賠責保険の金額は変わりません。

 軽バンのメリットを簡潔に言うと「荷物を運ぶのに便利で、気軽に所有できる」となるでしょう。車中泊派にも魅力的なパッケージングです。軽バンを仕事用でなく個人所有し、趣味車として活用する人が多い理由もそこにあるといっていいでしょう。

 ただし、いい部分ばかりではありません。

 軽バンの弱い部分は、まず運転感覚が特殊なこと。これはある程度慣れの部分もありますが、それに加えて居住性に目を向けると後席の居住性はスーパーハイトワゴンにはどう逆立ちしてもかないません。

 また、床が高いので乗り降りのしやすさなどもスーパーハイトワゴンにかなわない部分。元々が商用車設計ということもあって、振動やエンジン音などの快適性、そして燃費や走行安定性なども乗用車系のモデルに比べると劣ります。

 もし軽バンを仕事のパートナーではなく乗用ニーズとして買おうというのであれば、そのあたりもしっかり考慮したうえで選ぶのが望ましいでしょう。

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